STIフードHD Research Memo(3):シェア86.0%を占めるセブン-イレブンが主販路
■事業概要
1. 事業内容
STIフードホールディングス<2932>は食品生産販売事業を単一セグメントとしているが、販売先別及び製品別の分類を行っている。販売先別では、セブン-イレブングループ向けの売上高が86.0%(2022年12月期)を占め、セブン-イレブン以外は14.0%(同)に過ぎない。セブン-イレブン向けの内訳は、チルド惣菜やおにぎり具材のほか、冷凍食品、缶詰など常温食品である。セブン-イレブン以外は、ECサイトなどで扱う食品や、外食チェーン向けイクラや白子、食品スーパー向け缶詰や珍味などで、OEMの受託やキャットフードの生産も行っている。製品別では、水産原材料を使ったチルド惣菜や缶詰、レトルト製品など食品が大半を締め、他はおにぎり・弁当・パスタ・サラダ向けに生産・販売される水産具材など食材となっている。なお、セブン-イレブングループ向けの商流は、食品についてはセブン-イレブン各店への販売(物流は各地デポへの配送)、食材については食材商社への卸売となっており、食材はその後、おにぎりなどを生産するデイリー惣菜メーカー(コンビニベンダー)へと運ばれる。
(1) 食品
素材となるサーモン、サバ、ホッケ、イカ、タコ、赤魚、などは、旬の時期に国内外で水揚げされた原材料を、自社による徹底した検品体制のもとに調達し、徹底した温度管理のもとで下処理から骨取り、加熱調理、冷却、包装など一貫生産を行うことで、おいしさを逃がさないようにしている。また、チルド惣菜は一般に消費期限が短いため、販売機会ロスやフードロス(廃棄)につながりやすいという課題を抱えているが、同社は商品包装に特殊なプロセスを入れることで、消費期限の大幅な延長を実現した。チルド惣菜以外では、サバ、イワシ、サンマ、ツナ、牛筋煮込みなど水産原材料などを使った缶詰・レトルト製品を、保存するばかりでなく毎日の食卓におかず(惣菜)として食されることを前提に生産している。特にサバやイワシはDHAやEPAといった不飽和脂肪酸を多く含むことから、ヘルシー食品として需要が伸びている。同様に健康志向から、オリーブオイルを豊富に使用した缶詰やカルシウム豊富な骨をそのまま食べられる缶詰なども注目されている。
(2) 食材
コンビニエンスストアのおにぎりの素材となるサーモンやイクラ、辛子明太子などに関しても、食品と同様、旬の時期に国内外で水揚げされ、検品と温度管理を徹底した原材料を使用している。売れ筋のサーモンフレークは、特許取得済みの特殊な製法により家庭での焼き立ての味や食感を再現でき、日本人のみならず外国人からも好評である。イクラに関しては、菌管理の問題からおにぎりの具材として使用が難しいと考えられてきたが、これも特許取得済みの同社独自の静菌管理技術(細菌の発育・増殖を抑制する技術)によって使用が可能となり、着色料などを使用せずに、熟成したサーモン卵本来のおいしさを引き出すことを実現した。辛子明太子についても、熟成による自然なおいしさに加え、着色料・添加物を使用しない安全・安心な食材として消費者に好評である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
《SI》
提供:フィスコ