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明日の株式相場に向けて=間隙を縫って走りだす「AI関連株」

 きょう(31日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比440円安の3万887円と反落。ここ米国株や欧州株市場の動きと関係なく、抜群の強さを発揮していた日経平均株価だが、きょうは朝方から“素直に”リスク回避モードとなった。前日の欧州株市場が全面安に売り込まれ、米国株市場でもNYダウが小幅ながら反落。こうした状況下、日本株もとりあえず息継ぎが必要なタイミングにある。これまで株高の拠りどころとなっていた為替の円安も一服した。前日の3者会合で「過度な変動は好ましくない」という神田財務官の鶴の一声が介入思惑を呼び、円買いを誘発する形となり、“鉄製の鳩”と化した植田日銀総裁に安心しきっていた投機筋がにわかに慌てた感もある。

 他方、中国景気の減速が警戒されるなか、きょう前場取引時間中に発表された5月の中国製造業PMIが事前コンセンサスを下回り、軟調地合いを助長した。国内に目を向けてもきょうの朝方取引開始前に経済産業省から発表された4月の鉱工業生産指数(速報値)は3か月ぶりに前月比で0.4%低下。景気の先行きに対する不透明感は拭えない状況だ。

 半導体関連は日米株式市場に大きな上げ潮をもたらしたが、永久に上がり続ける相場は存在しない。今週は半導体主力株の上昇一服局面が想定されたが、案の定、実質6月相場入りとともに買い疲れ感が露呈した。先駆したアドバンテスト<6857>はきょうも押し目に買い向かう動きが活発だったものの、日経平均先物を絡めた売り仕掛けに伴うインデックス売りの砲火を浴びては、さすがに耐え切れない。きょうは東京エレクトロン<8035>も売られ、日経平均へのマイナス寄与度で2位となった。225採用ではないが時価総額2兆円を上回り、売買代金トップ常連のレーザーテック<6920>も75日移動平均線近辺まで水準を切り下げた。相対的に底堅かったのが切断・研磨装置世界首位のディスコ<6146>だが、それでもプラス圏では着地できなかった。総じて利食い圧力が意識されている。

 では、資金の流れはバリュー株にシフトしているかというと、そういうわけでもない。きょうは三菱商事<8058>、三井物産<8031>、丸紅<8002>、など総合商社大手の下げが目立った。また、日本製鉄<5401>などの鉄鋼株の下げもきつい。日経平均が大きく下値を探る一方で、逆に底堅さをアピールしたのが東証グロース市場だった。きょうはグロース指数、マザーズ指数ともにプラス圏で着地している。リターンリバーサルのセオリーが機能してようやく中小型株に優位な流れに変わった感触もある。資金規模は違うものの、大型バリューから新興系のグロース(成長)株に物色の矛先が変わる兆しがある。

 世界的に半導体株人気と併走していたテーマがAI 関連だが、東京市場にもその波が及んできた。米国では周知の通りエヌビディア<NVDA>が爆発的人気に。エヌビディアは時価総額1兆ドルを超え、ついにGAFAMと肩を並べる存在となった。AI関連株への人気も燎原の火の如しで、前日は法人向けAIアプリケーションを展開するC3.ai<AI>も30%を超える急騰。中国ではAI関連の鴻博が何と5日連続のストップ高人気と気を吐いた。東京市場ではAI関連で人気化している銘柄はまだ一握りに過ぎない。

 エヌビディアのパートナーネットワークに参画するテクノホライゾン<6629>は「AI顔認証付きサーマルカメラ」をはじめ戦略商品に独自AI技術を反映させている。0.7倍台の低PBRも意外性がある。また、独立系システムインテグレータでエヌビディアとビジネス領域が近いFPGAで高い競争力を有し、AI自動開発ツールなどで先駆する日本ラッド<4736>も要注目だ。更にAI関連の穴株ではファブレス半導体メーカーで、画像処理や音源用LSIで実績の高いアクセル<6730>が挙げられる。同社はAI領域を貪欲に開拓中、直近1カ月でも5月10日にAI音声認識ライブラリ「ailia AI Speech」のリリースを発表したほか、12日にはセルシス<3663>とWeb3関連の要素技術とAI技術の活用領域で戦略的パートナーシップ締結を発表している。

 あすのスケジュールでは、1~3月期の法人企業統計調査、5月の新車販売台数、5月の軽自動車販売台数など。このほか、10年物国債の入札も予定。海外では5月の中国製造業PMI(財新)、5月のユーロ圏消費者物価指数(HICP・速報値)、4月のユーロ圏失業率、5月のADP全米雇用リポート、週間の米新規失業保険申請件数、1~3月期米労働生産性指数(改定値)、4月の米建設支出、5月の米ISM製造業景況感指数などがある。(銀)

出所:MINKABU PRESS

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