AIAI Research Memo(7):新中期経営計画「AIAIグループ中期経営計画2023~2025」
■成長戦略
1. 事業環境の変化
AIAIグループ<6557>が展開する「AIAI三育圏(AIAI NURSERYが提供する保育、AIAI PLUSが提供する療育、及び子会社CHaiLDが提供する教育)」を取り巻く事業環境としては、待機児童問題が解消に向かい、業界全体で認可保育園の新設が減少傾向(東京23区の新規開設数は2021年4月の88施設から、2023年4月は27施設まで減少)となる一方で、少子化の局面でも発達に障害を抱える子どもの数が増加の一途(障害を抱える子どもの数は2003年から2020年の間で4.89倍に増加)を辿り、これに伴って障害児施設の数が増加基調となっている。
2. 新中期経営計画「AIAIグループ中期経営計画2023~2025」
待機児童問題が解消に向かう一方で発達に障害をかかえる子どもが増加傾向という事業環境の変化や、同社のAIAI NURSERYが利益化フェーズ入りして連結営業利益が2023年3月期に初めて黒字化したことなどを踏まえて、同社は従来の中期経営計画を見直し、2023年5月に新たな「AIAIグループ中期経営計画2023~2025」を策定した。テック事業の位置付け見直し、訪問支援サービスや幼児教育プログラムなどの新たなビジネスモデル構築なども織り込んだ。目標数値としては、2026年3月期の売上高120億円~130億円、営業利益3億円~5億円、3ヶ年累計投資予定額6.8億円などを掲げた。
基本戦略として、待機児童問題の解消に伴って業界全体で認可保育園の出店速度が鈍化している状況を踏まえ、今後市場が成熟期に突入することも念頭に置き、引き続きニーズ及び投資対効果の高い地域への出店を継続し、業界再編も見据えた取り組みを推進するほか、AIAI NURSERYを中心とした「AIAI三育圏」によるグループシナジー効果の最大化を図る。
具体的戦略として、AIAI NURSERYについては、自前出店のほかM&Aも視野に入れて、規模の拡大と利益の安定成長を推進する。2026年3月期末の施設数は89施設の計画としている。今後の金利環境の変化にも柔軟に対応するため、大型投資には自己資金の活用を優先する。AIAI PLUSについては、認可保育園に次ぐ成長の柱として育成を継続するが、サービス品質のさらなる向上と収益の最大化を図るべく作業療法士など有資格者の獲得・育成に注力するため、人材獲得・育成ペースに合わせた出店計画を新たに策定した。同時に、専門家が保育施設を訪問してプログラムを提供する保育所等訪問支援を軸に、新たなビジネスモデルを構築して収益拡大を図る。
テック事業については、事業環境の変化を踏まえて、これまでの成長分野という位置付けを見直し、同分野のリソースを「AIAI三育圏」構築に向けて再配置する。なお子会社CHaiLDの商材であった保育ICTプロダクトについては、今後の保育市場の見通しを踏まえて2023年3月期にソフトウェア全額を減損損失として計上するとともに、サービスの見直しを実施済である。
コーポレート関連の取り組みとしては、財務・資本面において引き続き自己資本の充実を図り、財務面から事業の安定的成長を支えることを目指す。人的資本面においては、施設・オフィスのすべての社員が働きやすい環境整備や人材育成を促進する。AIAI NURSERY及びAIAI PLUSにおいては、施設で働く職員のライフステージや働き方などの志向に応じたワークスタイルの選択肢を増やし、仕事と家庭の両立をサポートすることで、長く活躍できる職場環境を構築する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)
《SI》
提供:フィスコ