品川リフラ Research Memo(2):サステナビリティ経営により持続的な成長と企業価値向上を図る
■会社概要
1. 会社概要
品川リフラクトリーズ<5351>は、サステナビリティ経営を基本方針とする。経営理念を「産業の発展と豊かな社会の実現」とし、「環境」「社会」「ガバナンス」の観点から常に自らのあり方を見つめ直し、ステークホルダーと共に持続可能な社会の実現に取り組む。また、サステナブルな事業活動を通じて、持続的に成長を続け、企業価値を高める経営方針を採っている。ステークホルダーは、顧客、株主・投資家、取引先、従業員、地域社会と未来世代になる。未来世代を重要なステークホルダーと認識し、より良い社会の継承に努め、気候変動問題・地球環境問題の解決に貢献すべく責任をもって取り組み、環境に配慮した商品や施工方法を開発し社会に貢献していく方針だ。
総合耐火物の大手である同社は、2025年に創業150周年を迎える。海外事業展開や国内製造体制の再構築、新技術・新事業への投資など、先を見据えて適切なリスクテイクを行い、事業環境の変化に適応すべく自己変革を行ってきた。顧客密着型ソリューション提供による需要先との二人三脚により業容を拡大し、2023年3月期の連結業績は新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)前の水準を上回り、過去最高の売上高と経常利益を計上した。短期的な事業環境の変化による影響や特別損益の発生により親会社株主に帰属する当期純利益が変動することがあっても、中長期的な観点から設備投資を継続し、製品の差別化及びコストダウンを進めて競争力を強化し増益基調を形成した。
同社の商品及び役務サービスの需要先は、鉄鋼、化学、機械などの基幹産業である。社会的に不可欠な産業であるものの、エネルギー多消費型産業であることから温室効果ガス(GHG)排出量が多い。自然災害の激甚化など地球温暖化による気候変動問題が深刻化しており、脱炭素社会への移行が急がれる。顧客先が資本集約型の装置産業であることから、高温技術のリーディングカンパニーとして同社グループが総合力を発揮して、産業部門の高温プロセスから発生するCO2排出量の削減に寄与することは持続可能な社会の実現に貢献するため意義深い。
2. 沿革
同社は、2009年10月に品川白煉瓦(株)とJFE炉材(株)が合併してできた。前身の品川白煉瓦は1875年に創業し、民間として日本で初めて耐火煉瓦の製造を開始した。鉄鋼業界は世界規模の競争が激化したことから業界再編が起こり、高炉メーカー5社のうち、2002年9月に日本鋼管(株)と川崎製鉄(株)が合併してJFEホールディングス<5411>に、2012年10月には新日本製鐵(株)と住友金属工業(株)が合併して日本製鉄<5401>(旧 新日鐵住金(株))となった。日本鋼管と川崎製鉄系の耐火物メーカー同士が事業統合してできた同社は、2023年3月末時点でJFEホールディングス傘下のJFEスチールが所有比率34.0%で筆頭株主になる。第3位の神戸製鋼所<5406>が3.8%を所有する。
JFEスチールは非上場だが、完全親会社のJFEホールディングスが上場会社になる。同社は、JFEスチールの持分法適用会社に位置付けられているが、役員の兼務はない。人材交流と業務遂行の補完のため、JFEスチールから出向者を受け入れている。ただし、両社間の取引は、一般取引先と同様に個別交渉で行う。経営は同社独自の判断に基づき実行しており、事業上の制約がなく、一定の独立性は確保されていると考えられる。
需要先は、鉄鋼をはじめ非鉄金属、セメント、ガラス、焼却炉、ごみ溶融炉、ガス・電力など日本の産業基盤に各種の耐火物や装置を提供している。単体の顧客業種別では、売上高の8割以上が鉄鋼業向けで、残りは焼却炉やセメント、その他になる。耐火物市場で黒崎播磨<5352>と双璧を成し、世界でも五指に入る規模である。近年はグローバル展開を進め、海外売上高比率は2023年3月期に22.2%となった。
1949年に、東京証券取引所第1部に株式を上場した。市場区分の見直しにより、2022年4月以降は「プライム市場」に移行した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
《AS》
提供:フィスコ