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6293 日精樹脂工業

東証P
928円
前日比
-6
-0.64%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
29.8 0.41 3.77 0.90
時価総額 207億円
比較される銘柄
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住友重

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円安インパクトの強い「上方修正期待」銘柄はどれだ

大川智宏の「日本株・数字で徹底診断!」 第123回
大川智宏大川智宏(Tomohiro Okawa)
智剣・Oskarグループ CEO兼主席ストラテジスト
2005年に野村総合研究所へ入社後、JPモルガン・アセットマネジメントにてトレーダー、クレディ・スイス証券にてクオンツ・アナリスト、UBS証券にて日本株ストラテジストを経て、16年に独立系リサーチ会社の智剣・Oskarグループを設立し現在に至る。専門は計量分析に基づいた株式市場の予測、投資戦略の立案、ファンドの設計など。日経CNBCのコメンテーターなどを務めている。

前回記事「突入したパニック売りの逆回転、その好機は『◯×の逆張り』、ただし短期限定」を読む

株式市場は急騰と急落を繰り返し、値幅の大きいレンジ相場のような状況となっていますが、ドル円やユーロ円は一定の円安水準で貼りつく膠着状態となっています。

欧米の金利が高止まりし、日本との金利差から円安圧力を受ける一方で、ドル円は1ドル=150円、ユーロ円は1ユーロ=160円を目前にした為替介入の警戒感との板挟み状態になり、さらなる円安に進みにくい状況が影響している可能性があります。

■3月末以降のドル円とユーロ円の推移
【タイトル】
出所:リフィニティブ・データストリーム

一方で、足元では中東情勢が不安定になったことの影響で、さらなる円安の進行も予想されます。米国の消費者物価指数(CPI)は、原油価格の値動きと連動する動きを見せており、原油価格の上昇によるインフレ高止まりの懸念も出ています。

足元の米10年債利回りが、2007年以来の16年ぶりの5%に迫る水準にまで達しているのは、こうした状況を反映しているのでしょう。金利の上昇が進む国は通貨高となることから、その対極に位置する日本円は相対的に弱い状況が継続する可能性が高くなります。

■原油価格と米CPI
【タイトル】
出所:リフィニティブ・データストリーム。注:CPIは前年同月比、WTI価格は1バレル当たり。

円安が追い風、まずは海外売上高比率から確認

このように、今後の円安の進行が予想される環境を、投資アイデアとして活かす方法を探ってみました。そのポイントは、円安進行による業績へのプラスの影響、および上方修正の可能性を、シンプルに数値化して銘柄を抽出するものになります。

使用する指標は、米国または欧州の売上高比率と、ドル円またはユーロ円の為替前提と期中平均値との乖離率です。母集団は日本の全上場銘柄です。

まずは、円安に為替差益の発生などを期待しやすい点から、米国および欧州の売上高比率の高い銘柄を見ていきます。

注意点として、有価証券報告書上の地域セグメントは表記に公式な定義はなく、表記も「米国」「米州」「北米」「北中南米」と様々あることです。このような曖昧性があるため、今回は「欧米」や「欧州・中東・アフリカ」など、米国や欧州の売上高なのかを判断がつかないケースは集計対象から除外しています。

以上を踏まえて、米国売上高比率の高い銘柄のトップ10を並べたのが、以下になります。

■米国売上高比率の高い銘柄
銘柄名<コード>業種米国
売上高比率
Abalance<3856>電気機器86%
桂川電<6416>機械81%
SUBARU<7270>輸送用機器75%
7&I-HD<3382>小売業75%
UFHD<4235>化学74%
PXB<6190>サービス業69%
そーせい<4565>医薬品64%
カルナバイオ<4572>医薬品62%
ミロク<7983>その他製品60%
住友ファーマ<4506>医薬品59%
出所:QUICK。注:銘柄名は略称(以下同じ)

1位のAbalance<3856>は、太陽光や建設機械などを幅広く手掛けている企業で、2位の桂川電機<6416>はプリンターやスキャナーを扱っている企業です。自動車大手のSUBARU<7270>と小売り大手のセブン&アイ・ホールディングス<3382>の次に位置するウルトラファブリックス・ホールディングス<4235>は、家具・自動車・航空機・衣料・スポーツ用手袋などのウレタン合成皮革の製造と販売を主軸としている企業となります。

セブン&アイを除けば、上位陣はやはり製造業で占められているようで、これならば直接的な為替差益も期待できるかもしれません。

次に、欧州売上高比率の高い銘柄のトップ10です。

■欧州売上高比率の高い銘柄
銘柄名<コード>業種欧州
売上高比率
東自機<6360>機械75%
DWTI<4576>医薬品49%
シマノ<7309>輸送用機器48%
PSS<7707>精密機器46%
マキタ<6586>機械46%
KPPGHD<9274>卸売業44%
SHOEI<7839>その他製品43%
塩野義<4507>医薬品43%
EIZO<6737>電気機器42%
板硝子<5202>ガラス・土石製品41%
出所:QUICK

