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【特集】大復活の序章! 半導体製造装置関連「ここから狙う究極の6銘柄」 <株探トップ特集>

半導体製造装置関連に復活高の兆しがある。乱調相場の間隙を縫って株価上昇トレンド形成が期待できる選りすぐりの中小型株を紹介。

―生成AIが創出する次なるステージ、“エヌビディア効果”で輝き放つ中小型株に照準―

 世界の株式市場がここにきて変調をきたしている。米長期金利の上昇や中国景気減速が重荷となって幅広い銘柄に売りが先行、とりわけグロース(成長)株に風向きが悪い。日米ともに上昇相場の花形であった 半導体関連株も抗えず、メモリー市況の軟化を背景に業績が悪化する企業が目立ち、今月に入って買いが手控えられるケースが相次いだ。

 しかし、半導体セクターについては流れが変わりつつある。今はまだ深い闇に覆われているように見えるが、これは夜明け前の漆黒である。生成AIなど新たな市場をバックに半導体業界の黎明は近づいており、台湾や韓国、米国など大手半導体メーカーの能力増強に伴い恩恵を享受する日本の 半導体製造装置関連は、逆張りの機が熟したといってもよい。今買うべき半導体製造装置の中小型株を選抜する。

●中国経済と米金利上昇がもたらすアゲンスト

 東京株式市場は足もと向かい風の強い相場環境を強いられている。今年は日経平均株価が年初から順調な戻り足を形成し、新年度入りとなった4月からは一気に上昇ピッチを速め、7月初旬には終値ベースでバブル崩壊後の最高値となる3万3753円まで駆け上がった。しかし、ここが目先の頂点となり、その後も戻し切れず、全体相場は俗に言う三尊天井形成から下値を探る展開へと変わった。

 米国ではインフレ懸念が緩和し、ようやくFRBによる金融引き締めの最終局面が近づいたというコンセンサスが広がりつつあったが、皮肉にも米長期金利は再び上昇傾向を示すようになり、これと時同じくして、不動産バブル崩壊を背景とした中国経済の低迷に警鐘が鳴りやまない状況となった。言うまでもなく株式市場にとって、今はネガティブ材料に支配されやすい難しい時間帯にある。

●アドテスト、東エレクの上昇で光明差し込む

 ただ、そうした中にあって光明も差し込んでいる。18日の東京市場では朝方に中国不動産大手で経営難にあった恒大集団の破産報道が駆け巡り、リスクオフの地合いが増幅される形となった。内需からハイテクまで全面安商状に売られ、日経平均は3万1200円台まで水準を切り下げる場面があった。だが暴落には発展せず、それどころか朝方の売り一巡後は空売り筋のショートカバーで戻り足に転じ、小幅ながらプラス圏に足を踏み入れる場面すらあった。後場は売り直されたのだが、そのなかアドバンテスト <6857> [東証P]や東京エレクトロン <8035> [東証P]など半導体製造装置の主力株の一角が売り物を吸収し、上昇して引けたのは一つの注目ポイントといえる。

 前日の米国株市場の引け後に半導体製造装置世界最大手のアプライド・マテリアルズ<AMAT>が決算を発表、そこで示された8~10月期の業績見通しが市場コンセンサスを上回った。これを好感されアプライドの株価が時間外で上昇したことが、東京市場の同関連の主力銘柄にフォローウインドとなった。日米ともに半導体関連株には機関投資家の貸株調達を含めた空売りが高水準の銘柄も少なくなく、これが折に触れ株価に浮揚力を与えるケースがある。この株式需給バランスも関連株の株価動向を占ううえでカギを握る。

●マーケットの視線はエヌビディアの決算に

 そしてアプライドの決算を前座とすれば、来週23日に行われる米画像処理半導体大手のエヌビディア<NVDA>の5~7月期決算はメインイベントといってもよい。この内容にマーケットの注目度は極めて高い。エヌビディアの製造するGPUは 生成AI市場の拡大に比例して需要が急激に伸びており、スマートフォンやパソコンの売れ行き不振による在庫調整圧力とは無縁の世界を築いている。さかのぼって、同社が5月24日引け後に発表した2~4月期決算は、その内容及び見通しが好感され、翌日の米株市場で同社株は24%高の急騰をみせ話題になった経緯がある。東京市場でも、エヌビディアと密接な関係を持つアドテストをはじめ関連銘柄が軒並み値を飛ばした。今回もその再現が期待されている。

