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7187 ジェイリース

東証P
1,272円
前日比
-21
-1.62%
PTS
1,283円
23:41 11/22
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
12.0 4.40 3.54 20.85
時価総額 228億円

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Jリース Research Memo(1):2023年3月期は売上高100億円超え、各利益でも過去最高を更新


■要約

1. 事業内容
ジェイリース<7187>は、賃料債務保証業界の大手の1社である。同社の特徴は、地域に密着したサービスの提供と多店舗展開であり、全国の主要都市に拠点を拡げつつ(2023年5月時点で全国36店舗)、地域に根差した営業活動と入居者への対応を行っている。そのため、中小の不動産会社からの支持は厚く、23千件の不動産会社と協定を結ぶ。住居用賃料保証と事業用賃料保証の両市場でトップグループに入る稀有な企業であり、“業界オンリーワンの総合賃料保証会社”を目指している。

同社のビジネスモデルは、店舗と人で都市部を中心に面展開し、顧客のニーズに徹底的に応えることで信頼を勝ち取り、入居者審査では独自データを活用し厳格にリスクを管理するという“地域密着+リスク管理徹底ビジネスモデル”である。具体的な特長としては、店舗網と人数、きめ細かな商品・サービス、協定件数と申込件数、事業用賃料保証とクロスセリング、業界トップ水準の代位弁済発生率と代位弁済回収率、高い成長性・収益性の6点が挙げられる。

2. 業績動向
2023年3月期の連結業績は、売上高で前期比19.6%増の10,960百万円、営業利益で同25.0%増の2,465百万円となり、売上高で初の100億円を超え、各利益でも過去最高を更新した。売上面では、住居用賃料保証、事業用賃料保証ともに大都市圏や新規出店エリアでの顧客獲得が堅調に推移した。これは、強みである地域密着営業、外部企業との連携やニーズに対応した顧客の囲い込み等が奏功した結果でもある。利益面では、過去4年以上にわたり独自のデータベースを活用して与信審査の強化を行ってきたこと、入居者の状況に応じた債権管理業務を引き続き実施したことなどにより、与信コストがコントロールでき、債権管理業務の効率化につながった。経営指標では、代位弁済発生率は5.8%(前期は5.8%)、代位弁済回収率が97.6%(同98.6%)と高い水準であることから、債権の質が維持・向上し、債権管理業務が効率的に行われていると言える。

3. 今後の見通し
2024年3月期の連結業績は、売上高で前期比13.7%増の12,460百万円、営業利益で同5.5%増の2,600百万円と、過去最高業績を更新する予想となっている。売上高では、前期(19.6%増)と比べ緩やかな成長になるものの、外部環境はアフターコロナ期に入り、住宅用・事業用ともに事業機会が拡大することが想定される。利益面では、高い収益性を維持するもののやや伸びが鈍化する予想である。この要因は、賃金の大幅ベースアップ、TVCMを軸としたプロモーションなどの先行投資を行う計画であるためである。また、物価上昇やコロナ関連の補助金効果の剥落等の影響を織り込み、代位弁済発生率(6.2%予想)及び代位弁済回収率(97.0%予想)は若干低下すると予想している。弊社では、住宅用・事業用ともに事業環境が良好であり、上期の先行投資により認知度及び人的パフォーマンスが向上、売上規模の拡大による規模の効果が期待できることなどから、通期では業績予想を超えてくると見ている。

4. 成長戦略・トピック
同社は、未来投資として、「人」「システム」「プロモーション」に先行投資をすることで中長期の成長を計画している。「人」に関する注目の施策としては、業績連動賞与の導入(2023年3月期冬期賞与から導入済)があり、従来の賞与額に比べ平均で約40%アップとなった。2023年4月からは賃金の大幅アップも行っている。新入社員の給与が約20%アップとなるほか、全社員の給与水準を向上する。また、扶養家族の人数に応じた家族手当の新設や社宅における社員負担割合の軽減、スーパーフレックス制度の導入など様々な制度の変更、導入を行った。これらにより優秀な人材の確保やモチベーションの向上が期待できる。「システム」に関する注目の施策としては、与信審査におけるAI分析の導入が挙げられる。これまで与信審査のモデル作りの作業はデータベースをもとに人手で分析してきたが、AIが最適なモデルを分析することで、与信審査の精度向上や業務効率化が期待される。2023年夏頃には本システムの稼働を予定する。「プロモーション」に関しては、既にTVCMが全国ネットで放映されている。俳優の満島真之介氏がテナントを借りた若手社長を演じるCM「オフィスにて…」編は、不動産オーナーの感情をユニークに表現しており、同社の役割やブランドを伝える上で強い印象を残すものとなった。業界での評判も良いという。同社では上期に集中して放映を行い(予算160百万円)、効果検証を行いながら、下期のメディアミックスに反映させる計画である。事業用賃料保証市場は、保証利用率が低く成長市場であるため、認知度の向上を図りつつ業界ナンバーワンを狙う。

5. 株主還元策
同社は、株主への利益還元を経営の最重要課題の1つとして位置付けており、財務体質の強化や事業拡大のための内部留保の充実を図りつつ、安定的かつ継続的な配当を行う方針である。配当は、中間と期末の年2回を基本的な方針としており、配当性向30%以上を継続する方針である。好調な業績を背景に、配当を再開した2021年3月期からは増配ペースが加速した。2023年3月期は年間配当金60.0円(中間25.0円、期末35.0円)、配当性向32.0%となった。2024年3月期は、年間配当金70.0円(中間35.0円、期末35.0円)、配当性向35.9%を予想する。中長期的に安定した利益成長が見込まれるため、安定した増配が期待できるだろう。また、長期的な個人株主との関係強化を見据え、株主優待制度としてプレミアム優待倶楽部を導入している。

■Key Points
・業界屈指の店舗網・人材を基盤に、地域密着で中小不動産会社と協業する営業スタイル。住居用賃料保証と事業用賃料保証の両市場でシェアを拡大中
・2023年3月期は売上高100億円超え、各利益でも過去最高を更新。住居用賃料保証、事業用賃料保証ともに順調
・2024年3月期はアフターコロナ期の事業機会を捉え業績拡大予想。売上高12,460百万円、営業利益2,600百万円と過去最高更新を見込む
・大都市圏でのシェア拡大余地大。人件費・AIシステム・TVCMなどの先行投資を加速
・2023年3月期は年間配当金60.0円(前期比20.0円増)、配当性向32.0%。利益成長により安定した増配が期待できる

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)

《SI》

 提供:フィスコ

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