【特集】「生成AI」が9位にランクイン、エヌビディアの存在感が象徴する新時代<注目テーマ>
JPX日経400 <日足> 「株探」多機能チャートより
1 半導体
2 半導体製造装置
3 人工知能
4 全固体電池
5 JPX日経400
6 防衛
7 TOPIXコア30
8 水素
9 生成AI
10 地方銀行
みんかぶと株探が集計する「人気テーマランキング」で、「生成AI」が9位となっている。
人工知能(AI)は昨年来、進化速度が加速しているとの認識が高まっている。その最大の背景は生成AI市場の急拡大によるものだ。いかなる推論を積み重ねてもたどり着けぬ領域、そこに直観の一撃をもって鮮やかに到達することができるのが人間の脳が持つ特権であり、AIが演算能力をいかに高めても追いつかれることはない、というのが2000年代初頭までの間違った認識であった。ディープラーニング(深層学習)という技術革新とビッグデータの融合で、その後AIはモンスター化し人間の感性や経験では全く太刀打ちできない存在と化した。これが直近10年間の歴史である。
そして生成AIが登場した。従来型AIは演算能力がずば抜けていても、プログラミングされた範囲で一定の動作を繰り返す、いわゆる池の中のクジラであったが、今は人間と同様に背景知識を持たない状態から自ら学習して進化し、人間以上のコンテンツを独自に生成するという新たなステージへと飛躍を果たしている。大量データをもとに学習し文章や画像、音楽といったコンテンツを生成する能力を有し、それも現在進行形で進化のプロセスを歩んでいる。経済的な影響はもちろん倫理的・政治的側面からも世界を大きく揺るがしているのが現状だ。
AI先進国の米国では新興AI企業のオープンAIが昨年11月にリリースした「Chat(チャット)GPT」が世界の耳目を驚かせたが、ITの大巨人マイクロソフト<MSFT>が目ざとく同社に巨費を投じ、技術を自社のサービスに実装することで生成AIという新たなフィールドで先行した。これに、米アルファベット<GOOGL>傘下のグーグルやアマゾン・ドット・コム<AMZN>、メタ・プラットフォームズ<META>などが猛追している状況にある。今後は新たなAIスタートアップが続々と輩出される可能性もある。また、この生成AI関連の特需をハード面で取り込んだのが米画像処理半導体大手のエヌビディア<NVDA>であり、生成AIと抜群の適合性を持つGPUで、約8割という圧倒的な市場シェアが収益を様変わりさせた。
この生成AI分野で日本は立ち遅れているようにも見えるが、今年のG7議長国として、生成AIの利活用や規制のあり方を議論する枠組みを示した「広島AIプロセス」で主導的な立場を明示し、これを契機に技術開発面でも国策を総動員して同分野でのキャッチアップを急いでいる。政府が今月下旬に策定する新経済対策では、AIの基盤技術の開発強化策や、AI活用を中小企業や医療分野で普及させるための具体策に踏み込む方針が伝わっており、株式市場でもにわかに関連株に資金が流入している。
関連銘柄としてはブレインパッド<3655>、FRONTEO<2158>、ユーザーローカル<3984>、ヘッドウォータース<4011>、さくらインターネット<3778>、PKSHA Technology<3993>などのほか、AI用半導体に絡むメーカーや商社としてエンプラス<6961>、東京エレクトロン デバイス<2760>、マクニカホールディングス<3132>なども併せて注目される。
出所:MINKABU PRESS