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2216 カンロ

東証S
3,185円
前日比
-40
-1.24%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
16.0 2.82 2.51 5.41
時価総額 488億円
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カンロ Research Memo(9):「中期経営計画2024」は堅調に推移(2)


■カンロ<2216>の成長戦略

3. 具体的な取り組み
2023年12月期下期に向けて引き続き、コア事業では「Z世代との共創による商品開発」、グローバル事業では「中国向け専用ブランド(「0糖1刻」)をもって中国市場を深耕」、デジタルコマース事業では「4つの方向性の事業展開」、フューチャーデザイン事業では「廃棄包材のアップサイクル開始」といった具体的な取り組みを行う。この新規3事業で売上高成長率CAGR30%以上という目標に変わりはない。

(1) Z世代との共創による商品開発(コア事業)
コア事業では、2022年8月よりキャンディとZ世代との新たな共創プロジェクト「Z世代 飴の原体験共創プロジェクト」を発足。カンロ社員間での座談会、現役高校生との座談会を十数回にわたり実施し、実際の商品開発にも現役高校生3名を「キャンディディレクター」に任命し、商品コンセプトからメッセージ、フレーバー、パッケージまで約半年にわたり会議と試作を繰り返し、2023 年 5 月に新商品「透明なハートで生きたい」を全国のコンビニエンスストア及び駅売店で販売をスタートした。同商品は、「飴をなめる時間が自分にとって意味のある時間になる」ような、「ポジティブな気持ちの変化が生まれる飴」を目指して開発した。10代の悩み・葛藤などの「ゆらぐ気持ち」に、じんわり溶ける飴だからこそ実現した心が安らぐ体験を提供することで、飴本来の魅力を再認識できるタッチポイント(顧客と企業との接点)として展開する。

また、2023年7月には、「KanroPOCKeT」を中心に「カンロのファン」との相互コミュニケーションの場となるファンミーティングを開催した。カンロへの期待やファン同士の共感意見等の蓄積したデータは今後のマーケティング活動に活用し、さらにデジタルマーケティングを進化させる。

(2) 中国専用ブランドを販売展開(グローバル事業)
同社は、グローバル事業では輸出入業の基盤確立として、中国市場の深耕と新市場開拓による事業拡大を目指し、中国の世界的キャンディメーカーである深?市金多多食品有限公司(以下、Amos)と総販売店契約を締結した。中国でAmosを通じて日本国内でも展開している「金のミルク」「色えんぴつキャンディ」などの販売を進めながら、日本国内では、Amosが世界展開する「4Dグミ」の総販売店として商品の定着を目指している。

既存ブランドの販売を先行しながらも、中国への本格的参入を考えている。現在の中国のキャンディ市場において機能価値が注目されていること、中国の糖尿病患者数が増加傾向にあることなどから、ノンシュガータイプのキャンディのニーズを見込んでおり、本格的な味わいを実現したヘルシーキャンディの中国専用新ブランド「0糖1刻(りんたんいーくう)」を立ち上げ、テスト販売を開始。中国アリババグループのECサイトTmallにカンロ旗艦店を開設し、販売は好調に推移している。2023年3月からの本格発売開始に伴い中国で人気のSNS「微博(Weibo=ウェイボー)」「紅小書(RED=レッド)」における同社公式アカウントの立ち上げを行い、運用と広報活動をスタートした。さらに2023年秋頃には新商品1アイテムを投入する予定である。

新市場開拓については、2023年12月期は第2フェーズである米国市場も視野に入れてパートナー選定を進めており、既存ブランド(「ピュレグミ」「金のミルク」「健康のど飴梅」など)から商品販売の展開を考えている。米国市場は、世界最大の市場で、競合メーカーが乱立し、人種や地域性などにおいて多様性に富んだ地域ではあるが、これまで培ったマーケティング力を駆使し、ターゲットを絞れば、同社のブランドを浸透できると同社は見ている。まずは、既存ブランドの日系スーパーや越境ECによる販売を開始し、テストマーケティングを重ね、メインストリームでの販売を目指す。

欧州市場においては、2019年2月に日本とEUとの間で発効された「日EU経済連携協定(EPA)」により、ほぼすべての関税が撤廃されることが決まり、日欧間の貿易が円滑になり、今後、日系企業は欧州における競争力も高まっていくため、グミ市場のシェア拡大を狙う同社にとっては追い風となる。

(3) 下記の4つの方向性で事業を展開(デジタルコマース事業)
デジタルコマース事業では、ヒトツブカンロ、既存ブランドの活用、機能性や素材を活かした商品の開発、キャンディの持つ可能性の提案といった4つの方向性で事業を推進している。直営店舗である「ヒトツブカンロ」を中心に事業基盤を築き、ECサイト「KanroPOCKeT」専用商品やサービスを提供する。

(a) ヒトツブカンロ
「ヒトからヒトへつながるヒトツブ」をコンセプトにお土産、ギフトに最適な商品を販売する直営店「ヒトツブカンロ」を展開する。「ヒトツブカンロ」では、一般流通商品に比べれば小ロット生産でパッケージデザインにも注力し、こだわったワンランク上の商品を直接顧客に販売している。直接同社のこだわりや価値観、商品の特性を伝えることができるため、顧客と直接コミュニケーションがとれ、CRMの向上にもつながる。外側はパリッと、中はしっとりとした次世代食感のグミ「グミッツェル」は、5年をかけて開発し、2012年の発売以来、累計約1,600万枚を販売している。東京駅のお土産ランキングでは毎回上位に入り、見た目や味だけでなく、「音」を楽しめるグミとして人気を博している。さらに、2024年春に東京都渋谷区原宿に新規オープンする東急プラザ原宿「ハラカド」1階に「ヒトツブカンロ原宿ハラカド店」を出店する予定である。

(b) 既存ブランドの活用
2022年7月には、同社のデジタルプラットフォーム「KanroPOCKeT」のオンラインショップで、顧客が好きな商品を1袋単位で注文できる定期便サービス「ポケサブ!」を開始した。「カンロ飴」や「ピュレグミ」などの一般流通品のほか、EC専用商品などを取り扱う。さらに、2023年6月に、LINEやメール、DM等で気軽にギフトを送ることができるeギフトサービス「AnyGift(エニーギフト)」を開始、eギフト向け商品としてヒトツブカンロの人気商品をセットにした「ヒトツブカンロのおくりもの セレクトセット」の販売をスタートさせた。これまでも住所を知っている相手にはプレゼント用に送ることはできたが、同サービスの導入により、住所を知らない相手にも気軽に送付することができ、受け取り側も会員登録不要で利用できるようになった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 中山博詞)

《SI》

 提供:フィスコ

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