貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
株価15分ディレイ → リアルタイムに変更

7455 パリミキHD

東証S
303円
前日比
-1
-0.33%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
12.3 0.52 2.64 3.74
時価総額 170億円
比較される銘柄
愛眼, 
JEH, 
JINSHD

銘柄ニュース

戻る
 

パリミキHD Research Memo(2):「パリミキ」を展開する国内最大級のメガネ小売チェーン


■会社概要

1. 会社概要
パリミキホールディングス<7455>は2023年3月期末現在、国内638店舗、海外103店舗を有する国内最大級のメガネ小売チェーンである。同社の源流は、創業者・多根良尾(たね よしお)氏が1930年に兵庫県姫路市に開業した正確堂時計店である。1950年に姫路市に時計、貴金属、メガネを販売する(株)三城時計店を設立し、1960年には社名を(株)メガネの三城に改めた。その後は主に兵庫県を中心に店舗数を増やしていたが、1973年に二代目である多根裕詞(たね ひろし)氏がフランス・パリの三越の近くにミキブランドの店をオープンしたことを契機に同社の成長が始まった。パリへの出店の後、1974年に東日本地区での本格出店の拠点として(株)パリーミキ(後に関西のメガネの三城と合併、社名を(株)三城に変更)を設立し、全国での拡大を進めた。2009年には、(株)三城ホールディングスを設立し、持株会社制へ移行した。なお、同社は2022年4月から社名をパリミキホールディングスへ変更した。併せて子会社の三城もパリミキへ社名を変更した。また2024年3月期からは、主要子会社であるパリミキの社長に恒吉氏(前 (株)金鳳堂社長)が就任し、それまで持株会社とパリミキの社長を兼務していた澤田氏は、グループ全般の経営に集中する体制となった。株式は1995年に日本証券業協会に店頭登録し、1996年には東京証券取引所(以下、東証)第2部に上場した。その後1998年には東証第1部へ指定替えした。現在は、東証プライムへ移行している。


国内店舗はコンセプト戦略のもと改装を進め、業績拡大を目指す
2. 事業概要
(1) 店舗の形態及び平均客単価
同社は、店舗数で国内大手のメガネ類の小売業者である。国内店舗の形態は大きく分けて、主力業態である「パリミキ」、百貨店を中心とした店舗展開をしている「金鳳堂」となる。「パリミキ」は欧米、中国、東南アジアなど海外にも展開しており、2023年3月期の売上高は国内が41,611百万円(売上構成比87.8%)、海外が5,789百万円(同12.2%)となっている。

ファストファッションを打ち出す同業他社との差別化を図るため、立地の顧客構成や地域特性などに合わせた新コンセプト店舗(メゾン、ロッジ、ベルエポック、サロン、エンターテインメント)へ改装を行う戦略を打ち出している。これにより、従来の顧客層だけでなく、若い世代やニューファミリー層の顧客の増加を目指す。平均組単価(2023年3月期平均)は、全店で32.8千円(2022年3月期は32.8千円)、金鳳堂では109.3千円(同108.5千円)となっている。

(2) 店舗数
店舗数(2023年3月期末)は国内が638店(うち88店がのれん自立店)、海外が103店(中国27店、韓国39店、台湾を含む東南アジア27店、欧州・米国・豪州10店)となっている。国内のうち、「パリミキ」が620店、「金鳳堂」が18店となっており、郊外型、ビルイン型、テナント型などがある。ほとんどの店舗が賃貸借物件によるもので、自社所有店舗は少ない。海外店はテナント型が主であるが、東南アジアを中心に眼科医療との融合を目指した店舗施策に注力しており、ベトナムにおける眼科病院とメガネ店との協業のノウハウを活用し、カンボジア、フィリピンなどでも地域に合わせたメディカルとの協業を進めている。

(3) 商品別売上高比率
国内の商品別売上高比率を見ると、レンズとフレームが72.7%を占める。商品の平均売上総利益率は70%ほどであり、主力商品であるフレームとレンズは平均より高く、サングラスなどそのほかの商品は平均より低い。サングラスの売上は主に都市部を中心としたエンターテインメント型店舗が寄与しており、今後は「オーディオライフケア※」の充実が進むに伴い、補聴器事業も順調に推移すると期待される。

※カウンセリング型の聴力測定を行い、補聴器の聞こえを目的とするだけでなく、聞こえる喜びや音の楽しさも伝える同社の方針のこと。


(4) 商品の主な仕入先
商品の主な仕入先は、金額ベースでは国内メーカーの比率が高いが、数量ベースでは海外メーカー(主に中国)が高くなっている。商品売上数量の約80%は同社が独自に企画・設計したプライベートブランド(PB)商品だが、百貨店店舗では著名なデザイナーブランドなどが多いことから、PB商品の比率は低く約90%がナショナルブランド(NB)商品となっている。また日本製の優れた商品を広めることを目的とした“MADE IN JAPAN project”を継続的に行っており、PB商品のブランド力を高めることで日本製の販売数量比も40~50%と安定した比率を占めている。

3. 競合、特色、強み
メガネの国内市場は業界で約4,000~5,000 億円と一般に推定されており、同社は業界第3位(第1位は(株)メガネトップ、2位は(株)ジンズ)である。しかしメガネの小売市場では、依然として小規模の家族経営店や数店だけのチェーン店が市場の半分を占めると言われている。その意味では国内には数多くの競合が存在すると言える。

そのような業界環境のなかで、同社の主な特色(強み)は、専門的な知識を備えた経験豊富なスタッフが多いこと、高いブランド力、大手チェーンとしてのスケールメリット、上場企業としての信用力、強固な財務基盤である。そのためメガネ店としての知名度は高く、多くのリピート顧客を抱えている。

しかし過去10年、Zoff((株)ゾフ)などの登場により日本のメガネ市場が低価格商品にシフトするなかで、同社の強みの一部は両刃の剣として同社の弱みとなってきた面も否定できない。同社では、現在の強みを維持しつつも、今後は「変えるべきは変える」との方針から、ニューファミリー層が来店しやすく、低価格でも質の良いメガネ購入体験ができる新しい店舗戦略を打ち出した。同時に「ビジュアルライフケア※」を推進することで、ファストファッション化する同業他社との徹底的な差別化を強化する戦略である。また団塊世代が高齢化することで、今後需要が伸びる補聴器市場の開拓にも注力しており、技術者が多く在籍する同社ならではの提案力で訴求をしていく。

※顧客の生活のしやすさを第一に考えたメガネをつくるための同社独自の方針。単に視力を合わせるだけでなく、シーンに合わせてカスタマイズした視力チェックを行い、顧客一人ひとりの生活が快適になるメガネをつくる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)

《SI》

 提供:フィスコ

株探からのお知らせ

    日経平均