EG Research Memo(5):生成系AIを活用した社内ツールを開発・導入
■成長戦略
1. 生成系AIを活用した社内ツールを開発・導入
「ChatGPT」に代表される生成系AIツールは、チャット上での自然な対話を通じて様々なトピックやテーマにおいてユーザーに役立つ情報をテキスト・画像・動画などの手法でコンテンツを瞬く間に生成できるため、様々な場面で活用できビジネスの生産性を向上させる可能性があると言われる。イー・ガーディアン<6050>では、生成系AIツールや大規模言語モデル(LLM)を活用した良質なサービスを開発・企画するための安心・安全な検証環境として、2023年5月に、社内にてOpenAI,Inc.が提供するChatGPT APIを搭載した社内向けAIチャットツール「EG Chat(Powered by ChatGPT API)」を開発し、活用を開始した。本ツールで入力した情報はAIの機械学習には利用されず、外部に情報が漏えいしない仕様である。また、検証の中で編み出した良質なプロンプトを保存し、社員間で共有ができるテンプレート機能等を実装し、同社が提供する多様なサービスにおける生成系AIの活用方法を社員一人ひとりが考えることを支援する。一例としては、同社が既に活用しているメールカスタマーサポートツール「hinagata」と生成系AIとの本格的な連携検討が始まっている。
2. 注力するサイバーセキュリティ分野ではサブスク型事業モデルを拡大する方針
同社は、既存事業を着実に成長させるとともに、新規分野として、サイバーセキュリティ分野及び海外事業を成長させる中期展望を持っている。サイバーセキュリティ市場は、リモートワークやクラウドサービスの普及に伴いセキュリティ強化のニーズが高まる傾向にある一方で、国内のセキュリティ人材不足は深刻さを増している。NRIセキュアテクノロジーズ(株)が2022年12月に発表した「企業における情報セキュリティ実態調査2022」によると、情報セキュリティ人材が不足していると答えた日本企業の割合は89.8%(「不足している」と「どちらかといえば不足している」の合計)と高く、外部への委託の需要も大きいと推察される。良好な外部環境のなか、同社では、サイバーセキュリティ業界の第一人者である徳丸浩氏の存在を強みとして、脆弱性診断、コンサルティング、研修/教育、各種WAF、SOCとラインナップを拡充し、日本でNo.1のセキュリティブランドを目指してきた。サイバーセキュリティ事業の拡大は、労働集約型の事業モデルからサブスク型の事業モデルへのシフトを可能にする。投稿監視やカスタマーサポートなどの既存業務は、AIツールの活用等で効率化は行っているものの、拠点開発や人材採用などが必要不可欠であり、収益性を高めるうえで限界がある。一方で、サイバーセキュリティ分野のWAF製品やツールによる脆弱性診断に代表されるサービスは、ソフトウェアの利用に対する課金が収入モデルのため、収益性のさらなる向上が期待できる。サイバーセキュリティ事業の成長は、同社の事業モデルの進化としても注目したい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
《SI》
提供:フィスコ