エリアリンク Research Memo(3):ストレージ運用がコア事業(1)
■事業概要
1. 事業セグメント
エリアリンク<8914>の事業は、1) ストレージ運用とストレージ流動化の2つのサブセグメントから構成される「ストレージ事業」、2) 底地・不動産売買や底地賃料収入などの「土地権利整備事業」、3) レンタルオフィスやアセットマネジメントなどの「その他運用サービス事業」の3つの事業セグメントからなる。
2022年12月期のセグメント別内訳は、売上高ではストレージ事業が78.4%、土地権利整備事業が14.9%、その他運用サービス事業が6.7%であった。一方、営業利益(管理部門の経費控除前)では、ストレージ事業が83.0%、土地権利整備事業が9.4%、その他運用サービス事業が7.6%を占める。売上高・営業利益ともにストレージ事業が同社の中核事業であることがわかる。
2. ストレージ事業
同社はストレージ事業を中核に据えることで成長を遂げており、業績面でもストレージ事業の貢献度が圧倒的に大きい。同事業では、ストレージや駐車場、レンタルオフィスなど様々なサービス業態を「ハロー」ブランドで展開しており、「ストレージ運用」と「ストレージ流動化」に分かれる。ストレージ運用は、レンタル収納スペースの運営・募集・管理を行う事業であり、収入タイプは顧客から継続的な収益を得る安定的なストック型収入である。一方、ストレージ流動化は、投資商品としてストレージを受注・販売する事業であり、収入タイプは一時的なフロー型収入である。ストレージ流動化として販売する場合は、販売時の利益率を抑える一方で、販売先から運用を引き受けることでストレージ運用の収益率を維持する。このため、ストレージ流動化による一過性の利益は計上されないものの、ストレージ事業全体の収益増加につながる。
ストレージ事業の主力ブランドである「ハローストレージ」は家庭用及び企業用のトランクルームで、物件数は業界No.1を誇る。室内を大小のスペースで区画し、顧客の利用用途に適したサービスを提供できるよう、様々なサイズ・商品タイプを用意し、リーズナブルな価格で24時間利用できる。商品タイプは、屋外型トランクルーム(コンテナ型)、屋内型トランクルーム(ビルイン型、一棟型)、バイクBOX独立車庫型、ビジネスストレージ メゾネット型などがある。
このうち、屋外型トランクルームは同社の主力商品である。北海道から九州まで全国展開し、海上運送用の丈夫なコンテナを利用した収納スペースだ。コンテナ前まで車の乗り入れができ、24時間利用可能で、大容量収納が可能な大型サイズから小型物置サイズまで豊富などの特色がある。同社の主力商品としての着実な成長を計画している。
また、屋内型トランクルームは首都圏を中心に展開しており、大手警備会社によるセキュリティ完備により安心安全・24時間利用可能、人気の中規模サイズが豊富などの特色がある。一部を除き空調システムも導入している。コンテナの代わりに既存のビル(全部または一部のフロア)や倉庫などをトランクルームに改装してストレージ事業を展開するケースで、基本的な仕組みは屋外型コンテナタイプと同様だ。一方、屋内型トランクルーム一棟型は、トランクルーム専用に設計された建物型の屋内収納スペースで、無駄をなくしたスマート設計のコンパクトタイプを充実させ、環境になじんだ外観となっている。トランクルーム専用建築、24時間利用可能、清潔感のある外装・内装、大手警備会社によるセキュリティを完備、部屋数が多くサイズが豊富などの特色があることに加え、空調設備、エレベーター、無料駐車場なども完備した次世代トランクルームである。都市部を中心に屋内型トランクルームへのニーズは強く、長期的な拡大を計画している。
2021年からは、屋内型トランクルームに小型木造ストレージ「ストレージミニ」が加わった。自社で取得した土地に建設した木造3階建て・40室規模のストレージである。エレベーター完備、各階へのエアコン設置、パーティションで区切られた部屋となっており、一定の温度・湿度管理が可能だ。従来のトランクルームに比べて敷地が小規模で、人口5~10万人の地方都市や、ニューファミリーが暮らす駅前や郊外のマンション集積地域などでの需要を見込んでいる。
バイクBOX独立車庫型は契約者だけの独立したボックスタイプの専用駐車場で、防犯性を高めるために複数の鍵の取り付けが可能となっている。スムーズに収納できるよう、幅広のラダーテールや収納棚も設置されており、安全性、機能性、利便性を兼ね備えている。
ビジネスストレージ メゾネット型は、倉庫・事務所・住居・駐車場の機能を兼ね備えたストレージとして、2020年から展開しており、郊外を中心とした展開を計画している。
これら「ハローストレージ」の室数は年々順調に増加してきたが、2020年に出店活動を一時停止した影響で2021年の出店室数が減少するなどした結果、2021年12月期の総室数は前期末比101室減の97,784室となった。一方で、2022年12月期は出店再加速に転じたことで同797室増の98,581室となり、稼働率は同3.5ポイント上昇の89.4%と上場来最高値を更新した。新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)に伴いリモートワークが増え、自宅のスペース確保の必要性が増えたことからも、収納ニーズが拡大しているようだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
《SI》
提供:フィスコ