明日の株式相場に向けて=ブラックアウト期間はグロース株優位か
きょう(30日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比165円高の3万3486円と4日ぶりに反発。半導体関連株が買い直されたことで、後場に入ってプラス圏に浮上した。しかし、半導体株が人気化して日経平均は高値引けとはなったものの上げ幅としては小さい。今週の日経平均の値動きは手掛かり材料が少ない中で、依然として気迷いムードが拭えない。ひと頃のような売り方と買い方のせめぎ合いのようなピリピリした雰囲気は霧消しているが、先物を絡めて下値を叩くような仕掛け的な売りが見られなくなった一方で、上値を買い進む実需買い意欲にも乏しい状況といえる。
11月15日に823円高というハイパフォーマンスを見せた後、きょうまでの10営業日で日経平均の上げ下げだけでみれば、4勝6敗と負け越している。プライム市場の売買代金も15日に4兆6000億円台を記録したが、その後は3兆円台の商いが続いた。きょうは突発的に5兆5792億円と急増したが、これは引け際のMSCI指数採用銘柄の見直しに伴うもので一過性要因による。ここまで相場の上昇エネルギーとなったのは買い戻しであり、売り方退散の後は実需で上値を買いたい向きはそれほど多くないことが露呈している。7月3日の年初来高値3万3753円をザラ場では上回っても、その都度上ヒゲをつける形で終値での奪回が果たせていないのはその証左でもある。
前日に米国では7~9月期GDPの改定値が朝方に発表され、速報値の前期比年率4.9%増から5.2%増に上方修正されコンセンサスも上回った。FRBによる政策金利引き上げが既に終了したという見方が広がるなか、7~9月期の米経済の好調が想定を上回ったことで米国株市場は朝方から強気優勢の地合いとなった。
ところが、午後になって開示されたベージュブックは経済活動の減速を明示、これが気迷いの発端となり全体指数は値を消した。このベージュブックは10月中旬から11月中旬くらいまでの米経済を反映したもので自動車ストライキの影響を受けている。ただし、これが10~12月期の米GDPと連動するかというと「非常に相関性は低くベージュブックが株式市場を左右する要素はほとんどない」(生保系エコノミスト)という。きょうは日本時間夜10時半に発表が予定される10月の米PCEデフレーターに耳目が集まるが、「9月実績と比較して減速(前年比3.0%増予想で伸び率鈍化)が見込まれている。これが更に下振れするようだと、来年の利下げ前倒しの思惑が強まる」(同)ことになる。
今週はFRB高官の発言機会が相次いだが、タカ派寄りと見られていたウォラーFRB理事のハト派発言が話題となった。しかし、ウォラー理事が発した利下げ示唆コメントについて市場では「経済をオーバーキルした際の利下げの可能性を一般論として示したにすぎず、これをハト派発言というのは行き過ぎた勝手解釈」(中堅証券ストラテジスト)とし、要は何を言っても今の米株市場はいいとこ取りで処理してしまう傾向があると指摘する。恐怖指数と呼ばれるVIX指数だが、前日まで6営業日連続で13を下回った状態にあり、これは2020年春先のコロナ・ショック以降の約3年半のタームでみても底値圏に位置している。ちょっと楽観に傾き過ぎている点は気になるところだ。
そして、あすはパウエルFRB議長の講演が予定されている。ここでのパウエル議長の発言を最後に翌2日からブラックアウト期間に入る。つまり、FOMC通過までFRBは金融政策に関する情報発信を停止するわけで、パウエル発言が想定外にタカ派的とならない限り、12月前半はいいとこ取りの思惑だけで相場が進む可能性がある。日米株式市場におけるグロース株への資金還流は、当面スケジュール的にも米長期金利の急なリバウンドはないことを見込んだ合理的な動きと捉えることもできる。
