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2932 STIFHD

東証S
5,000円
前日比
+25
+0.50%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
15.2 3.58 2.40
時価総額 296億円
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STIフードHD Research Memo(2):セブン-イレブンなどへチルド惣菜やおにぎり具材を販売


■会社概要

1. 会社概要
STIフードホールディングス<2932>は、魚など水産素材を原材料に、食品や食材の生産・販売を行う食品メーカーである。主として大手コンビニエンスストアチェーンであるセブン-イレブン向けに、焼魚などチルド惣菜やサーモンフレークなどおにぎりの具材を販売している。同社の特徴は、国内外で確立した検品体制を背景に商社や水産会社から調達した水産原材料や、おいしさ・品質を追求した独自の技術で量産する生産能力、徹底した温度管理(冷凍、冷蔵、常温の3温度帯)と極限までフードロスを削減した一貫生産にあり、他社にまねできない差別化されたポジションを確立している。同社は「持続可能な原材料・製造への取り組み」「フードロスの削減への取り組み」「環境への配慮」「原料調達から製造・販売まで一貫した垂直統合型の展開」「健康志向と魚文化を重視した中食への取り組み」を基本方針に掲げ、家庭における魚調理離れの一方、健康志向を背景に世界的に広がる魚食ニーズという事業環境のなかで、中長期的な企業価値向上と持続的な成長の実現に取り組んでいる。


極洋とセブン-イレブンに高く評価された技術力
2. 沿革
同社は、創業者である十見裕氏(現代表取締役社長)によって1988年12月に水産原材料及び水産食材の輸出入販売を目的に設立された、新東京インターナショナル(株)を起源とする。生鮮品の商事業務(輸出入)でスタートして徐々に業容を拡大、大手コンビニエンスストアチェーン向けにおにぎり具材のイクラやサーモンなどの販売を開始した。さらに差別化を求めて生産に進出、事業譲受により取得した工場設備を活用して惣菜の製造を開始した。業績は順調に拡大し成長を続けたが、工場の設備投資など資金需要が増えるなか、リーマンショックに端を発する円高により為替予約で多額の損失を発生させて資金繰りが悪化、2010年4月に民事再生法の適用を申請することとなった。

しかし、2010年9月、新東京インターナショナルの販路や生産技術に注目していた極洋<1301>がスポンサーとなり、極洋の連結子会社エス・ティー・アイ(株)が民事再生手続きに基づいて生産部門の事業譲受を行った。一方、当時すでに主販路となっていたセブン-イレブンも同社の技術力を高く評価していたため、同社は取引を継続でき、その回転差資金などもあって業況は順調に回復~再拡大していった。2013年4月にエス・ティー・アイは、もともと新東京インターナショナルの完全子会社であった(株)新東京フードに吸収合併され、2017年11月には食品生産販売事業を統括する持株会社として同社が設立された。2018年1月に新東京フードを分割して一部事業部門と管理部門を同社に移管、この間も業績は順調に拡大し、2020年9月には東京証券取引所市場第2部に上場した。現在は東京証券取引所スタンダード市場に上場、極洋及びセブン-イレブンの運営会社である(株)セブン-イレブン・ジャパン(セブン&アイ・ホールディングス<3382>の子会社)がそれぞれ、発行済株式総数の8.44%(2023年6月末現在)を継続保有している。


水産系チルド惣菜は成長を継続、おにぎりも需要が回復
3. 中食市場の動向
同社が属する中食市場は10兆円以上の規模であると言われ、かつては惣菜専門店が中心だったが、現在ではコンビニエンスストアや食品スーパー、外食のテイクアウトがシェアを伸ばしている。なかでもセブン-イレブンなどコンビニエンスストアのおにぎりや弁当など米飯類が、利便性や商品開発力を背景に主販路となった。近年、少子高齢化や人口減少により日本人の食料消費量が減少するなか、コロナ禍における「オフィス需要」や「行楽需要」の縮小をきっかけに需要が頭打ち傾向となった。一方、おかずをパックしたチルド惣菜は、日持ちのよさ(チルド惣菜は殺菌・静菌技術が進んでロングライフ化している)から単身者や小家族の簡便化ニーズを背景に、コロナ禍の「巣ごもり需要」のなかで需要が拡大した。コロナ禍の行動規制が緩和され、外出機会が増えている現在、「巣ごもり需要」の縮小とともにチルド惣菜の需要も減少に転じたようだ。しかし、同社の水産系チルド惣菜は、健康志向を背景に根強いニーズがあるうえ、新技術の導入によって年々バリューを上げていることから、成長を続けている。なお、外出機会の増加とともにおにぎりの需要も回復しているようだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

《SI》

 提供:フィスコ

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