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【村瀬智一が斬る!深層マーケット】決算通過で内外機関投資家の資金流入に期待


「決算通過で内外機関投資家の資金流入に期待」

●SQ通過によってリバランス需給は一巡

 日経平均株価は11月に入りリバウンド基調を強めており、10月下旬の3万0500円水準から11月6日には3万2766円まで上昇した。日銀金融政策決定会合および米連邦公開市場委員会(FOMC)を無難に通過したことで、売り方の買い戻しが強まった。足もとの予想を下回る米経済指標の結果を受けて米長期金利は低下したほか、原油先物相場が下落基調にあることも、日米のリバウンド相場の追い風となった。特に国内では先物オプションSQを控えて、バリュー株の持ち高圧縮に対してグロース株を買い戻すリバランスの動きが顕在化し、日経平均株価を押し上げる一因となった。

 SQ通過でリバランス需給は一段落した格好だが、主要企業の決算発表が一巡することにより、内外機関投資家の資金流入が改めて意識されやすくなる。米国市場は依然として米長期金利の動向に振られやすいものの、年間を通じて不安定な10月相場を通過したことにより、大型テック株を中心としたリカバリーが期待されやすいだろう。

 中東情勢の緊迫化による影響を警戒しつつも、日経平均株価は節目の3万3000円および9月15日の戻り高値3万3634円を意識したトレンド形成に期待したい。

●活躍が期待される「注目5銘柄」

◆SUMCO <3436> [東証P]
半導体用シリコンウエハーの専業メーカー。11月8日に発表した2023年12月期第3四半期累計(1-9月)の連結営業利益は前年同期比22.6%減の618億5500万円で着地した。主力の直径300mmシリコンウエハーの需要がロジック、メモリー向けともに顧客の生産調整の影響で減少した。併せて非開示だった通期業績予想を発表しており、営業利益は前期比37.7%減の683億円を見込む。大幅な減益予想ではあるがコンセンサス(660億円程度)を上回っており、アク抜けが意識される。株価は足もとで値動きの荒さが目立つものの、1970円処で収束をみせる25日、75日、200日の各移動平均線が支持線として意識されやすく、リバウンド狙いで注目したい。

◆インターネットイニシアティブ <3774> [東証P]
法人向けにネットワーク関連、クラウドサービスを展開。11月6日昼に発表した2024年3月期第2四半期累計(4-9月)の連結営業利益は前年同期比8.1%増の120億8000万円だった。法人向けインターネット接続サービスは、IoT用途等のモバイルサービスやIPサービス、IIJモバイルMVNOプラットフォームサービスなどが好調だった。通期の営業利益予想は前期比15.7%増の315億円を据え置いた。株価は決算発表を受けて翌日は一時2715円まで買われ、9月の戻り高値(2688.5円)を突破した。その後は調整が見られるものの、26週、52週線が支持線として意識されやすく、5月の上場来高値3040円を意識したトレンド形成に期待したい。

◆DMG森精機 <6141> [東証P]
NC旋盤、マシニングセンタが主力の工作機械大手。10月25日に発表した2023年12月期第3四半期累計(1-9月)の連結営業利益は前年同期比33.1%増の356億1500万円で着地した。高度な加工が可能な5軸加工機や複合加工機などの需要が伸びた。円安が進み、機械1台あたりの受注単価が上昇したことも利益を押し上げた。株価は9月20日に付けた年初来高値の2762円をピークに調整を見せていたが、上向きで推移する26週線に支えられて反発。足もとで上値を抑えていた13週線を上回ってきた。調整一巡からの反転本格化を想定する。

◆アシックス <7936> [東証P]
スポーツシューズ大手。スポーツウエア、スポーツ用具なども手掛ける。11月10日に発表した2023年12月期第3四半期累計(1-9月)の連結営業利益は前年同期比54.8%増の558億0500万円で着地した。併せて通期の同利益を従来予想の460億円から520億円に上方修正した。「オニツカタイガー」がインバウンド需要を取り込み国内で好調だったほか、東南アジアなどでも成長。ランニングシューズの復刻モデルやパフォーマンスランニングなども好調に推移した。株価は9月20日に付けた上場来高値の5750円をピークに調整を見せているが、4500円近辺での底堅さが意識されている。上向きで推移する26週線が支持線として機能しており、13週線突破からのリバウンド加速に期待したい。

◆アウトソーシング<2427>[東証P]
工場製造ラインへの人材派遣・請負が主体。8月1日、連結子会社で雇用調整助成金の支給申請手続きの一部が適切に行われていなかった事実などが確認されたと発表。その後、外部調査委員会による調査を進めるとともに、2023年12月期第2四半期報告書の提出期限を延長していた。11月2日に調査結果を公表し、提出期限の14日までに決算短信を開示する予定であることも明らかにした。8月の不適切な申請手続き発表を受けて株価は急落したが、足もとでは緩やかなリバウンド基調を継続している。楽観はできないものの、無事に決算が公表されれば、悪材料出尽くしとなる可能性があろう。

(2023年11月10日 記)

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