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災害大国日本を守る「防災DX」関連株、政府の取り組み加速で大脚光 <株探トップ特集>


―関東大震災から100年、防災・減災対策にデジタル技術活用し活躍本番へ―

 各企業はビジネス環境の変化に対応するため、デジタル技術を活用して業務プロセスを改善するデジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組んでいるが、 防災の分野でもDXが求められている。背景には、気候変動などの影響で水害や土砂災害といった自然災害が頻発・激甚化していることに加え、首都直下地震や南海トラフ地震など未曾有の災害に見舞われるリスクに直面していることがある。関東大震災から9月1日で100年、東日本大震災から10年以上が経ったが、災害大国と呼ばれる日本にとって情報の集約・加工・共有機能の高度化は急務で、関連銘柄に注目したい。

●新たな国土強靱化基本計画を閣議決定

 政府は7月28日、 国土強靱化に関する国の方針を示す「国土強靱化基本計画」の改定を閣議決定した。この計画では、国土強靱化は大規模自然災害から国民の生命・財産・暮らしを守り、サプライチェーン(供給網)の確保など経済活動を含む社会の重要な機能を維持するための政策であり、国民生活や社会経済活動の礎となる国土基盤の高質化にとっても、また持続可能な発展を遂げるうえでも欠かすことのできないものだと指摘。切迫する大規模地震災害、相次ぐ気象災害、火山災害、インフラの老朽化など国家の危機に打ち勝つためには、中長期的かつ明確な見通しのもと、継続的・安定的に防災・減災、国土強靱化の取り組みを進めていくことが重要だとしている。

 こうした認識を踏まえて「国民の生命と財産を守る防災インフラ(河川・ダム、砂防・治山、海岸など)の整備・管理」「経済発展の基盤となる交通・通信・エネルギーなどライフラインの強靱化」「デジタルなど新技術の活用による国土強靱化施策の高度化」「災害時における事業継続性確保をはじめとした官民連携強化」「地域における防災力の一層の強化(地域力の発揮)」を基本方針として掲げ、デジタル技術活用の具体案として防災DX(防災デジタルツイン・防災デジタルプラットフォームの構築、次期総合防災情報システムと各府省庁などの防災情報関係システムの自動連携など)、マイナンバーカードを活用した避難所運営、現場でのロボット・ドローン・人工知能(AI)などの活用、情報通信技術(ICT)の施工、遠隔監視を挙げている。

 国土強靱化基本計画の改定をきっかけに防災DXへの注目度が高まる可能性があり、関連銘柄からは目を離せない。

●防災DXで活躍が期待される銘柄群

 ミライト・ワン <1417> [東証P]は通信工事の大手で、防災DXワンストップサービスも提供している。これは防災・減災に関わる幅広いソリューションをラインアップしたもので、具体的には地震による津波の際に命を守る退避櫓(やぐら)やソーラー充電式LED街路灯、各種情報を表示・発信するデジタルサイネージ、災害時の意思決定支援ツール「@Rispida(アット・リスパイダ)」、双方向・マルチデバイス対応の新たな情報配信サービス「@InfoCanal(アットインフォカナル)」、可搬型IP通話システム、ポータブルガス発電機など。また、局地的な集中豪雨による浸水や冠水の被害を最小限に食い止めるソリューション「冠水センサー」も手掛けている。

 オリエンタルコンサルタンツホールディングス <2498> [東証S]は総合建設コンサルタントの大手で、防災事業では平常時のソフト対策とハード対策による「事前防災」や「防災教育・防災訓練」、「発災後の災害復旧・復興」などの対応を一連で展開し、国土や地域の強靱化に向けた取り組みを進めている。直近ではグループの基幹会社であるオリエンタルコンサルタンツがハレックス(東京都品川区)と共同で、数値標高モデルと気象庁の配信する降水短時間予報から、時々刻々と変化する土砂災害危険度を可視化するシステムを開発し、7月から東京都八丈町で評価実験に着手。検証事例の蓄積により、精度の高い予測システムとして発展させる意向だ。

 セーフィー <4375> [東証G]はクラウド録画型映像プラットフォーム「Safie(セーフィー)」の開発・運営、及び関連サービスを提供している。防犯や監視カメラに強みを持ち、防災分野では河川の氾濫の監視などに活用。また、三菱ケミカルグループ <4188> [東証P]の三重事業所内で防災対策強化を目的とした実証実験を行った実績があるほか、7月には三菱地所 <8802> [東証P]が運営するフレキシブルオフィス「xLINK(クロスリンク)」の新規2施設で災害時の状況確認などのBCP対策としても活用できるクラウドカメラ「Safie」が採用されたことを明らかにしている。

 ACCESS <4813> [東証P]のチャット連動型の位置情報管理サービス「Linkit Maps(リンキットマップス)」は、デジタル庁が今年3月に公開した「防災DXサービスマップ」に掲載されている。リンキットマップスはGPSを活用し、スマートフォンで簡単に操作できる位置情報管理機能とチャット機能が融合された法人向けコミュニケーションサービス。屋外の現場作業員のリアルタイムでの位置情報の共有や、災害時の現状把握と要員アサインが容易にできる国産サービスとして、電力会社などのインフラ企業に採用されているという。

 応用地質 <9755> [東証P]は最先端のAIやIoT、地盤3次元化技術などを駆使し、脅威を増す自然災害から人々の命を守るさまざまな防災・減災ソリューションを提供している。主なものでは、大規模地震動算定/地震被害想定調査、津波高・浸水範囲予測サービス、三成分差分法による模擬地震波作成サービス、火山防災関連サービス、斜面リスクレポート、都市型斜面リスク評価サービス、地すべり3次元地下水評価・対策サービス、河川堤防健全度評価システム「Ells3D」、冠水センサーボラード、ハザードマッピングセンサーソリューションなどがある。

●ドーン、ショーケースなどにも注目

 このほかの関連銘柄としては、防災アプリを扱うドーン <2303> [東証S]、モバイルアプリ作成ツール「Platio(プラティオ)」で作成した「被災状況報告アプリ」を提供した実績のあるアステリア <3853> [東証P]、WAVE1(東京都杉並区)と防災DXで資本・業務提携しているショーケース <3909> [東証S]、災害時の迅速な情報収集と効率的な情報提供を可能にする防災ソリューションを手掛けるアジアクエスト <4261> [東証G]、河川水位をリアルタイムに15時間先まで予測する「RiverCast(リバーキャスト)」を展開する構造計画研究所 <4748> [東証S]、防災気象サービスを提供するウェザーニューズ <4825> [東証P]、先ごろ名古屋市内372カ所の市立小・中学校で災害用通信環境を整備したアライドテレシスホールディングス <6835> [東証S]、河川・砂防関連対策支援や大規模自然災害における緊急撮影を行うパスコ <9232> [東証S]など。

 デジタル庁の呼びかけで2022年12月に発足した「防災DX官民共創協議会」に参画するソリトンシステムズ <3040> [東証P]、ブイキューブ <3681> [東証P]、サイバーリンクス <3683> [東証P]、SHIFT <3697> [東証P]、インターネットイニシアティブ <3774> [東証P]、西菱電機 <4341> [東証S]、アイサンテクノロジー <4667> [東証S]、能美防災 <6744> [東証P]、日本航空電子工業 <6807> [東証P]、古野電気 <6814> [東証P]、ネットワンシステムズ <7518> [東証P]、ゼンリン <9474> [東証P]などにも目を配っておきたい。

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