 エヌビディアの成長性は生成AI市場の拡大に裏打ちされている。米証券会社の中には直近で同社株の目標株価を800ドル(時価は433ドル)に引き上げたところもある。生成AIの成長過程では膨大なサーバーを必要とし、サーバーを設置するデータセンター増設が中期的に加速することになるが、そこで並列的な演算処理を行うGPUに爆発的な需要が生まれる。これがエヌビディア躍進の背景となっているが、アドテストやディスコ <6146> [東証P]などの日本の半導体製造装置メーカーにも収益機会がもたらされている。GPU向けパッケージを手掛けるイビデン <4062> [東証P]などもエヌビディア関連の一角としてマーケットの耳目を集めた。

●スマホ向け需要低迷の呪縛も早晩解除へ

 一方、スマートフォンの販売不振が半導体メモリーの過剰在庫の元凶に挙げられているが、9月22日に発売予定にある米アップル<AAPL>の「iPhone15」は大々的な機能刷新に伴い、年末商戦で脚光を浴びる可能性が指摘されている。ハイスペックな新機種の投入で半導体需要に新たな息吹が加わることも、設備投資増強の思惑へとつながっていく。ここでも半導体製造装置関連株への見直し機運が高まることになる。

 更にメモリーだけでなく日本が得意とするパワー半導体分野も忘れてはならない。こちらは電気自動車(EV)市場の拡大を背景に将来的な成長の伸びしろが抜群に大きい。次世代パワー半導体分野でも既に製造装置メーカーの新たな商機が生まれている。
 
 もちろん、対中規制に伴い中国への半導体製造装置の輸出額が今後減少傾向をたどる可能性は否定できない。しかし一方で、半導体サプライチェーンを国家安全保障の要衝とする米国との連携で日本の製造装置メーカーは以前と比べ段違いに優位性が高まっているのも確かだ。そうしたなか、株式市場でニッチトップに位置付けられる関連銘柄も多い。今回のトップ特集では、今後中期的にみて株価の居どころを変える可能性が高いと思われる、時価総額の比較的小さい有望株を6銘柄厳選した。

●株価変身へ期待が募る半導体製造装置関連6銘柄

◎AIメカテック <6227> [東証S]

 AIメカは微細化・積層化ニーズに対応した半導体パッケージ関連装置や半導体プロセス装置事業のほか、インクジェット・ソリューション事業などで高度な技術を駆使して需要を開拓している。投資ファンドから同社株式を買い取る形で東京応化工業 <4186> [東証P]とJUKI <6440> [東証P]がそれぞれ20%弱の大株主となったが、東応化からは半導体及びディスプレー用製造装置など各種機器の製造・販売子会社を譲受し、JUKIとは委託・受託両面で協業体制の強化を推進中。業績は24年6月期に目を見張る伸びが予想され、トップラインは前期実績から約3割増と高水準の伸びを見込む一方、営業利益も増収効果を映して前期比倍増の14億1500万円と一気に過去最高を更新する見通しだ。株価は今月9日にマドを開けて大陽線を形成した。その後は上場来高値更新を経て調整を入れているが、この踊り場は買いに分がある。青空圏に再突入し3000円台を目指す展開へ。

◎ダイトロン <7609> [東証P]

 ダイトロンは電子機器の卸売りを展開するが、技術商社を標榜するだけあって高いマーケティング能力と自社開発製品など高度なメーカー機能を有する。半導体をはじめとする製造装置分野で強みを持ち、微細加工、精密洗浄、研削・研磨技術など幅広い分野で実力を発揮する。データセンター向け電源機器でも高実績を誇る。第10次中期経営計画(21~23年)ではオリジナル製品の拡販、海外事業の拡大、新規ビジネスの創出に取り組み、業容拡大路線をまい進する。22年12月期は営業利益が前の期比44%増の60億5100万円と急拡大、続く23年12月期は前期比5%減の57億3000万円を予想するが、1~6月期時点の営業利益は34億7500万円と進捗率で6割を超え、上振れの公算大。PER7倍台、配当利回り4%台は魅力で、時価2700円近辺は絶好の押し目買い好機に。3000円台復帰から今年7月4日につけた3265円の最高値更新が有力視される。

