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5017 富士石油

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想定外の原油高、WTI“100ドル”視野で石油関連株に一段高期待 <株探トップ特集>


―サウジ、ロシアの減産延長で需給逼迫懸念、INPEXなどの割安感強い―

 原油相場の上昇基調が続いている。今年の半ばまでは1バレル=60ドル台の水準にあった原油価格は、足もとでは90ドル台を突破した。想定外ともいえる原油高に反応する格好で、株式市場は原油関連株の人気に沸いている。ただ、世界景気の先行きには不透明感も強く、原油を取り巻く好環境が続くとは言い切れない。果たして、年末に向け原油相場はどう動くのか。原油相場の行方と石油関連株の動向を探った。

●サウジとロシアによる減産が相場押し上げ要因に

 米原油先物相場で、18日のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)は10月限が前週末比0.71ドル高の1バレル=91.48ドルに上昇。一時92ドル台まで値を上げ、昨年11月上旬以来、10カ月ぶりの水準まで買われた。原油相場は、夏場に入り一気に上昇基調を強めている。

 この原油高の背景にあるのが、サウジアラビアとロシアによる原油の供給削減の動きだ。石油輸出国機構(OPEC)の盟主であるサウジは、今月上旬に7月から実施している日量100万バレルの自主減産を12月まで3カ月延長すると表明。また、世界第3位の原油生産量を誇るロシアも減産を延長し、年末にかけ輸出量を日量30万バレル減らすことを発表した。この発表を受け、原油価格は上昇基調を強めた。国際エネルギー機関(IEA)は9月の月報で、第4四半期(10~12月期)に大幅な供給不足になる可能性を指摘。原油市場の需給逼迫が警戒されるなか、原油相場は上昇基調を強めている。

●当面の原油相場は高値圏を維持か、米中経済動向も注視

 三菱UFJリサーチ&コンサルティングの芥田知至主任研究員は、「サウジの減産延長は予想外で原油高の要因となった」と指摘する。今後の原油相場に関しては、「投機的な売買もあり、原油価格が100ドルに接近することは有り得るだろう。ただ、産油国には供給余力はあり、いまのところ100ドルを大きく超えて上昇基調を強めることも想定しづらい。もっとも80ドル割れも見込みにくく、年末にかけ高止まり状態が続くのではないか」とみている。原油価格100ドル台で一段の上昇があるとすれば、不透明要因を乗り越えて中国や米国の景気が拡大することだ、と同氏はいう。供給面の削減もさることながら、原油への需要も高水準にあることも見逃せない要因となっている。次の重要イベントとして、11月26日のOPECプラスの閣僚級会合が関心を集めている。
 
●石油は指折りの人気業種、業績に上振れ期待も

 そんななか、いまや指折りの人気業種になっているのが石油関連株だ。代表銘柄のINPEX <1605> [東証P]の年間での上昇率は60%を超え、2008年9月以来、15年ぶりの水準に上昇している。INPEXと石油資源開発 <1662> [東証P]などが属する業種別の「鉱業」の年間上昇率は60%を超え、トヨタ自動車 <7203> [東証P]などが入る「輸送用機器」の50%超を上回っているほどだ。INPEXの今期想定原油価格は、北海ブレントで1バレル=80ドルで、積極的な株主還元も行っており、株価には一段高期待が強い。

 ENEOSホールディングス <5020> [東証P]や出光興産 <5019> [東証P]、それにコスモエネルギーホールディングス <5021> [東証P]といった大手元売りも株価の一段高期待は強い。原油価格の上昇は備蓄する在庫評価益の拡大などにつながり、業績面の追い風に働く。ENEOSと出光興産の配当利回りは3%台で連結PBRもともに0.6倍台と割安で一段高余地がある。コスモHDには、「物言う株主」として知られる旧村上ファンド系のシティインデックスイレブンスなどが大株主となっている。今期は大幅増配で、配当利回り4%台の水準にある。石油精製の富士石油 <5017> [東証P]も連結PBRは0.4倍の水準にある。

●日揮HDなどプラント関連などにも注目

 また、原油高を背景にプラント株なども再評価されそうだ。日揮ホールディングス <1963> [東証P]や千代田化工建設 <6366> [東証S]、東洋エンジニアリング <6330> [東証P]はLNG(液化天然ガス)基地や化学工場などの建設需要増が期待される。ニチアス <5393> [東証P]やトーヨーカネツ <6369> [東証P]、明星工業 <1976> [東証P]、日立造船 <7004> [東証P]なども見直し余地がある。それに浮体式石油・ガス生産貯蔵積出設備の大手である三井海洋開発 <6269> [東証P]などにも注目したい。

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