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9067 丸運

東証S
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12:34 11/27
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丸運 Research Memo(4):2024年3月期は料金改定等の寄与で増益見通し


■業績動向

1. 2023年3月期の業績概要
丸運<9067>の2023年3月期の連結業績は、営業収益が46,586百万円(前期比0.3%減)、営業利益が439百万円(同34.0%減)、経常利益が612百万円(同20.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益が316百万円(同32.1%減)となった。コロナ渦における行動制限が緩和されたことで、社会活動の正常化が進んだが、原材料・燃料・食料の価格高騰、欧米諸国における急激な利上げ、中国経済の低調等依然として、先行き不透明な状況が続いている。このような環境の中で燃料費の高騰という不透明要因があったものの、料金の改定やサーチャージの導入によって対応した。ただ、海外物流において、コロナ禍における施策として打ち出されたロックダウンの影響で中国経済が停滞したことがマイナス要因としてのしかかった。さらに、コスト面では、国内対象全拠点への基幹システムの導入完了により、そのコストが対前年全社で304 百万円ほど増加となっており、これが収益を圧迫し減益を余儀なくされた。基幹システムの導入は、ここ数年の課題となっていたものの、これが完成したことで効率化が進展するため、長い目でみれば業績へのプラス要因になる。

分野別で見ると、一般貨物はBtoBビジネスであることから、コロナ禍に伴う社会活動制限の影響を受けたが、行動制限が緩和されるにつれて、一部の既存貨物は上向きに転じた。一方で、半導体不足によって、自動車・家電等が減産となったことで、一部の素材物流が停滞、とりわけ、中国経済の減速から同国向け輸送全般が落ち込んだ影響も受けた。新規冷蔵保管案件の不調も響いている。昨今の原油価格の急騰を背景にした燃油費上昇の影響は、引き続き収益を圧迫する要因として懸念されたものの、価格改定のほか、サーチャージ制度導入の効果が生じた。

(1) セグメント別動向
a) 貨物輸送
貨物輸送の営業収益は23,324 百万円、セグメント利益は同76.5%減の103百万円となった。前述したように、コロナ禍の一巡によって、一部既存顧客の売上は伸びているものの、半導体等の部材不足による自動車関連産業が停滞し、素材物流の海外向けが不振となった。利益面では、運賃改定やサーチャージが寄与したものの、基幹システム導入によるコストの増加、倉庫照明のLED化に伴う費用増が収益を圧迫した。

b) エネルギー輸送
エネルギー輸送の営業収益は15,400百万円、セグメント利益は前期比10.8%増の277百万円となった。石油部門では、コロナ禍からの需要回復があるものの、石油製品の内需が減少傾向にあり、ほぼ横ばいとなった。一方、潤滑油・化成品部門は、潤滑油が出荷箇所の変更の影響等で輸送量が前期比で3.3%減となった。しかしながら、運賃改定効果が大きく、燃料代や基幹システム導入に伴うコスト増を吸収して増益を確保した。

c) 海外物流
海外物流の営業収益は6,042百万円、セグメント利益は55百万円(前期比19.6%増)となった。主力の中国における経済の停滞が響いたものの、ベトナム現地法人の連結化と為替影響により、全体的には強含みとなった。

d) テクノサポート
テクノサポートの営業収益は1,794百万円、経常利益は前期比128.6%増の96百万円となった。製油所関連の定期修理工事の規模縮小、油槽所関連では受託業務が一部終了したマイナス要因があるものの、関係会社での退職金制度変更に伴う引当金の戻し等により増益となった。

e) その他
その他の営業収益は24百万円、セグメント利益は80百万円(前期は4百万円の損失)となった。

(2) 財務状況
2023年3月期末の資産合計は前期末比1,420百万円減少し37,685百万円となった。このうち流動資産は262百万円減少したが、このうち、現金及び預金に関しては397百万円増加したが、営業未収入金及び契約資産の減少326百万円、その他の流動資産の減少444百万円となった。また、固定資産は1,159百万円減少した。他方、負債合計は前期末比1,777百万円減少し13,205百万円となり、純資産合計は同356百万円増加し24,479百万円となった。

財務体質は良好である。有利子負債を抑える傾向にあり、財務面は安定している。2023年3月期においては、短期借入金が前期末の2,521百万円から1,444百万円に、長期借入金が前期末の1,914百万円から1,070百万円にそれぞれ減少した。その結果、2023年3月期末の自己資本比率は64.1%(前期末は60.8%)と改善している。

2. 2024年3月期の業績見通し
2024年3月期の連結業績予想については、営業収益で前期比0.5%増の46,800百万円、営業利益で同34.2%増の590百万円、経常利益で同14.3%増の700百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同51.8%増の480百万円を見込んでいる。会社側では、経常利益700百万円となる背景として、プラス要因に料金改定分331百万円、新規顧客分194百万円、前年度に発生した基幹システムの導入費用の減少等を見込んでいる。前期に引き続いて、料金改定の寄与が大きくなりそうだ。

既述のとおり、コロナ禍に伴う行動制限が解除されたことにより、世間一般の個人消費及び設備投資は回復基調にあるが、住宅投資や公共投資の減少から、国内の総貨物輸送量は前年を下回る状況で推移している。海外事業については、主力の中国でロックダウンによる景気落ち込みが影響したが、今後は日本同様に制限解除等によって、回復に向かうものと想定されている。一方、再び原油価格の高騰により燃油費がさらに上昇した場合、収益を圧迫する可能性があるものの、サーチャージ制や料金の改定の浸透によって、カバーできるものと想定できそうだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野文也)

《SO》

 提供:フィスコ

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