明日の株式相場に向けて=ソシオネクスの逆張りに勝機はあるか
きょう(27日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比160円安の3万2538円と4日続落。全体は調整色を強めているが、きょうは後場に入るといったん下に振られた後に一転して戻り足に転じるなど、CTAによる先物売買に振り回された。中国・香港株の上昇と堅調な米株先物を横にらみに買い戻されたが、結局マイナス圏で着地した。
変調なのは日本株だけではない。前週から世界的な株価調整局面に入っていた。背景にあるのは、毎度お馴染みのFRBやECBによる金融引き締め策の長期化、そして実勢経済の減速という2つの懸念材料だ。今週はECB主催の金融フォーラムがポルトガルの避暑地シントラで行われているが、日米欧の中央銀行総裁が参加するなか、日本時間のあす夜10時半ごろにパウエルFRB議長をはじめとしたパネルディスカッションが予定されている。ここでのコメント内容を警戒しているというのが、現在の時間軸で語られている弱気相場の状況説明だ。もっとも、株式市場は一瞬にして舞台が回るが、経済環境が一朝一夕でガラリと変わるということはない。経済実勢を根拠にする時はあくまで後付け講釈に過ぎず、仮に今も相場が上昇基調を維持していたなら、これまで通り、利上げ打ち止め期待と景気の底堅さが理由に掲げられていたはずだ。株式市場を取り巻く経済環境については、同じ風景を見て言葉だけ変えているケースも多く、実際は別の要因に株価は支配されている。
別の要因とは、ひとことで言えば需給ということになるが、市場関係者がこの時期に口を揃えて繰り返すのが6月末のリバランス売り、そして7月に見込まれる分配金捻出を目的としたETFの換金売り、この2つである。実際の売り圧力は毎度のことで想定の範囲内だが、外国人投資家の買いが一巡したタイミングで、こうした国内機関投資家経由の売り圧力が喧伝されれば、弱気優勢の地合いとなりやすい。売り方としては、利食い急ぎの動きが顕在化してきたのを見計らってリベンジマッチを仕掛ける算段となる。
これ見よがしに売り仕掛けが入った銘柄が出てくると短期資金は委縮してしまい、全体の地合いそのものを悪化させて換金売りを誘発する。きょうの相場では信用買い残の多いそーせいグループ<4565>が典型的なターゲットとなった。米ファイザー<PFE>の糖尿病薬の開発中止に伴うロイヤルティー期待の剥落が売り材料となっているが、会社側が今期業績に重要な影響はなさそうだと発表しているのにも関わらず、問答無用である。前日に形成した大陽線とのギャップにも違和感が拭えない。何よりも取引時間中の売り板があまりにも強烈で、直接関係のないバイオ関連全般の下げを誘発するに至った。
ただし、個人投資家はしたたかで、直近の証券会社のMRF(マネー・リザーブ・ファンド)に積み上がった資金は15兆円以上に達しており、待機資金は極めて潤沢といってよい。過熱感が解消されるタイミングを虎視眈々と狙っている向きは多いということになる。この時期に下値リスクの相対的に低い銘柄となると、低PBR・高配当利回り銘柄ということになり、例えば足もとで海運株が買い直されているのは、この条件に適う銘柄群とみなされているためで、グロース(成長)株からの有力な避難先となっている。しかし逆説的になるが、せっかくなら、全体の地合いに流されて大きく売り込まれた銘柄を安く拾う方が妙味は大きい。テクニカル的にカギを握るのは日経平均も個別株も25日移動平均線で、ここでの攻防に敗れて、下放れた銘柄は投げ売りモードとなりやすい。そこが逆に拾い場となる。
注目はソシオネクスト<6526>の深押し。機関投資家が組み込む機会を逸し、嘆きの声が聞かれるほどの急勾配の上昇トレンドから一転して25日線割れまで一気に売り込まれた。実戦的にはここからは買い下がって報われる公算が大きそうだ。PER38倍台は既にレーザーテック<6920>やアドバンテスト<6857>を下回っている。SoC(システム・オン・チップ)の超新星としては、垂涎の買い場が近づいてきた印象を受ける。
あすのスケジュールでは、eスポーツビジネスEXPOが東京ビッグサイトで30日までの日程で行われる。このほか、IPOが2社予定されており、プロディライト<5580>、ノイルイミューン・バイオテック<4893>がいずれも東証グロース市場に新規上場する。海外では1~5月期の中国工業企業利益など。米国では7年物国債の入札も予定される。また、ECB主催の金融シンポジウムで、パウエルFRB議長をはじめ日米欧の中央銀行総裁がパネル討議に参加する。(銀)
