明日の株式相場に向けて=AI関連株がマーケットを席巻
きょう(5日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比693円高の3万2217円と大幅高で3日続伸。前週後半から日経平均は再び上昇加速モードのスイッチが入った格好で、きょうは700円近い急騰で高値引けという圧巻のパフォーマンスをみせた。前週末の欧州株市場は全面高となり、米国株市場もリスクオン一辺倒の地合いだった。景気敏感株に買いが回り、NYダウが701ドルの大幅上昇で今年最大の上げ幅を記録したが、日経平均もそれにタイミングを合わせるように今年最大の上げ幅となった。ちなみに、あとわずか8円高ければ701円高となり、こちらも揃い踏みとなるところだった。
足もとの相場は、年初から強気一辺倒を唱えていた市場関係者ですら返答に詰まってしまう強さである。3万2000円台ラインも単なる通過点といわんばかりに前場取引後半にクリアし、後場も高値圏で売り物を難なく吸収した。きょうもまた「33年ぶりの高値」更新ロードをひた走る展開にある。どこまで行っても頭に付くのは同じフレーズだが、この“33年ぶり”が意味するのは、いうまでもなく1990年がバブル崩壊の年で、日経平均が山の頂からフリーフォールのような下げを演じた年であったという背景がある。
したがって、33年ぶりの高値というフレーズは頂上まではまだ大分距離があるものの、時間軸的には既に戻り相場の最終プロセスに入っている。これが“34年ぶり”に変わる時、それはつまり1989年以来の高値を更新するということで、同年末の大納会につけた3万8915円の史上最高値を超えることにほかならない。
個別では人工知能(AI)関連株の人気が佳境入りとなってきた。前週はAIスタートアップ・ベンチャーに傘下のファンドを通じて積極投資するソフトバンクグループ<9984>が急動意し、AI関連のテーマ買いの号砲を鳴らした。週後半には、かつてAI関連の象徴株として名を馳せ、分割修正後株価で3100円の高値をつけたことがあるブレインパッド<3655>が突発人気化、中小型株への資金誘導を示唆する流れとなった。
きょうは、3日にアップされた株探トップ特集「『AIバブル相場』新章突入で勇躍する6銘柄」の筆頭で取り上げられたヘッドウォータース<4011>がストップ高で買い物を残し、またJTP<2488>もストップ高で引けたほか、AI CROSS<4476>も引け際に値幅制限上限まで買われる場面があった。このほか、ユーザーローカル<3984>はプライム市場の値上がり率首位に買われるなど、軒並みハイパフォーマンスを演じている。これは個別株の波動と全体相場の潮流が合致した結果といえる。テーマ物色の相場ではよく見られる現象であり、語弊を恐れずに言えば、もはやそこに株価の買い材料云々といったコンセプト自体存在しない。株価は思惑主導で合理から離れ、その後再び合理にサヤ寄せするという繰り返しだが、株高のメカニズムを支配しているのは“人気”であって、当該企業のファンダメンタルズではない。これは仮に好業績発表を材料に買われる場合でも同様である。
AI関連株は中小型株中心だが物色対象は年々広がりをみせている。そうしたなか、6月は再びIPOラッシュとなるが、その初っ端(しょっぱな)である13日に新規公開されるABEJA<5574>はAI関連のニュースターとして輝きを放つ可能性を内包している。6月は個人投資家の土俵である中小型株に資金が還流してくるとすれば、このベールを脱ぐ前のABEJAがAI人気を後方で後押しする構図も想定される。
目先新たにマークしておきたい銘柄では、ユビキタスAI<3858>、スカラ<4845>のほか、セキュリティー分野への人気波及を考慮してサイバーセキュリティクラウド<4493>などに妙味が感じられる。また、AI人気と併走する半導体 関連では引き続き機関投資家の間で引っ張りダコとなっているソシオネクスト<6526>の存在が注目されるほか、ソニー系の光半導体向け材料を手掛けるデクセリアルズ<4980>に着目したい。
