【杉村富生の短期相場観測】 ─値動き抜群の好業績銘柄を攻める!
「値動き抜群の好業績銘柄を攻める!」
●インフレ収束、金融危機はヤマを越える!
世界的なインフレは収束しつつある。アメリカの3月のCPI(消費者物価指数)上昇率は前年比で5.0%だった。昨年6月の9.1%をピークに低下が著しい。サプライチェーンの混乱は解消され、資源・エネルギー市況は落ち着いている。ガソリン価格は昨年よりも安い。労働需給のひっ迫(賃金上昇)は峠を越えたようだ。あとは住宅だけである。
家賃は住宅ローン金利の高止まり、景気減速を背景にピークアウトするだろう。金融システム不安については“火種”が残っているものの、先のG7(先進7ヵ国財務相・中央銀行総裁会議→4月12日にワシントン)において、「金融危機には万全の対応を取る」との異例の声明が打ち出された。これは当局が事態の深刻さを共有していることを意味する。
FRB(米連邦準備制度理事会)はすでに、QT(量的金融引き締め)を継続中なのに、一方で流動性を供給している。さらに、アメリカ地銀の預金、融資、商業用不動産向け貸出が増え始めた。三井住友フィナンシャルグループ <8316> [東証P]は例のAT1債(永久劣後債)を発行する。金融正常化の第一歩となろう。
アメリカの利上げは5月2~3日のFOMC(連邦公開市場委員会)が最後になるだろう。ターミナルレート(利上げの到達点)は5.00~5.25%だ。利上げ打ち止めを先取りし、2年物国債利回りは4.151%(ピークは5.066%)、10年物国債利回りは3.536%(同4.34%)に低下している。ただ、これは円高圧力につながる。
●わらべや日洋、ヤマエグループなどに妙味!
日本市場は基本的に、ボックスゾーンの動き(往来相場)である。日経平均株価の安値は昨年3月9日の2万4681円(ザラバベース)、高値は昨年8月17日の2万9222円だ。1年以上、もみ合いが続いている。こんな局面では突っ込み買いの吹き値売り戦術が有効となる。それと、引き続いて個別銘柄対応だ。そう、各論勝負に徹する。
筆者は安値圏ではNEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信 <1570> [東証E]、高値圏ではNEXT FUNDS 日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信 <1357> [東証E]の買いを提案している。日経Dインバの価格は310円絡み(最低投資金額は310円前後)と安値ゾーンにある。
日経レバはカラ売りが急増、日経Dインバは買い長だ。まあ、この商品はプロ向きだ。一般の投資家は普通の銘柄が無難だろう。具体的には値動き良好な好業績のわらべや日洋ホールディングス <2918> [東証P]、マツキヨココカラ&カンパニー <3088> [東証P]、ヤマエグループホールディングス <7130> [東証P]などに妙味があろう。
このほか、 大阪万博、IR構想の流れに乗る高見沢サイバネティックス <6424> [東証S]、物流危機克服の切り札とされるモーダルシフトの栗林商船 <9171> [東証S]、宇宙関連の日本プロセス <9651> [東証S]、新薬(サプリ)開発のパイプラインが10件のサスメド <4263> [東証G]などに注目できる。
高見沢サイバネティックスはパナソニック ホールディングス <6752> [東証P]グループ企業と共同開発したウォークスルー型顔認証改札機が大阪メトロに採用された。大阪メトロは2025年の大阪万博、2029年開業予定のIR(カジノ)を意識、2024年度までに全駅(100駅)に導入する計画という。
2023年4月21日 記
株探ニュース