タキロンCI Research Memo(6):明るい兆しもあるが、苦戦が目立った
■タキロンシーアイ<4215>の業績動向
3. セグメント別動向
セグメント別の業績動向は、建築資材事業が売上高21,846百万円(前年同期比1.9%減)、営業利益1,255百万円(同8.8%増)、環境資材事業が売上高26,570百万円(同3.1%増)、営業利益が504百万円(前年同期は8百万円の営業損失)、高機能材事業は売上高が10,458百万円(同10.4%減)、営業利益が993百万円(同30.2%減)、機能フィルム事業は売上高が8,740百万円(同29.8%減)、営業損失が449百万円(前年同期は483百万円の営業利益)となった。建築資材事業が堅調、環境資材事業が好転、高機能材事業はやや苦戦、海外が足を引っ張った機能フィルム事業が苦戦した。
建築資材事業は微減収増益だった。住設建材事業は、原材料価格上昇に伴う製品値上げによる増収効果やサイネージの需要回復の効果はあったが、新設住宅着工戸数の減少に加え、建設資材や畜産飼料価格高止まりによる設備投資意欲減退の影響を受け、住宅・非住宅ともに販売が低調に推移し、事業全体では減収となった。営業利益は、採光建材で売上低迷や原材料高の影響はあったが、原価上昇分の製品価格への転嫁や固定費の削減、サイネージ分野の収益改善の効果で2ケタ増益を確保した。床・建装事業は、国内マンション改修物件への床材の販売が引き続き堅調に推移、中国と豪州の建装資材の需要が回復基調となったが、金融引締めが続く北米及び欧州において家具市場の冷え込みが長期化し、事業全体の売上高は微減となった。営業利益は、建装資材が、数量は低迷したものの海上運賃と欧州の電力価格の改善があり、床材の原材料価格の高騰に伴う2次値上げもあって増益を確保した。
環境資材事業は増収黒字転換となった。アグリ事業は、ビニールハウスの建設が前期に引き続き好調を維持したものの、記録的な猛暑や豪雨といった異常気象の影響による農作物収穫量の減少が生産者の投資意欲低下を招いたことで農業資材が伸び悩み、事業全体で減収となった。営業利益については、競合他社による安値攻勢を凌ぎ、微減に留めた。インフラマテリアル事業は、管更生が工事物件遅延の影響を受けて低調に推移したが、ハウエル管の需要が回復、回転成形製品及び土木シート・シールドも好調を維持したため、事業全体で2ケタ増収となった。増収効果に加え工場の採算改善もあり、営業利益は黒字転換を果たした。
高機能材事業は減収2ケタ減益となった。半導体の在庫調整及びそれに伴う半導体製造装置メーカーの減産の影響を受け、製造装置向け工業用プレート、エンプラ材は減収となった。DRAMを中心としたメモリ市況の低迷が続いて、電子回路基板向けのナノ材料販売も減収となった。マイクロモータは民生用機器など主要分野における在庫調整の影響を受けて低調に推移した。一方、眼鏡フレーム用アセテート板は、国内外のブランドメーカーからの引き合いが旺盛で売上が伸長した。営業利益は、販売数量の落ち込みに加え、樹脂原材料価格の高止まり、電力や燃料などユーティリティ関連費用の増加、物流経費の増加により減益となった。
機能フィルム事業は2ケタ減収赤字転落となった。欧米市場が低調に推移、特に北米市場におけるシュリンクフィルムの流通在庫調整の長期化により、北米・南米ともに販売が低水準となったことで大幅な減収となった。一方ジッパーテープは、国内販売は前年並みに推移したものの、欧州や中東をはじめとする海外の販売が全般に低調に推移したため減収となった。営業利益は、主力の北南米が低調に推移した影響でシュリンクフィルムが大幅な損失、国内の価格転嫁の遅れ、海外の販売不振の影響でジッパーテープが営業利益を確保したものの減益となったことで、事業全体では大幅な営業損失となった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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提供:フィスコ