ギフトHD Research Memo(1):原材料価格が高騰するなか、業績は好調に推移
■要約
1. 会社概要
ギフトホールディングス<9279>は、「町田商店」を主力ブランドに、直営ラーメン店の運営(直営店事業部門)及びプロデュース店(契約先店舗)への食材や運営ノウハウの提供など(プロデュース事業部門)を行っている。直営店では、クリーミーなスープが特徴の家系ラーメンの「町田商店」やガッツリ系の「豚山」、油そば「元祖油堂」など、複数ブランドのラーメン店を人口集中エリアやラーメン高消費エリアに出店している。プロデュース店は、オーナーが地盤とする地方エリアなどへの出店を進めている。2023年10月期第3四半期末の店舗数は、直営店193店舗(業務委託店含む。うち海外3店舗)、プロデュース店548店舗(うち海外15店舗)だった。なお、足元で、一部のブランドで同一屋号によるフランチャイズ(FC)店舗の展開も開始した。
2. ビジネスモデル
同社は、チェーンストアシステム※をバックボーンとした「出店戦略」「人材育成」「プライベートブランド(PB)商品」を基本戦略に、繁盛店を多店舗展開する仕組みを構築してきた。「出店戦略」については、競合状況などを総合的に勘案し、プロデュース店を含め同社が一元的に意思決定を行っている。「人材育成」については、オペレーションを単純化・標準化する一方で教育・研修体制や評価・人事制度を確立し、どの店舗でも同水準のサービスを提供している。「PB商品」については、麺・タレ・スープ・チャーシューなどを自社工場や委託先工場で製造することで、効率的で安定した供給につなげている。このように出店開発やPB製造など重要機能を内製化しており、同社ビジネスモデルの大きな特徴となっている。
※小売や外食、サービス業など、同一または類似の商品を扱う企業が規模を拡大し多店舗展開する際、本社がセントラルコントロールする経営方式。個店主義を名乗る企業を含め、大半の上場小売・外食企業が採用している。
3. 中期経営計画
同社は2022年12月、基本戦略をベースに「事業拡大と運営体制強化+DX推進」を目標とする中期経営計画を策定し、2025年10月期に売上高300億円、経常利益30億円、店舗数1,000店を目指している。中期経営計画では、既存事業の拡大、新業態の展開、海外展開、出店力の強化、製造・購買・物流体制の強化、ESGを重要テーマとし、DXの推進によってテーマの遂行を後押しする計画になっている。なかでも、1店舗当たりの品質向上、積極的なM&Aによる新業態の獲得、モデル開発の強化、製造・購買・物流体制の強化全般、ESG経営の推進、DXの推進といった取り組みにおいて注目すべき進展があった。特に工場と物流センターの強化・整備が進んだことにより、店舗における人時生産性が改善、原材料価格が高騰するなかで業績が好調に推移する要因となった。
4. 業績動向
2023年10月期第3四半期の業績は、売上高が前年同期比36.1%増の16,632百万円、営業利益が同42.5%増の1,598百万円と非常に好調だった。新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)からの回復に加え、原材料高に対して相対的に小幅な値上げに留めたことで客数が大幅に増加したこと、売上総利益率は低下したものの人時生産性の改善によって販管費率がそれ以上に改善したことが要因である。特に売上高前年同期比17.5%増と好調だった直営既存店が好業績をけん引したが、プロデュース店も復調の兆しを見せた。2023年10月期業績について同社は、売上高で前期比20.5%増の20,500百万円、営業利益で同30.4%増の2,050百万円を見込んでいる。第3四半期の好業績や、前期比4.7%増という期初のままの直営既存店の前提などを考慮すると、通期業績が上振れる可能性が高まったと言えよう。
■Key Points
・「町田商店」など複数ブランドのラーメン店を直営店とプロデュース店で全国に多店舗展開。海外展開も本格化
・「事業拡大と運営体制強化+DX推進」により、2025年10月期に売上高300億円、経常利益30億円を目指す
・原材料高に対し値上げを小幅に留めたことで客数が大幅増、2023年10月期業績は上振れる可能性が高まった
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
《SI》
提供:フィスコ