エージェント・インシュアランス・グループ Research Memo(7):クロスセルを促進し通期予想の達成を目指す
■今後の見通し
1. 2023年12月期の業績見通し
エージェント・インシュアランス・グループ<5836>の2023年12月期第2四半期の連結業績実績は、会社計画に対しややビハインドとなったが、2023年12月期の連結業績は、営業収益で前期比15.3%増の3,767百万円、営業利益で同40.2%増の276百万円、経常利益で同47.1%増の276百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同66.0%増の186百万円となる期初予想を据え置いている。
保険診断アプリ「ほけチョイス」は2023年9月にバージョンアップを予定し、これを活用して損害保険から生命保険へのクロスセルを促進する。営業利益の通期予想に対する進捗率は12%程度であるが、同社の利益は下期のウエイトが大きくなる傾向があるため、「ほけチョイス」の活用が進みクロスセルが推進されれば予想業績の達成は可能と思われる。
損害保険代理店の大型M&Aがドライバー。成長継続に期待
2. 中長期成長戦略
引き続き、損害保険代理店のM&A及び事業承継がドライバーとなり継続的な成長が期待される。同社は保険会社から紹介される形でほかの保険代理店のM&A及び事業承継を進めている。同社への合流後に「パートナー社員」「勤務型代理店」となった募集人には「保険代理店支援プラットフォーム」を通じて、営業・事務両面からのサポート体制、週1回の面談や月1回の勉強会の開催、E-Learningを活用した研修支援、FP・AFP資格を持った社員の営業同行支援等を行い、「あんしん」して働ける環境を創出している。東京海上日動火災保険から専業代理店9,946店のうちわずか36店の代理店のみに与えられているトップクオリティーの代理店であることを示す「ロイヤルエクセレント」に同社はこれまで26年連続で入賞している。
同社は、日本国内にて確立している「保険代理店支援プラットフォーム」を米国でも展開している。同社米国子会社は、全50州のうち38州(ほか1特別区)でライセンスを取得しており、この強みを生かして保険代理店・保険ブローカーのM&A及び事業承継統合を軸に一層の事業拡大を図る方針である。
今後は大型のM&Aも推進し成長の加速を図る。大型M&Aの第1候補は比較的規模が大きい損害保険代理店である。同社が得意とする損害保険のアップセルと生命保険へのクロスセルの余地が大きい代理店もある。第2候補は兼業の保険代理店である。自動車ディーラー、修理工場、不動産業者、旅行代理店等は保険代理店を副業で展開している場合が多い。ただし、これら兼業代理店では保険知識が不十分であるほか、本業との利益相反の問題が生じることもある。これまでM&Aの多くは小型の保険代理店であったが、大型M&Aを実施することで成長に弾みをつける方針だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 田窪芳人)
《SO》
提供:フィスコ