1位の東京自働機械製作所<6360>は、贈答品やお土産の自動包装をする機械や、フィルムなどのパッケージ全般にかかわる機械を製造・販売する企業です。

2位のデ・ウエスタン・セラピテクス研究所<4576>は創薬ベンチャー、3位のシマノ<7309>は自転車および釣り具製造の世界的な大手です。こちらも製造業が多く見られますが、米国売上高比率の上位陣と比べると、医薬系の企業が散見されるのが特徴的です。

こうした海外の売上高比率が大きい企業は、円安の進行に伴う業績の拡大が期待できますが、企業の公表済みの情報であることから、すでに株価に織り込まれている可能性があります。

円安が追い風、為替前提と期中平均との乖離から確認

これに対して、2つ目の要素となる為替前提と期中平均との乖離率は、企業が公表している事実と現状との矛盾であり、この数字が大きければ修正が今後に入る可能性が高いでしょう。

こちらも、ドル円ユーロ円それぞれについて上位銘柄の例を見ていきましょう。

為替の期中平均値は3月末から10月16日現在までの日次平均値をとっているため、それと合わせるために本決算期が3月末である銘柄のみを抽出対象としています。

まずは、ドル円の前提と期中平均との乖離率が大きい企業からです。

■ドル円前提と期中平均との乖離が大きい銘柄
銘柄名<コード>業種直近
決算期
ドル円
前提
期中ドル円
平均値との
乖離率
日樹工<6293>機械2023/03100円42%
池上通<6771>電気機器2023/03105円35%
中央自<8117>卸売業2023/03105円35%
日本精密<7771>精密機器2023/03108円31%
ニッタ<5186>ゴム製品2023/03110円29%
原田工業<6904>電気機器2023/03110円29%
三住建設<1821>建設業2023/03111円28%
阿波製紙<3896>パルプ・紙2023/03114円24%
稀元素<4082>化学2023/03114円24%
HUグループ<4544>サービス業2023/03114円24%
出所:QUICK。注:期中ドル円の日次平均値は141.58円。3月を本決算とする銘柄のみ対象。

1位の日精樹脂工業<6293>は、プラスチックの射出成形機の専業メーカーです。2位は放送用カメラシステムなど情報通信機器の製造と販売を行う池上通信機<6771>、3位は自動車部品やコーティング製品の開発・販売を扱う中央自動車工業<8117>になります。

続いては、ユーロ円の前提と期中平均の乖離率が大きい企業です。

■ユーロ円前提と期中平均との乖離が大きい銘柄
銘柄名<コード>業種直近
決算期
ユーロ円
前提
期中ユーロ円
平均値との
乖離率
日樹工<6293>機械2023/03120円28%
SEMITEC<6626>電気機器2023/03120円28%
池上通<6771>電気機器2023/03120円28%
力の源HD<3561>小売業2023/03123円25%
HUグループ<4544>サービス業2023/03124円24%
有機薬<4531>化学2023/03125円23%
ソシオネクスト<6526>電気機器2023/03125円23%
黒田精<7726>機械2023/03125円23%
ispace<9348>サービス業2023/03125円23%
ケル<6919>電気機器2023/03128円20%
出所:QUICK。注: 期中ユーロ円の日次平均値は153.65円。3月を本決算とする銘柄のみ対象。

1位はドル円と同じく日樹工<6293>になります。ドル円の前提と合わせて、数字を更新していないのかもしれません。

2位のSEMITEC<6626>は医療機器や自動車、情報機器用の高精度センサを製造している企業です。3位の池上通<6771>はドル円の2位に位置していました。

4位の力の源ホールディングス<3561>は海外でも大人気の一風堂などを展開する外食チェーン、5位のH.U.グループホールディングス<4544>は臨床検査薬、検査サービスなど、ヘルスケア関連の事業を主軸とする企業となります。

海外比率と為替変動のインパクトを加味して期待度の高い銘柄を抽出

これらの銘柄も、会社の為替前提と現状が乖離している点で、今後の上方修正の期待は高まりますが、米国および欧州での事業規模の情報が含まれていません。いくら想定外の円安が進行していたとしても、2つの地域の売上高のインパクトが小さければ、それほど大きな影響は出ないでしょう。

そのため、米国の売上高比率とドル円前提の乖離率、欧州の売上高比率とユーロ円前提の乖離率のように、2つの要素を組み合わせて、為替変動の実質的なインパクトを計測する必要があります。

今回は、2つの要素それぞれのパーセンタイルスコア(最大値を100、最小値を0として相対的な位置づけを見る方法)の平均値を計算することで、為替の「インパクト係数」として定義しています。

2つのインパクト係数が高いほど、今後の業績の上方修正への期待が高い銘柄と考えることができそうです。参考までに、ドル円インパクト係数、ユーロ円インパクト係数が高い銘柄を、次ページにそれぞれ掲載しておきます。

※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。



 

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