◎浜井産業 <6131> [東証S]

 浜井産はラップ盤(研磨機)をはじめ、ホブ盤(歯切り機)、フライス盤(切削加工機)など精密機械の製造を手掛けており、半導体業界向けで高い実績を誇る。SiC(シリコンカーバイド)ウエハー対応の新素材加工機なども開発し、技術力の高さを示している。世界的に市場急拡大途上にある電気自動車(EV)向け歯車加工用の需要獲得にも力を入れている。24年3月期は売上高が前期比23%増の85億円、営業利益も同23%増の7億4000万円と2割以上の成長を見込むが、第1四半期(23年4~6月)時点で営業利益は前年同期比92%増の2億700万円と急拡大し、通期増額が視野。1300円近辺の株価は今週14日につけた年初来高値1448円から10%程度の調整を入れたが、早晩切り返し、新値街道への復帰が意識されよう。PER7倍台は水準訂正余地が大きく、自社株買いに前向きでなおかつ信用買い残が少ないこともあって、戻りに転じれば上値は軽い。

◎テセック <6337> [東証S]

 テセックは半導体製造の検査工程で必須となる分類装置(ハンドラ)と検査装置(テスター)の二つに特化した製造装置メーカーで、個別半導体用のテスターでは世界首位級の商品競争力を有している。特に車載用パワー半導体向け測定システムなどが好調で収益を牽引しているが、同商品分野は今後EV市場の拡大で一段と需要が高まる可能性が高く、中期的な成長ドライバーとしても期待される。24年3月期は増収ながら営業利益段階で前期比25%減の16億円を予想するが、第1四半期(23年4~6月)時点で前年同期比71%増の5億1700万円と大幅な伸びを達成しており、進捗率から判断して通期見通しも上振れの公算が大きい。株価は今月2日に3545円の年初来高値を形成した後は一貫して調整を強いられ、3000円台近辺での攻防に。15倍前後のPERに割高感はなく、早晩リバウンドから新高値圏へのチャレンジも十分に可能。

◎ニレコ <6863> [東証S]

 ニレコはプロセス制御機器や計測機器の製造・販売を行うが、近年は半導体製造装置分野をターゲットにレーザー装置や光学部品などのオプティクス事業に力を入れている。光学部品では、傘下に半導体検査で使われる広帯域の位相子開発などで注目を浴びた光学技研を擁し、ニレコ本体でもハイスペックなフォトマスク用レーザー光源などを手掛ける。収益面では23年3月期営業利益が前の期比倍増となる11億8200万円と目を見張る利益成長を達成した。24年3月期は前期比微増の11億9000万円を見込むが、保守的といえ2ケタ成長の可能性もある。PER10倍前後でPBRは0.5倍台、4%を超える配当利回りと、成長性の高さだけでなくバリュー株としての素地を併せ持っている点は特筆される。株価は今月中旬に1237円の年初来高値をつけた後、調整を入れているが押しは浅く、75日移動平均線をサポートラインに1100円台の株価は強気対処で報われそうだ。

◎オキサイド <6521> [東証G]

 オキサイドは光学分野における酸化物単結晶やレーザー光源、光デバイス開発などで独自技術を有するニッチトップ企業だ。半導体検査装置向け紫外レーザーなどで高い実績があるが、同商品分野は今後の同社の成長を牽引する戦略分野となり得る。また、量子コンピューターの通信で必須となる中継器向け光関連デバイスなども手掛け、時代の最先端を行く。業績は24年2月期から連結決算移行となり単純比較はできないが、トップラインは前期比で5割増と急拡大する見通し。営業利益は4億7100万円(前期は単独ベースで5億3700万円)を見込むが上振れの可能性を内包、更に25年2月期は売上高、利益ともに成長加速局面に突入する公算が大きいとみられている。時価は年初来安値圏である3100円近辺の値動きだが、来期以降の業績変貌を先取りして底値買いチャンスとなっている可能性も。ボラティリティの高い銘柄で戻りに転じれば4000円台回復は早そうだ。

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