あすのスケジュールでは、10月の失業率、10月の有効求人倍率、7~9月期の法人企業統計調査が朝方取引開始前に開示されるほか、午後取引時間中に11月の新車販売台数、11月の軽自動車販売台数が発表される。また、午前中に3カ月物国庫短期証券の入札が行われる。海外では、11月の財新中国製造業購買担当者景気指数(PMI)、11月の米ISM製造業景況感指数、10月の米建設支出などが発表される。また、この日はパウエルFRB議長が米大学のイベントに参加予定にあり、そこでの発言内容にマーケットの関心が集まっている。(銀)
出所:MINKABU PRESS
11月15日に823円高というハイパフォーマンスを見せた後、きょうまでの10営業日で日経平均の上げ下げだけでみれば、4勝6敗と負け越している。プライム市場の売買代金も15日に4兆6000億円台を記録したが、その後は3兆円台の商いが続いた。きょうは突発的に5兆5792億円と急増したが、これは引け際のMSCI指数採用銘柄の見直しに伴うもので一過性要因による。ここまで相場の上昇エネルギーとなったのは買い戻しであり、売り方退散の後は実需で上値を買いたい向きはそれほど多くないことが露呈している。7月3日の年初来高値3万3753円をザラ場では上回っても、その都度上ヒゲをつける形で終値での奪回が果たせていないのはその証左でもある。
前日に米国では7~9月期GDPの改定値が朝方に発表され、速報値の前期比年率4.9%増から5.2%増に上方修正されコンセンサスも上回った。FRBによる政策金利引き上げが既に終了したという見方が広がるなか、7~9月期の米経済の好調が想定を上回ったことで米国株市場は朝方から強気優勢の地合いとなった。
ところが、午後になって開示されたベージュブックは経済活動の減速を明示、これが気迷いの発端となり全体指数は値を消した。このベージュブックは10月中旬から11月中旬くらいまでの米経済を反映したもので自動車ストライキの影響を受けている。ただし、これが10~12月期の米GDPと連動するかというと「非常に相関性は低くベージュブックが株式市場を左右する要素はほとんどない」(生保系エコノミスト)という。きょうは日本時間夜10時半に発表が予定される10月の米PCEデフレーターに耳目が集まるが、「9月実績と比較して減速(前年比3.0%増予想で伸び率鈍化)が見込まれている。これが更に下振れするようだと、来年の利下げ前倒しの思惑が強まる」(同)ことになる。
今週はFRB高官の発言機会が相次いだが、タカ派寄りと見られていたウォラーFRB理事のハト派発言が話題となった。しかし、ウォラー理事が発した利下げ示唆コメントについて市場では「経済をオーバーキルした際の利下げの可能性を一般論として示したにすぎず、これをハト派発言というのは行き過ぎた勝手解釈」(中堅証券ストラテジスト)とし、要は何を言っても今の米株市場はいいとこ取りで処理してしまう傾向があると指摘する。恐怖指数と呼ばれるVIX指数だが、前日まで6営業日連続で13を下回った状態にあり、これは2020年春先のコロナ・ショック以降の約3年半のタームでみても底値圏に位置している。ちょっと楽観に傾き過ぎている点は気になるところだ。
そして、あすはパウエルFRB議長の講演が予定されている。ここでのパウエル議長の発言を最後に翌2日からブラックアウト期間に入る。つまり、FOMC通過までFRBは金融政策に関する情報発信を停止するわけで、パウエル発言が想定外にタカ派的とならない限り、12月前半はいいとこ取りの思惑だけで相場が進む可能性がある。日米株式市場におけるグロース株への資金還流は、当面スケジュール的にも米長期金利の急なリバウンドはないことを見込んだ合理的な動きと捉えることもできる。
あすのスケジュールでは、10月の失業率、10月の有効求人倍率、7~9月期の法人企業統計調査が朝方取引開始前に開示されるほか、午後取引時間中に11月の新車販売台数、11月の軽自動車販売台数が発表される。また、午前中に3カ月物国庫短期証券の入札が行われる。海外では、11月の財新中国製造業購買担当者景気指数(PMI)、11月の米ISM製造業景況感指数、10月の米建設支出などが発表される。また、この日はパウエルFRB議長が米大学のイベントに参加予定にあり、そこでの発言内容にマーケットの関心が集まっている。(銀)
出所:MINKABU PRESS