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3135 マーケットE

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「逆張り」を捨て「順張り」に転換したら大成功、そのワケは

目指せ億トレ、頑張り投資家さんの稼ぎ技 伊達屋酔狂さんの場合-最終回

登場する銘柄
いちご<2337>、マーケットE<3135>

編集・構成/真弓重孝、取材/高山英聖(株探編集部)

【タイトル】■伊達屋酔狂さん(60代・男性・専業投資家)のプロフィール:
大阪府在住。大手電機メーカーを50代後半に自己都合で退職した後、中小企業勤務を経て2019年に専業投資家になる。株式投資は1987年から始めたが、ギャンブル要素の大きい投資法で資産を激しく増減させ、累計損益はマイナス。脱サラ後にグロース重視の順張り投資の勝ち技を体得する。直近5年で運用資産の1400万円は5倍の7000万円に膨らんでいる。画像は愛犬。「株探-個人投資家大調査-2023春」の回答者で、投資スタイルは「グロース重視」、日本株投資の腕前は「上級者」となる。

前回記事「『1勝2敗』でも利益が残る売買ルールで日本株資産5倍に」を読む

「あ~、やってしまった」

今回登場の伊達屋酔狂さん(ハンドルネーム)は2018年、50代後半で転職する際に受け取った3000万円の退職金の半分を、わずか1年で溶かしてしまった。

さらに本人を窮地に追い込んだのが、転職先も家庭の事情で辞めることになったことだ。貴重な老後資金を半減させたうえに、安定収入がなくなってしまった。

この時点で、退職金はまだ半分残っていたが、これ以上は減らすことはできない。できることは、証券口座にある1400万円を運用して生活費を稼ぎ、さらに減らしてしまった退職金を最低でも受け取った3000万円に戻して、老後資金を確保することだった。

この大ピンチを脱する原動力となったのが、前回に触れた「1勝2敗」でも利益が残る損切りと利確ルールの確立と、逆張りから順張りへの転換の2つだった。

このうち後者の順張りへ投資は、株価の上昇途上で買い出動することから、できるだけ安値で拾うことを好む個人投資家にはハードルが高い。伊達屋酔狂さんも、できるだけ安値で拾いたいと、逆張り投資を長年にわたって行っていた。

体に染み付いたスタイルを捨て、高値掴みになる恐れのある順張り投資に大転換できたのは、なぜなのか。

失敗の原因は、逆張り投資への固執

1987年に投資を始めた伊達屋酔狂さんは、当初はこれといった戦略を持たないまま投資をしていた。それが、2003年頃から投機性の高い売買にのめりこむこととなった。

きっかけは小型株を推奨する投資本だ。その本を読んでから小型成長株で、できるだけ大きなリターンを獲得したいと考えるようになった。

「できるだけ安く買って、できるだけ高く売る」とボラ(株価の変動率)の高い銘柄で勝負してきたこともあって、運用資産はジェットコースターのように増減を繰り返してきた。17年末時点の累計損益は+200万円と何とかプラスとなっていた。

マイナスに転落したのが2018年。退職金が入ってきたことで「一気に稼いでやろう」と前のめりになったことが裏目に出た。小型成長株で「落ちるナイフ」を掴んでは損失が拡大した。信用取引を活用していたため追加保証金が発生するリスクが高まるたびに、退職金の一部を口座に注ぎ足した。

結果、18年末までの1年間で400万円分の実現損が発生し、1100万円の含み損を抱える状況に陥ることになった。また18年は、2月のVIXショック、12月のクリスマスショック(FRBショック)が襲うなど、「地合いの悪さも災いした」と振り返る。

同年の東証マザーズ指数は下のチャートのように右肩で下がっている。

■東証マザーズ指数の週足チャート(2016年12月~19年10月)
【タイトル】

注:出来高・売買代金の棒グラフの色は当該株価が前期間の株価に比べプラスの時は「赤」、マイナスは「青」、同値は「グレー」。以下同


この投資手法に固執したのは、2000年代の成功体験に味をしめていたからだ。その銘柄が不動産ファンドを運用するいちご<2337>だ。

同社株での成功体験は2度ある。1回目は2003~05年にかけての上昇相場。100万円を投じると評価額が1500万円と15倍に膨らんだ(下のチャート)。

いちご株を狙った理由は、「株価が上がると地価も上がる」と聞いて、不動産事業を手掛けていて株価が低迷している小型株を探したら、同社が該当したためだ。

2回目の成功は、2008年秋のリーマン・ショック後だった。2005年にピークを付けたいちご株は、当時株価が100円を割り込む状況になっていた。

伊達屋酔狂さんはその価格で拾い、2013年にアベノミクスが始動して株価が700円近くまで高騰した際に持ち株の一部を売却して利益を確定した。

■『株探プレミアム』で確認できるいちごの長期月足チャート(2002年11月~14年5月)
【タイトル】

ただし成功体験の裏では、その利益と同じくらいの損失もあった。

2006年に襲ったライブドア・ショックでは、先のいちご株を急落しても売らずにいたため評価額が急減する。その他に保有していた銘柄の株価も急落し、一時1500万円に膨らんだ資産は元手の100万円にまで落ち込んだ。

2カ月間の猛勉強、自分を変えた2つの収穫

18年の大失敗で、こうした急増と急減を繰り返してきたやり方を、伊達屋酔狂さんはようやく抜本的に見直すことを決断する。

新しい投資スタイルを確立するために取り組んだのが、自分に足りない知識を貪欲に吸収することだった。投資家向けセミナーに参加し、さらに十数冊の投資本を読み込みながら、自分の課題はどこにあるのか、どう改善すればいいのかを意識しながら2カ月にわたり探った。

この時に得た収穫が、現在の投資手法につながる転換点となる。具体的には次の2つ。

1つは、個別株投資で常勝するのはプロでもほぼ不可能だということを改めて認識したこと。
もう1つは、これまでの敗因が逆張り投資に固執していたことに気づいたことだ。

1つ目については、ある投資家向けセミナーで株式ストラテジストの講演を聴講しにいったときのこと。講演のテーマはインカムゲイン狙いの投資手法。セミナー終盤、聴講者の1人が、講師に対しどの個別株に投資しているかを聞いたら、講師は「将来のことを正確に見通すことはできないという考えから、個別株は避けて投資信託を購入している」と返答していた。

それを聞いていた伊達屋酔狂さんは、「専門家でも、将来のことはわからないと自覚している」ことに驚きながら、同時に知ったかぶりをしない姿勢に感心させられた。

この発言を聞いた後に、「個別株投資では、ある程度は負けることを前提に期待値をもとに戦略を組み立てるべき」だと認識を改め、前回紹介した「1勝2敗ルール」の形成につながった。

「落ちるナイフ」の反対を狙う順張りに共感

もう1つ、逆張り投資への固執が失敗を招いていたのだと気付いたのは、順張り投資を推奨する投資本に目を通したのがきっかけになる。

高値掴みを避けたいあまり、落ちるナイフを掴んできたのがこれまでの失敗。だがその投資本によると、本当に成長する小型株は、高値を更新しても値上がりし、株価が2倍、3倍へと駆け上がる。「落ちるナイフの反対を狙いにいくやり方があるのだ」と発想の転換につながった。

逆張りから順張りに変えてから、「成功の確度は間違いなく高まっている」と本人は振り返る。その自信を付けた最初の成功例が、2019年に勝負したある小型株だ。

※当該情報は、一般情報の提供を目的としたものであり、有価証券その他の金融商品に関する助言または推奨を行うものではありません。



 

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