【植木靖男の相場展望】 ─数年来の高値更新銘柄に注目!
「数年来の高値更新銘柄に注目!」
●レンジ上限突破のカギ握るドル円相場
日経平均株価は3月16日の2万6632円を底値に反発に転じ、3月決算配当取りの買いも追い風となり4月4日高値の2万8287円まで急伸。その後、調整を挟んだものの、円安進行にも助けられて7日から18日まで8日連騰を演じ、21日には3月9日の年初来高値2万8734円を更新した。この間、東京証券取引所によるPBR1倍割れ企業に対する改善要請、バフェット氏の日本株強気発言と好材料が相次ぎ、上昇に拍車を掛けた。
加えて、米利上げ観測が和らぎ、景気悪化懸念が後退して、米国株が二番天井、三番天井に向けて反発をみせ始めていることも日本株の上昇を後押しした。
さて、今後はどう展開するのであろうか。年初来高値を更新したとはいえ、目先的には高値もみ合いが続いている。一気に2万9000円大台の奪回を期待している投資家にとってはやや不満であろう。
だが、過去を振り返れば、今の水準は2021年以降のレンジ相場の高値に対応している。当然のことながら、やれやれの売りが出るところだ。
つまり、ここで第1の問題に直面する。これまで通り、再びレンジ相場での下限に向かって下落するのか、はたまた数日のもみ合い、戻り売りを消化して急騰に転じるのか、だ。
仮に後者なら、2021年9月の3万円大台を抜いてこそ、本格上昇相場入りとなる。また、前者なら再び2万5500円処に下げて、その後は保ち合い相場となるリスクがある。いまは重要な分岐点にあるとみられる。
今後のカギとなるのはやはりドル円相場の方向であろう。3月下旬からの円安基調は、目先的には134円処の攻防戦となっている。これまで75日移動平均線、200日線の間にすっぽり入り込んでいるが、75日線は132円処にあり、ここを下抜ける確率は当面低い。ただ、目先的には134円攻防戦も無視できない。カギとなる円ドル相場もリスクをはらんだ展開となっていることに注意したい。
●全包囲の循環買いが続くか
材料的には、4月末にかけて発表される米国3月個人消費支出、それに5月初めの米連邦公開市場委員会(FOMC)が注目される。常識的にはFOMCでは引き続き利上げが続くとみられるが、投資家はどう反応するか。多くのアナリストは株価下落の可能性大とみているが、はたしてどうか。見方が一方に傾けば逆の展開になるのが常。また、金利が上昇すれば円安が加速する可能性もあろう。
さて、当面の物色対象はなにか。基本的にはいまの日本経済はかつての輸出主導型から内需主導型に移行している。したがって、内需関連株がメインだが、株価が本格反騰入りするまでは全方位の循環買いと予想する。
今回はまず三越伊勢丹ホールディングス <3099> [東証P]だ。2017年3月高値1469円を抜いてきた。ほぼ6年ぶりだ。ということは、同社は生まれ変わったとみたい。
次に竹内製作所 <6432> [東証P]。2018年、2021年の3100円処に続き、2022年の3300円処の高値を払ってきた。新開発のクローラーローダーは世界に受け入れられよう。
このほか、日立製作所 <6501> [東証P]に注目したい。2021年の高値7460円を抜いてきた。昔から日立が上昇すれば株価全般が上昇すると言われてきたが、その格言がまだ生きていることに期待したい。
2023年4月21日 記
株探ニュース