ベイシス Research Memo(5):2022年6月期は売上高、営業利益ともに過去最高を更新
■業績動向
1. 2022年6月期及び2023年6月期第2四半期の業績
ベイシス<4068>の2022年6月期業績は売上高が6,264百万円(前期比28.0%増)、営業利益490百万円(同27.7%)、経常利益485百万円(同32.5%増)、当期純利益324百万円(同36.2%増)だった。売上高、営業利益ともに過去最高を更新した。モバイルエンジニアリングサービスにおいては、引き続き旺盛な5G関連投資により、前期比23.6%増を達成した。IoTエンジニアリングサービスでは、ガススマートメーターの設置進行、電力スマートメーターの交換作業の追加受注によって、同75.7%増を達成した。売上高は期初計画(5,941百万円)を上回る超過達成での着地だった。
2023年6月期第2四半期の売上高は3,253百万円(前年同期比6.2%増)、営業利益203百万円(同18.9%減)、経常利益202百万円(同18.7%減)、四半期純利益128百万円(同19.0減)となった。売上高は堅調に推移し、営業利益は前年同期を下回っているが、期初計画通りに人材への投資を積極的に実施した影響であり、計画の範囲内である。また、例年同様、通信キャリアの決算期である3月末を含む同社の第3四半期に売上及び利益がピークとなる傾向がある点は念頭に置いておく必要があるだろう。
同社の事業領域である情報通信分野においては、通信キャリア各社が楽天モバイルに対応してグループのサブブランドを使った通信料の値下げを行っており、将来のインフラ投資に影響を与える可能性を慎重に見ているようだが、現在のところその影響は出ていない。一方で通信事業者以外では、IoTエンジニアリングサービスで展開しているスマートメーター設置サービスにてガス業界におけるスマートメーター設置が進み、引き続き堅調に推移している。また、電力業界におけるスマートメーターについては、2020年6月期に設置計画はほぼ完了したものの、前述のとおり機器の不具合による交換作業の追加受注などがあり、こちらも引き続き堅調に推移している。
さらに、JR東日本<9020>及びKDDIの2社が主導する「空間自在プロジェクト」コンソーシアムに参画し、時間・場所にとらわれない豊かなくらしづくりに向けた「新たな分散型まちづくり」に対し、同社の持ちうるITインフラ構築のノウハウを生かすことで、生活インフラ分野以外のIoT機器設置など事業領域を拡大させている。
なお、同プロジェクトにおける「空間自在ワークプレイスサービス」では、高品質なサービスを提供するため、複雑な機能を持つ、多種多量の機器を、正確に設置することが要求される。そこで、様々なIoT機器を多様なフィールドやクライアントの要望に応え、柔軟かつ臨機応変に、高品質に設置する実績を積んできた同社が、プロジェクトのラストワンマイルである「機器設置」を担当した。また、同社は単なる設置のみにとどまらず、ITを駆使した効率的かつ正確な保守メンテナンスを得意とすることもあり、将来的には「空間自在ワークプレイスサービス」の構築のみではなく、その維持や不測のトラブルの発生にも対応する企業として、この事業に貢献することになる。
2. 四半期推移
四半期推移については、同社の事業特性上、通信キャリアの決算期である3月末が同社の第3四半期に該当するため、売上及び利益がピークとなる傾向があるという構造である。そのため、期初の時点でも第1四半期から第3四半期にかけて右肩上がりに推移するトレンドを計画している。5Gの整備が進み、キャリア各社による高水準の5G投資は落ち着く可能性はあるものの、キャリア各社は新たなサービスを積極化させており、メタバースをはじめとした成長が見込まれる分野などが、同社の利益成長をけん引すると弊社では考えている。
(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)
《NS》
提供:フィスコ