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4464 ソフト99

東証S
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ソフト99 Research Memo(7):デジタル活用による付加価値向上により利益成長と資本効率向上を目指す(1)


■今後の見通し

1. 第7次中期経営計画の概要
ソフト99コーポレーション<4464>は2024年3月期からスタートする第7次中期経営計画(2024年3月期~2026年3月期)を発表した。前中期経営計画で積み残した施策に改めて挑戦するとともに、社会課題解決に資する施策の実行に取り組むことで、さらなる事業領域の拡張を目指す。経営理念については変わらず「生活文化創造企業」として、未来の“あたりまえ”を発見することを目指し、「Evolve!!?進化せよ!!?」を新中期経営計画のテーマとした。また経営ビジョンとして、「デジタルを活用し、心揺さぶられるアナログ的(エモい)価値を創り出す『ヒト(人財)』を育て、その価値を通して社会課題の解決に貢献する」を掲げている。

作業の効率化や付加価値を高めるために、「デジタルの活用」を推進することは必要不可欠であるが、一方で大事なことは「心揺さぶられるアナログ的(エモい)価値を提供すること」にある。同社グループではデジタルによる製品・サービスの付加価値向上と併せて、デジタルによる効率化によってもたらされる時間を活用し、「アナログ的価値」、つまりは『共感』というヒトでしか創り出せない価値を提供することを目指しており、中期計画のテーマにその想いが込められている。

(1) 重点施策
強化すべき事業領域として「価値提供方法の多様化」「海外展開」「医療分野」の3つの分野に積極的な設備投資を行い、また「デジタルの活用」による付加価値向上や「人財育成」も図りながら利益成長を目指す方針だ。

a) 価値提供方法の多様化(ファインケミカル、サービス・不動産関連事業)
デジタル活用による付加価値サービスの取り組みは、既にファインケミカル事業やサービス・不動産関連事業においてスタートしている。ファインケミカル事業においては、2023年1月より洗車用品のサブスクリプションサービス「サブスク99 LIMITED」を試験的に開始している。月額1,089円で「フクピカ洗車セット」を1ヶ月最大8回利用できるというもので、会員になると毎月、月初に「フクピカ洗車セット」が1セット配送され、2回目以降はスマートフォンで必要な時に1ヶ月で最大7回まで注文できる。反応が良ければ本格サービスに移行する予定だ。

また、自動車のコーティング施工において施工証明書電子化システムを2019年に開発し、パートナーとなる施工店に導入を進めている。アプリに登録することで、製品情報や施工方法、デジタル施行証明書の発行だけでなく、顧客に対するメンテナンスサービスの提案が可能になるなど新たな収益獲得機会を増やすツールとなる。同社にとってはパートナー施工店の囲い込みとなるほか、自社コーティング製品の販売拡大につながる効果が期待できる。

また、不動産関連事業において2022年10月より宅配サポート付きの屋内型トランクルームサービス「every-two」を開始している。名古屋に保有する物件をトランクルームとして活用したサービスで、スマートフォンで登録すれば宅配便でトランクルームの荷物の出し入れが手軽にできる。利用料金は月額4,950円(税込)からで、荷物の配送サービスは1回あたり660円(税込)である。このほかにもデジタルを活用した様々なサービスを開発し、育成する考えだ。

b) 海外展開(ファインケミカル事業)
ファインケミカル事業において、新中期経営計画期間に海外に生産拠点を開設する計画を立てている。海外では各国ごとのルールに則って、商品を現地語表記のパッケージにして販売しているが、その作業は現地代理店に委託しており、海外事業の利益率が低い要因にもなっていた。このため、同社は欧州にて現地語パッケージを行う工場を現地代理店と合弁で開設することにした。パッケージングの工場なので設備投資資金もさほどかからないものと思われる。海外拠点の開設によって、各国のニーズに合わせた製品ラインナップの拡充も行いやすくなり、事業規模のさらなる拡大が期待される。

c) 医療分野(ポーラスマテリアル事業)
医療分野については、アズテックの子会社化により売上規模が10億円を突破してきた段階だが、今後はアイオンのPVA製品の医療用途での活用に向けた開発、及びアズテックとの協業による新たなビジネス展開を模索していく。

d) 人財育成
同社は人財育成において、「推進力(エンジン)」と「コントロール(ステアリング)」を向上する施策を実行することで、自らエンジンとして動き正しい方向へ(ステアリング)コントロールし進むことができる人財を育成する方針だ。「推進力」はエンゲージメントの向上を、「コントロール」は個々の社員のスキルアップを指すものと思われる。推進力アップのための施策としては、新規事業の立ち上げ・参画・推進やインフォーマルコミュニケーションの推進によって当事者意識や全社最適意識の醸成と経験を積ませる。コントロールアップのための施策としては、研修・セミナーへの参加や関連する資格を取得することでスキルアップを図る。

e) ステークホルダーからの正当な評価
新中期経営計画では、人財の成長によりアナログ的価値の創出を図り、付加価値の最大化と利益の成長を推進、事業を通じて社会課題の解決に貢献すると同時に資本効率の改善を図ることで、ステークホルダーからの正当な評価を獲得することを目標としている。

(2) 経営数値目標
経営数値目標としては、最終年度となる2026年3月期に売上高31,700百万円、営業利益3,780百万円、ROIC8.1%、ROA6.1%、ROE4.9%を掲げた。3年間の年平均成長率は売上高で1.7%、営業利益で5.1%と堅実な成長を見込んでいる。また、営業利益率は2023年3月期の10.8%から11.9%に上昇する見込みで、ROICやROE、ROAなど資本効率もそれぞれ向上する計画である。資本コストは5.5~6.0%を想定しており、ROICについては継続して資本コストを超過することを目指し、ROEについては4.9%と若干資本コストを下回る計画である。将来的には経営効率改善を伴う事業拡大によってROICで18.0%、ROEで8.0%の水準を目指し、「ステークホルダーからの正当な評価」を得ることを目標としている。なお、これらはオーガニックの成長による目標値であり、これとは別にM&Aの実施も検討している。規模感としては売上高で40億円、営業利益で4億円程度となる。対象企業としては、海外事業の拡大に向けてシナジーが見込める企業のほか、デジタル活用ソリューション分野など既存事業とシナジーが見込める企業であれば幅広く検討する方針である。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《SI》

 提供:フィスコ

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