ニッソウ Research Memo(4):2023年7月期は高単価案件が好調に推移し、売上高は過去最高業績を達成
■業績動向
1. 2023年7月期の業績
ニッソウ<1444>の2023年7月期の業績は、売上高が前期比18.9%増の4,166百万円、営業利益が同32.7%減の148百万円、経常利益は同31.1%減の142百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同49.3%減の69百万円となり、売上高は2022年7月期に続いて過去最高を更新した。なお、同社は2023年7月期から連結決算へ移行した。そのため、前期比増減率は参考値として単体業績との比較としている。
人材採用を積極化するなかで(2023年7月期末の従業員数は前期末比30名増の87名)、新規顧客が前期末比304社増の2,781社と順調に拡大した。加えて物件オーナーの投資意欲が回復し、規模が大きく単価の高いリノベーション工事や外壁工事等が好調だったことも売上高を押し上げた。各利益は、将来の事業拡大と業績拡大に向けた成長投資を積極的に実行したことで、減益となった。投資の内容は、2023年3月に日本リゾートバンクを子会社として設立して新規事業に進出したほか、将来の事業拡大に向けて愛知県を地盤に住宅リフォームなどを手掛ける(株)安江工務店への出資と出資比率の引き上げ、埼玉県を中心にリフォーム工事全般を手掛ける(株)ヤナ・コーポレーションの買収・子会社化、香港にてリフォーム事業を行う匠屋本鋪有限公司との資本提携を実施した。新事業領域への進出とさらなる企業価値の向上に向け、投資における成長戦略の進捗は順調と言えるだろう。なお、ヤナ・コーポレーションに関しては、数年後、収益貢献してくることを見込んでいる。そのほか、株主優待制度も開始したことで、利益に影響した。
自己資本比率59.4%と財務体質は健全。流動比率203.0%、固定比率43.7%で長短の支払い能力に問題なし
2. 財務状況と経営指標
2023年7月期末の財務状況は次のとおり。なお、同社は2023年7月期から連結決算に移行した。そのため、前期末比は参考値として記載する。
総資産は前期末比800百万円増加の2,491百万円となった。主な増加要因は、流動資産では税金等調整前当期純利益143百万円を計上したこと、短期借入金が400百万円、長期借入金が87百万円増加したことにより現金及び預金が145百万円増加したほか、完成工事未収入金が62百万円、契約資産が30百万円、未成工事支出金が7百万円増加した。固定資産では関係会社の株式取得等により投資その他の資産が406百万円増加した。
負債合計は前期末比668百万円増加の1,012百万円となった。主な増加要因は、流動負債において工事未払金が79百万円、短期借入金が400百万円、1年内返済予定の長期借入金が24百万円、株主優待引当金が17百万円増加した。固定負債は、長期借入金が87百万円増加した。純資産合計は前期末比132百万円増加の1,479百万円となった。親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が69百万円、第三者割当増資による募集株式の発行により資本金が33百万円、資本剰余金が33百万円増加したことなどによるものである。
キャッシュ・フローの状況は、営業活動によるキャッシュ・フロー(法人税控除後)は67百万円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローは469百万円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローが549百万円の収入となった。当期純利益の計上によって、営業活動によるキャッシュ・フローがしっかりと利益を確保している。フリー・キャッシュ・フローがマイナスとなったものの、将来の事業拡大に向けて積極的に投資を行っていることが要因であり、典型的な成長企業のキャッシュ・フロー計算書であると言える。
経営指標は、流動比率は203.0%、固定比率は43.7%、ROEは4.7%、ROAは5.7%となった。流動比率と固定比率は成長投資のための原資を借り入れたことなどより前期よりも数値が悪化したものの、依然として十分に健全な数値である。このことから長短の手元流動性に問題はないと弊社は考える。ROEとROAに関しても、前期比で数値がマイナスとなったものの、将来の事業拡大に向けて成長投資を行ったことが要因である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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提供:フィスコ