STIフードHD Research Memo(6):水産系ベンダーとしての社会的使命を果たす
■事業概要
4. SDGsへの取り組み
魚食の世界的拡大により調達のリスクが増しているが、STIフードホールディングス<2932>の調達に関しては、その販売力から商社や水産会社の協力が十分得られているようだ。しかしリスクはそれにとどまらず、地球温暖化による海水温の上昇によって漁場が変わるなど、漁業自体の持続可能性が危機にさらされている。同社製品の原材料が魚であることを考えると、それだけ同社のSDGsへの取り組みは切実といえる。このため同社は、持続可能性を考慮した原材料調達を実践しており、現状で同社の鮭の認証原材料使用率は50%となっている。また、食品メーカーの使命としてフードロス・食品廃棄物の削減を目指しており、同社の銀鮭ドレス(下処理)の原材料使用率は99.2%となっている。さらに、地球に優しい事業活動の観点から温室効果ガスの排出削減を目指しており、電気式フリーザーから窒素凍結機に入れ替えることで、CO2の排出量を削減する方針である。同社はこのように、調達・加工・流通・消費・廃棄までのすべてのバリューチェーンにおいて、環境や社会への負荷を軽減し、事業を通じて社会課題の解決に取り組んでいる。
ちなみに、2022年5月、東日本大震災で大きな被害にあった宮城県石巻の復興支援「2022-23年プロジェクト」を、地元高校生と同社が協力して開始した。後継者不足が深刻な問題となっている水産業において、後継者育成など様々なチャレンジを進めている宮城水産高等学校と、食品を通じて石巻の魅力を発信しているSTIミヤギが、「オール宮城」をテーマに1年の準備期間を経て、原料の金華さばから水、塩、みそといった調味料、缶まで県産品にこだわった「金華さば缶」を共同開発、2023年2月より東北地域で販売を開始した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
《SI》
提供:フィスコ