ソフト99 Research Memo(6):手元キャッシュは潤沢、ROICは前期比で低下するもコロナ禍前の水準は上回る
■業績動向
3. 財務状況と経営指標
ソフト99コーポレーション<4464>の2023年3月期末の総資産は、前期末比1,146百万円増加の60,377百万円となった。主な変動要因を見ると、流動資産では現金及び預金・有価証券が373百万円減少し、棚卸資産が376百万円増加、売上債権が142百万円増加した。固定資産ではのれんの一括償却等により無形固定資産が297百万円減少した一方で、新工場建設に伴い有形固定資産が625百万円増加したほか投資有価証券が239百万円増加した。
負債合計は前期末比234百万円減少の7,604百万円となった。仕入債務が204百万円、有利子負債が295百万円それぞれ増加した一方で、未払金及び未払費用が402百万円、未払法人税等が191百万円減少した。また、純資産は同1,380百万円増加の52,772百万円となった。利益剰余金が1,272百万円増加したほか、その他の包括利益累計額が81百万円増加した。
経営指標をみると、安全性を示す自己資本比率は87.4%と高水準を維持しており、ネットキャッシュも200億円弱と潤沢にあることから、財務基盤は健全な状態にあると言える。また、収益性に関しては営業利益率で10.8%、ROICで7.1%、ROEで4.0%といずれも前期の水準を下回ったが、コロナ禍前の水準に対しては上回っており、収益性、効率性は着実に改善していることが窺われる。ただ、同社の株式時価総額は300億円程度で純資産の6割弱の水準にとどまっている。資本コスト(5.5~6.0%程度)を上回るリターンを得られていないことが一因と考えられる。同社は保有する潤沢な資金(現預金・有価証券+投資有価証券で約260億円)を、M&Aも含めて成長性の見込める事業あるいは高付加価値が見込める製品・サービスに投下することでROICを高め、また、資本効率の向上を目的とした自己株式取得等に充当することでROEの向上にも取り組む方針だ。特に、投資に関してはファインケミカル事業における新製品・サービスの開発やポーラスマテリアル事業における新工場建設などここ1~2年で積極的に進めており、今後こうした取り組みの成果が収益面で顕在化してくれば、株式市場での評価も変わってくるものと弊社では考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
《SI》
提供:フィスコ