品川リフラ Research Memo(4):常に改善を進める顧客密着型の事業運営(2)
■事業概要
3. 特長と強み
品川リフラクトリーズ<5351>には、長い年月をかけて高温技術のリーディングカンパニーの地位を築き上げた技術力と現場力がある。それらをベースとした耐火物・断熱材の研究開発及び製造だけでなく、窯炉の設計・施工というエンジニアリングまでの一貫体制をとっていることが特長と強みである。同社は、顧客密着型の技術対応と一貫体制により顧客ニーズを的確に把握し、課題解決のための提案を行っている。CO2排出量削減への対応のため、新たな炉材や炉材ライニングの開発が求められる。セラミックファイバーなど断熱材の大手であるイソライト工業を完全子会社化し、耐火物技術と断念材技術の融合を加速している。海外ビジネスにおいても同子会社との連携強化を図り、グループの成長速度を上げている。
4. グローバル展開
(1) 海外売上高比率
(一社)日本鉄鋼連盟は、新興国の経済成長に伴い、世界の鉄鋼需要は2020年の約18億トンから2050年に約27億トンへ増加すると予測している。一方、日本経済の潜在成長力が低く、鉄鋼製品の需要が縮小して国内粗鋼生産は漸減すると見られる。
同社は、海外で積極的な拠点展開を行ってきた。第5次中期経営計画(2022年3月期~2024年3月期)において、海外ビジネスの強化・拡大を重点施策の1つとしている。海外売上高はコロナ禍前の2020年3月期の17,484百万円から2023年3月期は27,742百万円へ急拡大し、海外売上高比率は14.7%から22.2%へ上昇した。海外子会社は12月期決算のため期末の円安の為替レートに助けられた面もあるが、海外では販売数量が増加するなど好調であった。2024年3月期は、後述するブラジルと米国における事業譲受が売上高で133億円、営業利益で18億円押し上げ、海外売上高は42,400百万円、海外売上高比率30.3%が見込まれる。
(2) 海外拠点展開
日本の国内粗鋼生産量は、2019年に10年ぶりに1億トンを割り込んだ。米中貿易戦争の長期化による世界景気の減速で輸出が減り、内需も低迷したうえ、自然災害が重なった。2022年の生産量は、半導体不足を起因とする自動車向け鉄鋼需要の低迷もあり8,922万トンにとどまった。世界粗鋼生産における2022年の日本のシェアは4.7%と2000 年の半分以下の水準となった。一方、中国は54.0%と高水準を維持している。近年ではインドの成長が著しく、2018 年に年間生産量が日本を抜いた。2022年のインドの世界シェアは6.6%に高まった。インドは2023年に人口で中国を抜いて世界一となっており、持続的な成長が見込まれる。
同社の海外拠点の展開は、1997年の中国子会社の設立から本格的に始まり、2019年までにオーストラリア、米国、インドネシア、インドへ進出した。中国に耐火物等の製造・販売と連続鋳造用モールドパウダーの製造・販売を手掛ける合弁会社を設立した。オセアニアでは、オーストラリアとニュージーランドに拠点を持つ。2014年に設立したインドネシアの子会社と併せて、オセアニア・東南アジアへの販売展開を図っている。米国のオハイオ州には、モールドパウダーの製造・販売を行う子会社を設立した。また、今後のグローバル展開において重要アイテムとなる断熱材の製造・販売拠点を、マレーシア・台湾・中国・ドイツに置いている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
《AS》
提供:フィスコ