佐藤志樹氏【下値模索の日経平均、果たしてここは買い場か】 <相場観特集>
―欧米株安で投資家心理悪化、リスクオフとどう向き合う?―
23日の東京株式市場は、日経平均株価が下値模索の展開を強いられ、3万1000円台近辺の攻防となった。前週末の米国株市場ではNYダウ、ナスダック総合株価指数ともに下値模索の動きが続いており、日本株も引き続き売り圧力が拭えない。ここは買い場と見てよいのかどうか、投資家サイドとしても大いに迷う局面である。ここからのマーケット展望と個別株戦略などについて市場関係者に話を聞いた。
●「押し目買い好機、ミクロに視点移行し早晩戻り足に」
佐藤志樹氏(東洋証券 ストラテジスト)
株式市場全般は下値模索の展開となっているが、早晩底を入れリバウンドに転じる公算が大きいとみている。ボラティリティの高い相場が続いているが、足もとではやや変動幅が縮小傾向にある。中東情勢や米国の金利動向などマクロ面からのネガティブ材料が、株式市場の上値を重くしているが、一方でこれから米国や日本で徐々に本格化する企業の決算発表は総じて良好な内容が見込めそうで、ここに注目したい。ミクロへと視点が移ることで、跛行色はあっても企業のファンダメンタルズを評価した買いが全体相場の押し上げ要因となるだろう。
今月末に予定される日銀の金融政策決定会合では一部で政策修正の可能性も取り沙汰されるが、展望リポートで物価見通しの修正などはあっても金融政策面での変更はなさそうだ。また、日銀の決定会合に1日遅れで行われる米連邦公開市場委員会(FOMC)も利上げは行われない可能性が高いとみている。日米の金融政策が現状維持となればショートポジションの買い戻しなどで全体相場には浮揚力が働きやすい。
目先的には中東での地政学リスクが気にされている。紛争拡大によって原油市況の高騰につながるといったケースも考えられ、株式市場は一時的に下に振られる場面も想定されるが、そこは絶好の押し目買いチャンスと捉えられる。向こう1ヵ月でみた日経平均のレンジは下値が10月初旬につけた安値水準である3万500円程度、上値は3万3000円前後とみている。物色対象としては、為替相場の円安進行も考慮してトヨタ自動車 <7203> [東証P]やホンダ <7267> [東証P]などの自動車株が狙い目だろう。また、半導体関連は銘柄によって選別が必要といえるが、市況が軟化していないパワー半導体の周辺株は見直し人気に乗りそうで、ローム <6963> [東証P]、富士電機 <6504> [東証P]などをマークしたい。このほか、三越伊勢丹ホールディングス <3099> [東証P]など百貨店株をはじめとするインバウンド関連株も、売られ過ぎの是正で買いが入ってくる可能性は高そうだ。
(聞き手・中村潤一)
<プロフィール>(さとう・しき)
明治大学商学部卒。2013年東洋証券に入社。同年より、9年間個人投資家を中心とした資産アドバイザーを経験し、2022年4月より現職に。
株探ニュース