エージェント・インシュアランス・グループ Research Memo(1):今後は大型M&Aも推進し、成長の加速を図る
■要約
エージェント・インシュアランス・グループ<5836>は、個人及び法人に損害保険(ストック収益)と生命保険(フロー収益)をワンストップで提供している。同社は、保険業法の改正や損害保険会社による手数料ポイント制度の変更、保険代理店オーナーの高齢化等を背景に統廃合が進む保険代理店業界に対し、「保険代理店支援プラットフォーム」を提供し、積極的なM&A及び事業承継を推進することで成長してきた。これらの多くは小型の保険代理店であるが、今後は大型のM&Aも推進し成長の加速を図る。
1. 2023年12月期第2四半期の業績概要
2023年12月期第2四半期の連結業績は、営業収益1,684百万円(前年同期比8.5%増)、営業利益32百万円(同41.2%減)となった。営業収益は、ビジネスモデルの根幹である事業承継及びM&Aの取り組みが引き続き順調に推移し、前年同期比で増収となった。営業利益については、合流する保険募集人を「保険代理店支援プラットフォーム」を通じて支援する組織体制・運営体制の強化を先行して行ったことにより、前年同期比で減益となった。なお、第2四半期は、社内計画に対し、保険診断アプリ「ほけチョイス」※の活用進捗が遅れたことでクロスセル・アップセルが想定を下回りややビハインドとなったもようである。
※保険診断アプリ「ほけチョイス」:ユーザーはオンライン上で簡単な質問に答えるだけで、個々人の条件に基づく最適な保険を診断することができる。このアプリを活用することで、損害保険の契約者に対し生命保険を分かりやすく提案することができ、これまで以上にクロスセルの促進につながることが期待される。
2. 2023年12月期の業績見通し
2023年12月期の連結業績は、営業収益で前期比15.3%増の3,767百万円、営業利益で同40.2%増の276百万円と、2ケタの増収増益の見通し。保険会社とのさらなる関係強化を図りながら、損害保険のマーケット拡大に向け、中小損害保険代理店を中心に事業承継及びM&Aを推進する。保険診断アプリ「ほけチョイス」は2023年9月にバージョンアップを予定している。これを活用し、損害保険から生命保険へのクロスセルを促進する。2023年12月期第2四半期累計営業利益の通期予想に対する進捗率は12%程度であるが、同社の利益は下期のウエイトが大きくなる傾向があるため、「ほけチョイス」活用が進みクロスセルが推進されれば予想業績の達成は可能と思われる。
3. 中長期成長戦略
引き続き、損害保険代理店のM&A及び事業承継がドライバーとなり、継続的な成長が期待される。同社は損害保険会社からの紹介や合流した保険代理店等からの紹介を受け、ほかの損害保険代理店の統合を進めている。また、同社は日本国内にて確立している「保険代理店支援プラットフォーム」を米国でも展開している。同社米国子会社は、全50州のうち38州(ほか1特別区)でライセンスを取得しており、この強みを生かして保険代理店・保険ブローカーのM&A及び事業承継を軸に一層の事業拡大を図る方針である。これまで同社のM&A対象の多くは小型保険代理店であったが、比較的規模が大きい損害保険代理店や兼業代理店を対象に、大型のM&Aを実施することで成長に弾みをつける方針だ。
■Key Points
・損害保険代理店の業界再編を背景に、M&A及び事業承継を通じて事業規模を拡大
・2023年12月期業績については「ほけチョイス」の活用でクロスセルが推進されれば達成見込み
・国内で確立している「保険代理店支援プラットフォーム」を米国でも展開
(執筆:フィスコ客員アナリスト 田窪芳人)
《SO》
提供:フィスコ