ファンペップ---2Qは花粉症ワクチンの抗体誘導ペプチド「FPP004X」の開発を開始
ファンペップ<4881>は14日、2023年12月期第2四半期(23年1月-6月)連結決算を発表した。売上高が0.00億円、営業損失が6.22億円、経常損失が5.89億円、親会社株主に帰属する四半期純損失が5.85億円となった。2023年12月期第1四半期より四半期連結財務諸表を作成しているため、2023年12月期第2四半期の対前年同四半期増減率については記載していない。
抗体誘導ペプチド「FPP003」(標的タンパク質:IL-17A)については、2023年2月14日に公表した第1 /2a相臨床試験の速報結果において、FPP003投与症例の約8割(高用量コホート、陽性率78%(9例中7例))で抗IL-17A抗体(標的タンパク質IL-17Aに対する抗体)の抗体価の持続的な上昇が確認された。安全性に関しては、ワクチンで頻繁にみられる局所反応以外に特に臨床的に問題となるものはみられなかった。本試験結果は、同社の抗体誘導ペプチドが慢性疾患の標的タンパク質である「自己タンパク質」(IL-17A)に対して抗体誘導することをヒトで初めて示したものであり、抗体誘導ペプチドの開発コンセプトを支持するものである。また、強直性脊椎炎を対象とする開発は、医師主導治験として第1相臨床試験の段階にある。
花粉症を対象とする抗体誘導ペプチド(標的タンパク質:IgE)の研究開発プロジェクトについては、FPP004のバックアップ化合物の探索研究を実施してきたが、この探索研究において良好なプロファイルを持つ候補化合物FPP004Xの創生に成功したことから、2023年6月から、FPP004に替えて新規開発化合物FPP004Xの前臨床試験を開始いたしました。
標的タンパク質IgEに対する抗体誘導ペプチドFPP004Xは、体内で免疫細胞が一定期間IgEに対する抗体を産生させることから、花粉症に対する持続的な効果が期待されます。この効果の持続期間が長いというワクチンの特長により、同社グループは、花粉症のシーズン(飛散時期)前に投与すればシーズンを通して症状を緩和できる、患者様にとって利便性の高い新しい治療選択肢を提供することを目指してFPP004Xの医薬品開発を進めている。
一方、抗体誘導ペプチド「FPP005」(標的タンパク質:IL-23)は、本年からの臨床試験開始を目指して前臨床試験を進めてきたが、開発品プロファイルのさらなる向上を目指すため、株式会社メドレックスとの間で共同研究中のマイクロニードル技術を始め、新規製剤技術の研究を優先して進めることになった。
機能性ペプチド「SR-0379」は、複数のアカデミア主導の医師主導治験、更に企業治験を経て、現在、塩野義製薬社と同社の共同開発により日本での開発を進めている。2022年11月22日に公表した第3相臨床試験の速報結果において、SR-0379 群はプラセボ群と比較して、統計学的に有意な差には至らなかったものの、主要評価項目(「簡単な外科的措置に至るまでの日数」)を改善する傾向がみられた。安全性に関しては、治験薬と因果関係がある有害事象はなく、SR-0379 の高い安全性が確認された。同社グループは、現在、本試験の事後解析の部分集団解析で効果がみられた特定の皮膚潰瘍患者を対象とする開発について、提携先の塩野義製薬社との間で開発方針の協議を進めている。
医薬品以外の事業分野について、機能性ペプチドの販売は2018年3月にファンケル社から「マイルドクレンジングシャンプー」、更に2020年4月にSMV JAPAN社から「携帯アルコール除菌スプレー」等が発売され、同社グループの機能性ペプチドを含有する商品が販売された。機能性ペプチド配合製品の共同開発は、2022年2月にサイエンス社との間で創傷用洗浄器の共同開発契約、2022年12月にASメディカ ルサポート社及びN3社との間で幹細胞化粧品の共同開発契約、2023年2月にサンルイ・インター ナッショナル社との間でフェムテック化粧品の共同開発契約を締結した。
2023年12月期通期について、同社の事業収益は研究開発の進捗状況や新規提携候補先等との交渉状況等に依存しており、その不確実性を考慮すると現時点では合理的に算定することが困難なため、連結業績予想は記載していない。
《YI》
提供:フィスコ