FB Research Memo(2):5G生活様式支援事業を中心に、全事業が増益
■業績動向
2. 2024年4月期第1四半期セグメント別業績
(1) 5Gインフラ支援事業
売上高が前年同期比4.3%増の2,427百万円、セグメント利益が同11.5%増の438百万円となった。固定回線網においてサービスの利用減少や人員強化のためのコスト増、オンライン動画、ゲームといったリッチコンテンツやSNSなどの自宅における利用の定着、テレワークや在宅学習の普及、オンライン形式の会議・授業が一般化したことによってネットワーク原価の高止まりなどがあった一方、モバイル回線網ではサービスの利用が増加し、事業全体として増益を確保した。モバイル回線網においては、大手モバイル通信キャリアによる格安プランの提供やサブブランドの展開が独自型MVNO(仮想移動体通信事業者)の成長に影響を及ぼす傾向はあるものの、IoT向けの利用増加などでモバイル市場全体の成長を押し上げている。このためフリービット<3843>は、MVNE(MVNOの支援事業者)としてMVNO向け支援事業に注力し、顧客ニーズに合わせた独自プランやコンポーネントの提供に注力した。加えてSIMの販売で付加価値の高い「データ/SMS/音声」の構成比が伸びたこともあり、事業全体の売上高と利益を押し上げた。なお、戦略投資は5Gデータセンターの整備やデータ連携プロジェクトなどが中心で、同23.3%増の74百万円となった。
(2) 5G生活様式支援事業
売上高が前年同期比38.8%増の7,600百万円、セグメント利益が同174.4%増の1,034百万円となった。固定回線網のネットワーク原価の上昇するなか、主力サービスの1つである5G Homestyle(集合住宅向けインターネットサービス)が順調に推移した。前年同期に一時的に高まったTONE事業のマーケティングコストが減少したことなどもあり、セグメント利益は大幅に増加した。4ヶ月の変則決算となった5G Homestyleを担うGPGの4月度業績を除いた実質値でも非常に高い伸びを示した。5G Homestyleについては、テレワークやオンライン授業、動画コンテンツ視聴などの利用が一般化していることから、資産価値や入居率の向上を目的に建物に高速ブロードバンドを導入することが定着しつつある。また、ユーザーの通信速度の高速化に対する要望に応えるため、より高速な集合住宅向けISPサービスに対する需要も拡大している。同社はこうしたニーズに積極的に対応するとともに、「スマートタウン(都市インフラ等の利便性をデジタル技術の活用により高めていく街)」の実現に向けた取り組みも強化した。5G Lifestyleでは、5G/web3/メタバース時代の到来を見据え、独自テクノロジーを活用したスマートフォンサービス「トーンモバイル」に注力し、AIで家族を見守る「TONEあんしんAI」を搭載した家族向け見守りサービス「TONEファミリー」や、ネット依存などの解決を視野に入れた次世代オンライン健康相談サービス「TONE Care」を提供するなど、様々な社会問題の解決にも取り組んだほか、契約数増加に向けた効率的なマーケティング施策も継続した。また、戦略投資は「TONE Care」の開発やweb3関係の開発などが中心で、同16.7%減の125百万円となった。
(3) 企業・クリエイター5G/DX支援事業
売上高が前年同期比15.6%増の4,668百万円、セグメント利益が同104.7%増の197百万円となった。国内の広告需要は、新型コロナウイルス感染症が5類感染症へと移行するなど経済活動が正常化に向かったことを背景に、同社グループにおいては季節性があるものの緩やかな復調基調となった。このためアフィリエイト事業の粗利が増加したほか、(株)フルスピードの完全子会社化に伴うPMI効果により販管費が減少し、セグメント利益は大幅増益となった。戦略投資はクリエイター向けプラットフォ―ム「StandAlone」を中心に前年同期比60.0%減の12百万円を投入した。また今後も引き続き、新規アプリのリリースも予定している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
《SI》
提供:フィスコ