出所:MINKABU PRESS
最終更新日:2023年06月27日 18時41分
変調なのは日本株だけではない。前週から世界的な株価調整局面に入っていた。背景にあるのは、毎度お馴染みのFRBやECBによる金融引き締め策の長期化、そして実勢経済の減速という2つの懸念材料だ。今週はECB主催の金融フォーラムがポルトガルの避暑地シントラで行われているが、日米欧の中央銀行総裁が参加するなか、日本時間のあす夜10時半ごろにパウエルFRB議長をはじめとしたパネルディスカッションが予定されている。ここでのコメント内容を警戒しているというのが、現在の時間軸で語られている弱気相場の状況説明だ。もっとも、株式市場は一瞬にして舞台が回るが、経済環境が一朝一夕でガラリと変わるということはない。経済実勢を根拠にする時はあくまで後付け講釈に過ぎず、仮に今も相場が上昇基調を維持していたなら、これまで通り、利上げ打ち止め期待と景気の底堅さが理由に掲げられていたはずだ。株式市場を取り巻く経済環境については、同じ風景を見て言葉だけ変えているケースも多く、実際は別の要因に株価は支配されている。
別の要因とは、ひとことで言えば需給ということになるが、市場関係者がこの時期に口を揃えて繰り返すのが6月末のリバランス売り、そして7月に見込まれる分配金捻出を目的としたETFの換金売り、この2つである。実際の売り圧力は毎度のことで想定の範囲内だが、外国人投資家の買いが一巡したタイミングで、こうした国内機関投資家経由の売り圧力が喧伝されれば、弱気優勢の地合いとなりやすい。売り方としては、利食い急ぎの動きが顕在化してきたのを見計らってリベンジマッチを仕掛ける算段となる。
これ見よがしに売り仕掛けが入った銘柄が出てくると短期資金は委縮してしまい、全体の地合いそのものを悪化させて換金売りを誘発する。きょうの相場では信用買い残の多いそーせいグループ<4565>が典型的なターゲットとなった。米ファイザー<PFE>の糖尿病薬の開発中止に伴うロイヤルティー期待の剥落が売り材料となっているが、会社側が今期業績に重要な影響はなさそうだと発表しているのにも関わらず、問答無用である。前日に形成した大陽線とのギャップにも違和感が拭えない。何よりも取引時間中の売り板があまりにも強烈で、直接関係のないバイオ関連全般の下げを誘発するに至った。
ただし、個人投資家はしたたかで、直近の証券会社のMRF(マネー・リザーブ・ファンド)に積み上がった資金は15兆円以上に達しており、待機資金は極めて潤沢といってよい。過熱感が解消されるタイミングを虎視眈々と狙っている向きは多いということになる。この時期に下値リスクの相対的に低い銘柄となると、低PBR・高配当利回り銘柄ということになり、例えば足もとで海運株が買い直されているのは、この条件に適う銘柄群とみなされているためで、グロース(成長)株からの有力な避難先となっている。しかし逆説的になるが、せっかくなら、全体の地合いに流されて大きく売り込まれた銘柄を安く拾う方が妙味は大きい。テクニカル的にカギを握るのは日経平均も個別株も25日移動平均線で、ここでの攻防に敗れて、下放れた銘柄は投げ売りモードとなりやすい。そこが逆に拾い場となる。
注目はソシオネクスト<6526>の深押し。機関投資家が組み込む機会を逸し、嘆きの声が聞かれるほどの急勾配の上昇トレンドから一転して25日線割れまで一気に売り込まれた。実戦的にはここからは買い下がって報われる公算が大きそうだ。PER38倍台は既にレーザーテック<6920>やアドバンテスト<6857>を下回っている。SoC(システム・オン・チップ)の超新星としては、垂涎の買い場が近づいてきた印象を受ける。
あすのスケジュールでは、eスポーツビジネスEXPOが東京ビッグサイトで30日までの日程で行われる。このほか、IPOが2社予定されており、プロディライト<5580>、ノイルイミューン・バイオテック<4893>がいずれも東証グロース市場に新規上場する。海外では1~5月期の中国工業企業利益など。米国では7年物国債の入札も予定される。また、ECB主催の金融シンポジウムで、パウエルFRB議長をはじめ日米欧の中央銀行総裁がパネル討議に参加する。(銀)
出所:MINKABU PRESS
最終更新日:2023年06月27日 18時41分