あすのスケジュールでは、4月の家計調査、4月の毎月勤労統計がいずれも朝方取引開始前に開示される。また、午前取引時間中には5月の輸入車販売、5月の車名別新車販売も発表される。このほか30年物国債の入札が予定されている。海外では豪中銀の政策金利が発表されるほか、4月のユーロ圏小売売上高、4月の独製造業新規受注などに対するマーケットの関心が高い。なお、韓国市場は休場となる。(銀)
出所:MINKABU PRESS
足もとの相場は、年初から強気一辺倒を唱えていた市場関係者ですら返答に詰まってしまう強さである。3万2000円台ラインも単なる通過点といわんばかりに前場取引後半にクリアし、後場も高値圏で売り物を難なく吸収した。きょうもまた「33年ぶりの高値」更新ロードをひた走る展開にある。どこまで行っても頭に付くのは同じフレーズだが、この“33年ぶり”が意味するのは、いうまでもなく1990年がバブル崩壊の年で、日経平均が山の頂からフリーフォールのような下げを演じた年であったという背景がある。
したがって、33年ぶりの高値というフレーズは頂上まではまだ大分距離があるものの、時間軸的には既に戻り相場の最終プロセスに入っている。これが“34年ぶり”に変わる時、それはつまり1989年以来の高値を更新するということで、同年末の大納会につけた3万8915円の史上最高値を超えることにほかならない。
個別では人工知能(AI)関連株の人気が佳境入りとなってきた。前週はAIスタートアップ・ベンチャーに傘下のファンドを通じて積極投資するソフトバンクグループ<9984>が急動意し、AI関連のテーマ買いの号砲を鳴らした。週後半には、かつてAI関連の象徴株として名を馳せ、分割修正後株価で3100円の高値をつけたことがあるブレインパッド<3655>が突発人気化、中小型株への資金誘導を示唆する流れとなった。
きょうは、3日にアップされた株探トップ特集「『AIバブル相場』新章突入で勇躍する6銘柄」の筆頭で取り上げられたヘッドウォータース<4011>がストップ高で買い物を残し、またJTP<2488>もストップ高で引けたほか、AI CROSS<4476>も引け際に値幅制限上限まで買われる場面があった。このほか、ユーザーローカル<3984>はプライム市場の値上がり率首位に買われるなど、軒並みハイパフォーマンスを演じている。これは個別株の波動と全体相場の潮流が合致した結果といえる。テーマ物色の相場ではよく見られる現象であり、語弊を恐れずに言えば、もはやそこに株価の買い材料云々といったコンセプト自体存在しない。株価は思惑主導で合理から離れ、その後再び合理にサヤ寄せするという繰り返しだが、株高のメカニズムを支配しているのは“人気”であって、当該企業のファンダメンタルズではない。これは仮に好業績発表を材料に買われる場合でも同様である。
AI関連株は中小型株中心だが物色対象は年々広がりをみせている。そうしたなか、6月は再びIPOラッシュとなるが、その初っ端(しょっぱな)である13日に新規公開されるABEJA<5574>はAI関連のニュースターとして輝きを放つ可能性を内包している。6月は個人投資家の土俵である中小型株に資金が還流してくるとすれば、このベールを脱ぐ前のABEJAがAI人気を後方で後押しする構図も想定される。
目先新たにマークしておきたい銘柄では、ユビキタスAI<3858>、スカラ<4845>のほか、セキュリティー分野への人気波及を考慮してサイバーセキュリティクラウド<4493>などに妙味が感じられる。また、AI人気と併走する半導体 関連では引き続き機関投資家の間で引っ張りダコとなっているソシオネクスト<6526>の存在が注目されるほか、ソニー系の光半導体向け材料を手掛けるデクセリアルズ<4980>に着目したい。
あすのスケジュールでは、4月の家計調査、4月の毎月勤労統計がいずれも朝方取引開始前に開示される。また、午前取引時間中には5月の輸入車販売、5月の車名別新車販売も発表される。このほか30年物国債の入札が予定されている。海外では豪中銀の政策金利が発表されるほか、4月のユーロ圏小売売上高、4月の独製造業新規受注などに対するマーケットの関心が高い。なお、韓国市場は休場となる。(銀)
出所:MINKABU PRESS