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証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
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9749 富士ソフト

東証P
9,531円
前日比
-30
-0.31%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
28.6 4.50 0.44 47.00
時価総額 6,424億円
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富士ソフト Research Memo(5):顧客の価値向上に資する多彩なICTサービス・プロダクトを提供(2)


■事業内容

3. 特需剥落影響はあるが、富士ソフト<9749>らしさを発揮し続ける狭義のプロダクト・サービス
SI事業のプロダクト・サービスは、狭義のプロダクト・サービスとアウトソーシングに区分される。狭義のプロダクト・サービスが全社に占める構成比は売上高が30.1%(2022年12月期)、営業利益が25.3%(同)であった。前期比では売上高が0.2%減、営業利益は3.2%減となった。主な減収減益要因は、前期のGIGAスクール構想関連の大型ハードウェア販売の反動や、子会社の販売代理店契約終了の影響などによる。

2022年12月期末における受注高は、他社ライセンスの増加等を受けて前期比9.3%増と、ほぼ同水準の受注状況となっている。

狭義のプロダクト・サービスは、1)自社プロダクト(ペーパーレスシステムの「moreNOTE」、情報化社会における総合教育ソリューションの「みらいスクールステーション」、個人所有のスマートフォンなどを会社の業務で活用するツールである「smartBYOD」、コミュニケーションロボットの「PALRO」、SIMフリー向けモバイルルータ「FS030W、FS040W」、仮想空間活用ツールである「FAMシリーズ」等)、2)ライセンスビジネス(マイクロソフト<MSFT>製品、AWS、VMware<VMW>等)、3)物販等(PC、サーバー等)から成る。

特需一巡的な要因により、自社プロダクトと物販等は減速気味ながら、ライセンスビジネスについてはWindows7のサポート終了(2020年1月14日)特需のピークアウト後も成長が継続している。この点、ライセンスビジネスのメインプロダクトに育ったMicrosoft365(旧Office)や各種クラウドサービスがサブスクリプションモデル(売り切り商売ではなく、利用期間に応じて料金を徴収するビジネスモデル)を採用していることが、事業の安定性向上につながっているように見える。なお、同社の場合、ライセンス製品の導入サポートも行っており、単なるライセンス販売だけでなく、エンジニアリングサービスを付帯させることで利幅を確保しているようである。

2021年8月、同社はPCのライフサイクル管理に関するすべての作業(PCの選定・レンタル、キッティング、管理・サポート、更新プログラム適用等)をワンストップで対応する「デスクトップフルサービス」の提供をスタートした。この自社サービスではMicrosoft365の導入/利活用を推奨しており、狭義のプロダクト・サービス全般をグロースし収益性を高める力を持つ。マイクロソフトがサブスクリプションモデルであるWindows365(企業向け仮想デスクトップ=クラウドPC)のサービス提供を2021年8月から、次期OSであるWindows11の提供も同年10月から開始していることもあり、同社の「デスクトップフルサービス」は順調な立ち上がりを見せている。

独立系SIerとして特定のハードウェアに縛られない柔軟なシステム構築力を強みの1つとする同社が、リモート教育関連製品やコミュニケーションロボット、モバイルルータ等のハードウェアを含む自社ブランド・プロダクトを投入していることは、ユニークな挑戦に見える。

一例を挙げると、リモートワーク用社内ツールであった仮想オフィス空間「FAMoffice(ファムオフィス)」の外販は、EX(従業員エクスペリエンス)とCX(顧客体験)を融合した典型的なドッグフーディング事例としてだけでなく、メタバース市場への取り組み事例としても大いに注目できよう。「FAMoffice」はバーチャル空間上に再現されたオフィスであり、実際のオフィスに近い臨場感や一体感、利便性を提供する製品である。「FAMoffice」にアバター(バーチャル空間上の自分を表すキャラクター)として出社することで、全体の俯瞰や特定メンバーの状況把握が容易になるだけでなく、他のメンバーとの資料・情報共有やチャット・ビデオ通話を素早く行える等の仕組みによりメンバー同士のコミュニケーション(会議、相談、雑談)が簡単に行えるため、リモートワークのメリット(BCP対策、経費削減、業務効率化、働き方改革等)を高め、デメリット(セキュリティ問題、コミュニケーションロス問題等)を軽減することが可能となる。

同社は、2022年4月にバーチャル教育空間である「FAMcampus(ファムキャンパス)」、オンライン商談ルームである「MEMTOM(メントム)」、バーチャルイベント空間である「FAMevent(ファムイベント)」の提供・販売を相次いで開始した。

「FAMcampus」と「FAMevent」は、その名の通り「FAMoffice」で培われた技術やコンセプトをベースにしており、前者は学研ホールディングス<9470>のグループ会社である(株)学研塾ホールディングス及び(株)学研メソッドとの共同実証を経て、後者は「厚生労働省予防・健康インセンティブ推進事業」として医療保険者、企業健康増進担当者、自治体、事業主を対象に開催された「データヘルス・予防サービス見本市2021」での先行導入を経て、商業サービスへと磨き上げられている。また、「MEMTOM」は、従来のビデオ会議システムでは難しかった双方向での資料の共有や操作、申込書記入等の契約締結までに至る一連の手続きを可能としたサービスである。

いずれのプロダクトも、「ICTの力で社会課題に取り組む事業」かつ「自社のDXを顧客の競争力向上に貢献させる事業」という点で同社らしさが感じられる。同社は、技術力と提案力を生かし、採算性に幅がある商材を展開することで、新たな付加価値を生み出すことを目指し、挑戦と創造を実践している。自社プロダクトによる新たな付加価値の創造にも取り組み、その戦略は同社の社是「挑戦と創造」に沿ったものであり、会社側は「投資局面後の収益性については高い水準を求めている」としている。狭義のプロダクト・サービス事業は、採算性に幅がある商材のスポット的な売上げの計上に左右されるため、セグメント利益率の短期的な変動に一喜一憂する必要はないものの、今後の推移については期待を持って見守りたい。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 石灰達夫)

《NS》

 提供:フィスコ

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