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4726 SBテクノロジー

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SBテク Research Memo(6):2025年3月期の営業利益を71億円、営業利益率は9%台まで引き上げる計画


■第4次中期経営計画とその進捗状況

1. 第4次中期経営計画
SBテクノロジー<4726>は2023年3月期から2025年3月期を対象とした中期経営計画を策定した。第3次中期経営計画の成果を踏まえた第4次中期経営計画の方針として、高い技術力を維持し、それを武器にクラウド・セキュリティに注力する。ソフトバンクグループの一員として日本のDXを推進するため、グループ企業とのシナジーが大事なポイントになる。また、サステナビリティやガバナンス・持続可能性を意識し力を注ぐことが、同社の存在意義、ポジションだと認識しているようだ。

第4次中期経営計画の経営指標では、2025年3月期の営業利益をフォントワークスの株式譲渡の影響を加味して71億円に変更したが、営業利益率は2023年3月期の8.3%から、9%台まで引き上げる計画に変更はない。そのうえで、カギとなるクラウド・セキュリティ&サービスの売上高目標を500億円超としている。

重点テーマとして、「押し上げる力」「引き上げる力」「推進させる力」を掲げている。「押し上げる力」では、今後顧客のDXを推進するにあたり、まずはクラウド・セキュリティの運用・サービスを中心としたインフラ支援を行っていく。「引き上げる力」では、今後必要となるであろうセキュアなインフラ上での顧客自身によるデータを活用したDXの自走化を推進する。「推進させる力」では、顧客のDXを実現・継続していくための人財をコンサルティング及びIT教育で支援する。

同社は現在12県とその市町村に自治体情報セキュリティクラウドを、数百のエンタープライズ企業にマネージドセキュリティサービスを提供している。いずれもセンターにおいて24時間365日体制で監視し、AIなども用いて解析している。特に自治体情報セキュリティクラウドの場合、SOC(セキュリティオペレーションセンター)だけではなく、NOC(ネットワークオペレーションセンター)も預かっており、これをベースにDXを推進する。また、農林水産省で3,000件の紙の申請をわずか3年で、しかも省の職員の力によって電子化のフォームを作り上げることができたという事例があり、これから他自治体でも同様に実績を拡大していくと弊社では考えている。

また、2022年7月19日にAKKODiSコンサルティング(株)(旧社名Modis(株))とエンジニア採用、人財開発の領域で業務提携契約を締結した。提携により、事業に即した教育研修を受けたAKKODiSコンサルティングのITエンジニアを、同社に供給するスキームを構築する。これにより従来の採用活動に加えて、即戦力のITエンジニアの確保が可能となり、これまで以上に優秀なITエンジニアの採用強化を図る。AKKODiSコンサルティングは、若手エンジニアの育成機会の創出のみならず、今回の取り組みを通じて得た新たな採用ノウハウや人財開発の知見を他事業へも提供し、HRコンサルティング領域での実績拡大につなげていく考えである。

2. 中期経営計画の進捗状況
通信向けビジネスについては、前述したようにベンダーマネジメント案件を徐々に減らして、高付加価値の案件にチャレンジした結果、2023年3月期の売上総利益率は前期の14.0%から17.1%と3.1ポイント改善した。2024年3月期は引き続きベンダーマネジメント案件を減らしていく減収トレンドに変わりはないが、オフショアでの開発を再開すべく拠点を整備中であり、コストの削減やリソースの確保につなげる計画だ。また、通信会社内のインナーシェアを高めていくことでも、利益率を引き上げていく。

中期経営計画を中軸となって牽引していくエンタープライズ向けビジネスにおいては、2023年3月期に、顧客とともにDXを共創していくコンサルティング能力を確保するため、日本国内で百数十名しかいないというCBAP(Certified Business Analysis Professional)の資格取得者を同社で52名確保。2024年3月期は、顧客のクラウド、コミュニケーションインフラ構築支援から一歩進めて、データの格納方法やChatGPTなど生成AIを活用したデータの分析・活用手法などについて、顧客ごとのニーズに応じたコンサルティングを展開していく計画である。また、これを支えるセキュリティについても伸ばしていくことで、受注が好調なマネージドセキュリティサービスをパートナーとして巻き込んで拡大していく。同社では、ソフトバンクグループ各社に対しても、クラウド・セキュリティの運用・サービスを積極的に伸ばしていく考えである。

公共向けビジネスについては、農林水産省から2019年に受注し、2023年3月期末までに共通基盤を整備し3,000を超える手続きのオンライン化が完了した共通申請サービス(eMAFF)、ならびに申請時に必要な農地情報などの地図情報の電子化・統合(eMAFF地図)が、2024年3月期には運用フェーズに入る。農林水産省からは、両システムの保守・運用を2024年3月期以降複数年分を受注した。今後、共通申請サービスでは、マニュアル整備やChatGPTなど生成AIの活用などを進め利用率向上を図るとともに、地図情報では、現地確認作業などの効率化・省力化に向けて、データ更新に衛星画像やAI技術の活用を推進していく予定である。

同社としては、これまでにナレッジ化された申請業務や地図情報管理業務と同様のシステムを他省庁や自治体に向けて横展開していくことを考えている。その際は、一度システムを作り上げているので、効率よく導入していくことが可能となり、各方面からの引き合いが期待される。また、2022年3月と8月に自治体情報セキュリティクラウドで発生したインシデントに対して、機器の交換、システムの改修を行うとともに、大規模な障害訓練を4回実施。うち2回は417の自治体からの参加を得て、情報伝達時間や復旧時間などをテストし、2023年3月末で最終報告を完了した。今後は、自治体情報セキュリティクラウドの仕様の中でEDR(Endpoint Detection and Response=端末などのエンドポイントのセキュリティ)監視・運用ができるようなシステムのオプション販売、Microsoft365の導入・移行とセキュリティサービス、Teams導入・運用など、自治体でのコミュニケーションインフラ周りのビジネスを展開していく。

これらのビジネスの展開において、同社が重視しているのが人財の確保・育成であり、社員への還元にも力を入れている。2022年4月には2020年4月に続いてベースアップを実施するなど、2012年以降10年間で、世間水準と比較して平均約2倍の水準の賃上げ率で月例給与を引き上げてきており(2022年3月期で同社は6.29%、全産業平均は2.02%)、年間平均給与は607万円から757万円に引き上げられている。同社では、技術者の新しい技術の習得のための休暇取得制度の導入や費用面での助成を手厚くし、長時間労働の抑止に向けて効率的かつ柔軟な働き方が可能な勤務制度・残業時間の削減に取り組むなど、様々な取り組みにより社員のエンゲージメント向上を図っている。2023年3月には、このような実績が評価され、経済産業省の健康経営優良法人認定制度において、「健康経営優良法人2023(大規模法人部門)」に認定された。

(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)

《AS》

 提供:フィスコ

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