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9279 ギフトホールディングス

東証P
3,430円
前日比
-5
-0.15%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
34.9 8.66 0.52 0.53
時価総額 685億円
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ギフトHD Research Memo(4):基本戦略は「事業拡大と運営体制強化+DX推進」


■中期経営計画

1. 基本戦略
ギフトホールディングス<9279>は、チェーンストアシステムをバックボーンに「出店戦略」「人材育成」「PB商品」を強化することで事業を拡大し運営体制を強化しているが、これに近代企業として欠かせない「DX推進」を加えた「事業拡大と運営体制強化+DX推進」を基本戦略としている。これにより繁盛店の多店舗展開を継続し、基本戦略の重要な機能を内製化することで高収益・高成長を目指している。こうした「事業拡大と運営体制強化+DX推進」は、同社のビジネスモデルを特徴付けているということができる。

(1) 出店戦略
出店戦略のうち店舗開発は、社長と経験豊かな開発要員が担っている。出店する際は、候補地の競合店状況、駅乗降客数、商圏人口、通行量・交通量などの立地特性やブランドとの相性、投資額などを独自基準と照合し総合的に判断しており、ヒットの確率が高い。また、「人口集中エリアとラーメン高消費エリアの直営店」「地方エリアのプロデュース店」と全国の出店エリアを分ける一方、出店判断についてはプロデュース店を含めて同社で一元的な意思決定を行っている。立地の特徴としては、商品力が強いため1等地でなくても十分に収益を稼ぎ出すことができることから、駅近の裏通りや郊外の街道沿いといった立地でも事業として成立するところにある。ドミナント出店※をしているため、依然として地盤の首都圏での出店余地は大きいが、西日本や北関東・東北など地方での出店も開始した。

※出店エリアでの優越性を確保することを目的に、そのエリアに集中出店することで認知度を上げたり配送を効率化したりする出店方式で、エリアにおける収益の最大化を目的としている。


(2) 人材育成
同社は従業員教育を内製化しており、社内の研修体制を確立している。これにより店内の元気ある雰囲気やスムーズなオペレーションなど、標準化されたサービスをどの店舗で提供できることになる。また、全社員が月に1度集まって店舗単位で課題解消などについてプレゼンし、成功事例の横展開を図っている。評価制度や表彰制度、インセンティブ制度、キャリアアップなどモチベーション向上のための制度もある。このような人材育成に合わせて多店舗出店をしているため、店舗数が多くなっても運営レベルの低い店が出てくるようなことはないようだ。

(3) PB商品
個人のラーメン店は通常、麺を製麺メーカーから仕入れるか店内で打ち、店内で生ガラからタレやスープを焚き出す。このため、2店舗目以降は味や品質が安定せず、多店舗展開のスケールメリットを得にくい。同社がこのような課題を乗り越え、多店舗展開に成功した理由の1つが、ラーメン店にとって最も重要な麺・タレ・スープ・チャーシューなどをPB商品化した点にある。なお、麺やスープ、チャーシューは自社で製造しており、タレについては品質管理が行き届き供給力のあるメーカーに製造委託している。また、配送についても、在庫機能のある自社物流センターに集約している。これらの結果、店内ではラーメンをセットアップする作業のみとなり、1) 職人の養成を必要としない、2) 廃棄ロスが少ない、3) 水道光熱費が安い、4) 仕込みの人件費を抑えられる、5) 低コストで安定した配送が可能となる、6) 出店立地の制約が少ない――といったメリットが得られるのである。

(4) チェーンストアシステム
同社の経営手法は、社長自らが科学的なアプローチを続けているところに特徴がある。それがチェーンストアシステムであり、商品やオペレーションなどの継続的な改革を通じて仕組みを効率化していくもので、基本戦略として同社の強みの源泉となっている。同社のチェーンストアシステムは、商品とオペレーション、製造・物流の3つ改革に重点が置かれている。

商品面では、商品や調理方法を標準化・単純化することで、安定した品質の商品を提供することを目指している。具体的には、前述したようなPB商品化により、仕込みや包丁作業など店内作業の軽減を図っている。また、ABC分析※により、メニューをブラッシュアップし主力商品に集中することで、品質の安定と提供速度の向上を進めている。オペレーション面では、調理工程の簡略化や動線の改善などにより、商品ごと、従業員ごと、店舗ごとの品質や提供速度、サービスのばらつきを解消することを目指している。また、各店のパフォーマンスを最大化するため、フォーラムなどを通じて優れたオペレーションノウハウを全店で共有している。PB商品の拡大もオペレーションの改善につながっており、店内作業を大きく削減することができた。製造面では、多店舗展開に耐えられる生産体制を自社で構築することにより、品質・生産能力向上、安定供給とコスト削減を目指している。物流では、自社の物流センター網を構築することで、配送頻度低減によるコストメリットや安定供給を実現し、多店舗展開を支えている。

※売上や販売個数など指標の重要度順にメニューを並べて分析することで、メニューの改廃などに生かす販売管理手法。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

《SI》

 提供:フィスコ

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