雨宮京子氏【強弱観対立、GW明け株式市場の行方を探る】(2) <相場観特集>
―高値波乱含みの米国株市場を横目に気迷いムードも漂う―
大型連休明けとなった8日の東京株式市場は、目先筋の利益確定の動きがにわかに強まり、日経平均株価はフシ目の2万9000円台を割り込んだ。下値では押し目買いも厚く下げ幅は限られているが、個人投資家としては上値を買い進むにも勇気のいる相場だ。前週の米国株式市場では急落後に急反騰をみせるなどハイボラティリティな展開をみせたが、ここから年央に向けてどういう投資戦略をとるべきか。第一線で活躍する市場関係者2人に今後の相場展望と物色の方向性などについて意見を聞いた。
●「下値切り上げも上値重くペナント型波動に」
雨宮京子氏(雨宮総研 代表)
マーケットでは今月2~3日の日程で開催された米国の連邦公開市場委員会(FOMC)に対する関心が高かったが、東京市場ではカレンダーが3日から5連休に入ってしまったことで相場に織り込むことができず、直近まで手探り模様の地合いを強いられていた。結果として連邦準備理事会(FRB)は0.25%の利上げと予想通りの決着となった。これが最後の利上げとなる可能性もあり、今後は米経済の実態にこれまで以上に注目度が高まることになりそうだ。
米銀の破綻が相次ぎ、金融不安の台頭を否定しづらくなっているが、これまでのところ企業業績は日米ともに好調が目立っており、今のところ影響は限定的といえそうだ。今回の連鎖的な銀行破綻は、経営の読みの甘さによってもたらされたものであり、リーマン・ショックの時のような金融システム不安とは状況が異なっている。米国ではアップル<AAPL>の好決算が目を引いたが、日本でも好調な企業業績が全体相場の下支え要因になろう。ただし、日経平均2万9000円近辺は高値警戒感が漂うのも事実で、上値も引き続き重そうだ。チャートで言えば、下値を切り上げながら上値も押さえられるペナント型を形成することが予想される。向こう1ヵ月の日経平均のレンジとしては下値が2万7600円前後、上値は3万円前後を見込んでいる。
個別株の物色対象としては決め打ちせず、全方位型で幅広い業態に目を配っておきたい。まず、半導体関連では直近好決算を発表したイビデン <4062> [東証P]をマーク。また、 インバウンドやリオープン(経済再開)関連では、チケット販売大手のぴあ <4337> [東証P]やフィギュアやプラモデルの製造・販売を手掛ける壽屋 <7809> [東証S]を注目している。キャッシュレス需要の高まりを背景に直近IPO銘柄であるトランザクション・メディア・ネットワークス <5258> [東証G]の戻り足も魅力的だ。このほか、自動車株ではPBR0.5倍台で割安顕著なホンダ <7267> [東証P]。同社は株主還元期待やEVバッテリー分野への展開力で強みを発揮しそうだ。医薬品株ではインバウンド需要を追い風に大衆薬市場の広がりが期待されるなか、大正製薬ホールディングス <4581> [東証S]に着目したい。
(聞き手・中村潤一)
<プロフィール>(あめみや・きょうこ)
雨宮総研 代表。元カリスマ証券レディとして、日興証券時代は全国トップの営業実績を持つ。ラジオ短波(現ラジオNIKKEI)、長野FM放送アナウンサー、『週刊エコノミスト』(毎日新聞社)記者、日経CNBCキャスター、テレビ東京マーケットレポーター、ストックボイスキャスター、SBI証券投資情報部などを経て現在、日経CNBCに出演中。
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