酒井重 Research Memo(1):2024年3月期第2四半期は前年同期比84.2%の営業増益。特に北米向けが堅調
■要約
酒井重工業<6358>は道路舗装用ロードローラをはじめとする道路建設機械の専業メーカー。長い歴史を有し、国内シェアは70%超を誇るトップメーカーである。近年では北米や東南アジアを中心に海外市場の開拓に注力している。
1. 2024年3月期第2四半期の業績概要
2024年3月期第2四半期の連結業績は、売上高が16,785百万円(前年同期比12.7%増)、営業利益が1,966百万円(同84.2%増)、経常利益が2,109百万円(同92.6%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益が1,534百万円(同87.4%増)となり、期初計画(売上高16,100百万円、営業利益1,300百万円)を上回った。地域区分別売上高では、国内は国土強靭化加速化対策を背景として堅調な販売が継続し売上高は前年同期比3.7%増となった。海外売上高も堅調に推移しており、同21.1%増となったが、特に米国ではインフラ投資法を背景とした道路建設投資の拡大により、売上高は前年同期比36.4%増となった。アジア向けは、インドネシアで需要回復が進んだものの中国の減速が続いており、インドネシアを除いたASEAN市場で成長鈍化の兆しが見られたことから、売上高は前年同期比3.6%減となった。価格改定効果や輸送費の落ち着き、円安などにより売上総利益率が29.9%(前年同期は25.7%)と改善し、販管費が10.6%増に留まったことから営業利益は大幅増益となった。
2. 2024年3月期の業績見通し
堅調な上半期の業績を受けて、2024年3月期の連結業績は、売上高が33,100百万円(前期比5.2%増)、営業利益が3,300百万円(同31.7%増)、経常利益が3,300百万円(同41.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が2,300百万円(同35.7%増)と予想されており、期初予想(売上高33,000百万円、営業利益2,950百万円)から上方修正された。為替レートは、140円/ドルを前提としている。顧客の所在地別の売上高・利益の見通しは開示されていないが、各地域とも増収を目指す方針だ。世界的にインフラ投資が拡大するなか、世界の建設機械需要は底堅く推移すると予想しているが、一部では鈍化懸念もあり、下半期については慎重に見ている。引き続き部材価格の上昇懸念が残るが、上期の好業績を受け、営業利益率は前期比2.0ポイント上昇する予想となっている。ただし、今後の進捗状況については四半期毎に見直しを行い、必要であれば業績修正を行う予定だ。
3. 中期の成長戦略
同社は、2021年6月に2026年3月期を最終年度とする「中期的な経営方針」を発表している。最終目標として「企業価値・株主価値の向上」を掲げ、これを達成するために「事業の成長戦略」と「効率的な資本戦略」を推進する方針だ。定量的な目標としては、2026年3月期に売上高300億円、営業利益31億円、ROE(自己資本当期純利益率)8%を実現し、安定的に配当性向50%を維持することを目指す。初年度である2022年3月期、次年度である2023年3月期の業績は堅調に推移し、2024年3月期もここまでは堅調に推移しているが、現時点でこの計画は変更しておらず、数値目標も据え置いている。2024年3月期の配当については、ROEが6.0%を上回る見込みであることから、公約どおり配当性向50%として、年間配当を270円(中間90.0円、期末180円)へ増配することを発表済みだ。このように、ROEの改善に向けて明白な資本政策を発表し、それに沿った株主還元を実行している同社の姿勢は、大いに評価に値すると言えるだろう。
■Key Points
・長い歴史を有するロードローラのトップメーカーで国内シェアは70%超。海外シェアの拡大により成長を図る
・2024年3月期第2四半期は前年同期比84.2%の営業増益、通期予想も上方修正
・中期的な数値目標として、2026年3月期に売上高300億円、営業利益31億円、ROE8%を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
《HH》
提供:フィスコ