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3497 LeTech

東証G
1,206円
前日比
-10
-0.82%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
4.6 1.12 5.47
時価総額 58.8億円
決算発表予定日

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LeTech Research Memo(3):富裕層向け賃貸マンション「LEGALAND」の開発・販売が柱


■事業概要

1. 不動産市場の概況
コロナ禍の影響を受け、国内オフィスビルの賃料は下落・横ばい傾向にあるものの、マンションの賃料については価格硬直性が高く、堅調に推移している。LeTech<3497>資料によると、三大都市圏のマンションの賃料は近年(2016年以降)一貫して上昇傾向にある。特に同社が主戦場とする首都圏地域では、需要が底堅いと言える。首都圏の分譲マンションの賃料は過去3年で18.0%上昇しており、近畿圏(13.7%上昇)、中部圏(11.9%上昇)よりも高い上昇率となっている。

新築分譲マンションの市場動向も堅調である。同社が特に対象とする都区部の新築分譲マンションに関しては、供給戸数が伸び悩むなか、平均販売価格は上昇・高止まり傾向にある。供給戸数に関しては、都区部の土地が限られ、資材の調達など施工の先行き不透明感から供給抑制の影響も出ている。都区部の新築分譲マンションの平均価格は、(株)不動産経済研究所の発表資料によると2018年は7,142百万円であったが、2021年は8,293百万円、2022年は8,236百万円となっている。建築費の高騰や一部の高級タワーマンションなどにも影響を受けて上昇傾向が続いている。2022年の供給戸数に対する契約率は89.7%と高く、需要が旺盛であることも分かる。

2. 不動産ソリューション事業
不動産ソリューション事業は、同社の主力事業である。様々なソースの物件情報から不動産を仕入れて最適なバリューアップを実施して資産価値を高めたうえで、個人富裕層や資産保有目的の事業法人に対して個々の顧客ニーズに即した物件を販売している。販売する収益不動産は、独自の営業ルートにより仕入れた物件を建物管理状態の改善、用途変更、テナントの入れ替え、大規模修繕等によって、資産価値の向上を図っている。すなわち、土地有効活用、住宅(マンション)開発、オフィス・ホテル・民泊マンション等の商業開発、コンバージョン(既存の建物の用途変更を行って全面的に改装して全く新たな建物として再生させること)及びリノベーション(既存の建物に対して大規模な改装工事を行うことで建物を新築の状態にまで美しくして価値を高めること)等によってバリューアップを図り、売却をしている。

同社の主力商品は低層賃貸マンションシリーズ「LEGALAND」である。敷地面積30~200坪程度、総戸数10~35戸であり、狭小な敷地面積や地域特有の制限下でも開発可能な少人数世帯向け賃貸マンションである。外観・ディテールにこだわり、地下フロアの設置、エレベーターや梁・柱をなくすなど企画開発ノウハウを詰め込んだ設計構造が特徴である。富裕層の相続税対策ニーズに対応しており、販売単価約3~8億円、販売利回り約4~6%で、1棟販売をしている。直近の開発実績としては、「LEGALAND 西五反田」「LEGALAND 中野富士見町」などがあり、東京都心エリアに92棟、大阪エリアに8棟、合計100棟(2023年3月末現在の開発物件を含む)がある。2023年7月期上期は4件販売し堅調である。大阪エリアに関しては、新ブランドとして「LEGALAND+(リーガランドプラス)」シリーズを開発し展開している。既に2022年4月にシリーズ1棟目となる「LEGALAND+難波南」が竣工した。これまでの「LEGALAND」の良さは引き継ぎつつ、 モダニズム建築の次の一手を担うべく、IoTを含めた様々なプラスワンを吹き込むことをコンセプトとしている。

不動産ソリューション事業の業績は、セグメント業績を開示し始めた2017年7月期から2020年7月期まで右肩上がりで推移してきた。2021年7月期からはコロナ禍によるマイナス影響が出始め、2022年7月期にもインバウンド向け大型開発案件の処分により大幅な損失を余儀なくされた。本来はセグメント利益率で10%前後を維持する収益性の高い事業である。2023年7月期上期は、強みである住居系案件に注力する戦略により業績がV字回復しており、通期でも大幅な増益が期待できると弊社は考えている。

3. 不動産賃貸事業
不動産賃貸事業は、同社保有の収益不動産や、販売に至るまでの所有不動産からの賃貸収入の確保を収益としている。ソリューション力を生かした効率の良い運用、情報を生かした仕入による良質な資産、不動産開発のノウハウを駆使した幅広い用途への投資などが同社の強みである。保有物件の種別ポートフォリオは、住居用マンションを主体に、事務所ビル(1件)とホテル(3件)、民泊用マンションなどがある。2021年7月期から戦略的に売却を積極化しているため、保有数は減少した。

また、ファシリティマネジメント事業(FM事業)とプロパティマネジメント事業(PM事業)も行っている。FM事業では、不動産賃貸事業における賃料の増収や稼働率の向上をテーマとして、同社保有物件の退去時の立会いや原状回復工事、リノベーション工事、補修工事などを行っている。PM事業では、2021年7月期よりPM(プロパティマネジメント)分野の拡充を目指し、専門部門を立ち上げた。順調に管理受託件数を伸ばしており、売却後のLEGALANDも管理受託を行うことで不動産ソリューション事業との好循環が生まれている。2023年1月末のPM事業での管理受託件数は24件、442戸(前期末は9件、269戸)に増加し、今後も成長が期待できると弊社は考えている。

不動産賃貸事業の業績は、セグメント業績を開示し始めた2017年7月期から2019年7月期まで堅調に推移してきたが、コロナ禍に入ってからは保有不動産を売却し財務体質を強化する戦略に転換している。そのため、売上高、セグメント利益ともに減少している。利益率は12.9%(2023年7月期第2四半期)であり、一定水準を維持している。

4. その他事業
その他事業は、不動産コンサルティング事業を行っている。不動産コンサルティング事業は同社祖業であり、法的側面から生じる弁護士からの民事訴訟案件や金融機関等からのローン延長案件に対して、任意売却の仲介及びコンサルティング等、課題解決法を提案してきた。不動産の専門家として、債務者への買主仲介から関係各所との交渉、別除権者(破産手続や民事再生手続に左右されずに実定法上の担保権の対象となる財産等を処分することで、回収する権利を有する担保権者)との接触、配分案作成、不動産の調査や価格査定、権利譲渡、リーシング、入札、場合によっては同社での買い取りなど、顧客のニーズに合わせた多様なサービスを展開している。現在では、法的案件整理以外でも、同社が培った不動産コンサルティングのノウハウを生かして、様々な場面で課題解決法を提案している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)

《AS》

 提供:フィスコ

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