イード Research Memo(4):2023年6月期業績は期初計画を据え置き、過去最高業績の更新を目指す
■業績動向
2. 2023年6月期の業績見通し
イード<6038>の2023年6月期業績は、売上高で前期比7.6%増の6,000百万円、営業利益で同14.4%増の730百万円、経常利益で同14.4%増の730百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同10.9%増の500百万円と期初計画を据え置いた。売上高・各利益ともに過去最高を更新する見通しだ。
新型コロナウイルス感染症の拡大は収束しつつあるものの、ウクライナ危機が続きエネルギー価格や物価の上昇により景況感が悪化するなど、先行き不透明な外部環境が続いている。しかし同社はこれまでどおりM&Aや事業開発の推進により、運営メディア数や事業領域の拡大、収益の多角化に取り組むことで増収増益を目指す。ネット広告売上の動向がカギを握ると見られるが、FITパシフィックが下期はフルに寄与することや、サブスクリプションサービスもコンテンツの充実を図ることで売上を伸ばしていく。SAVAWAYやエンファクトリーなどの売上も順調に推移する見通しだ。
直近のトピックスとして、個人投資家層をターゲットとした投資関連のデジタルメディアを複数運営する(株)カブスルを株式交換(自己株式の中から39,255株を交付)によって子会社化し、3月14日付で同社が吸収合併することを発表した。売上高は広告収入となり、カブスルの直近実績としては28百万円となっている。同社も投資関連メディアとして「マネーの達人」「決算が読めるようになるノート」などを運営しており、今回の合併によって運営体制の強化及びユーザーの相互送客などによるシナジーが見込まれ、金融関連メディア分野の一段の事業拡大が期待される。
また、NFT領域での新たな取り組みとして、2023年2月にNFTの配布や活用のためのソリューションを開発するSUSHI TOP MARKETING(株)と協業し、同社が運営するメディアの広告バナーを通じて、NFTを配布するソリューションを展開したことを発表した。第1弾として、ゲームメディア「インサイド」にて、マスコットキャラクターの「インサイドちゃん」のNFTをメディア来訪者に期間限定で配布した。配布するNFTは通常のウォレットに移動可能で、ブロックチェーン「Astar Network」に対応するマーケットプレイスでも取引可能となっている。将来的には、メディアで配布したNFTをゲームに持ち込むとアイテムとして使用できるというNFT広告の実現に向けて取得率や配布数を高め、ゲームユーザーの獲得やリテンション向上につながる施策を企業に提案し、収益化する考えだ。ブロックチェーンを活用したゲームの市場は今後普及拡大が見込まれており、NFTを活用したプロモーション需要も立ち上がるものと予想される。同社デジタルメディアのほか、今後は「アニメディア」等の雑誌でもNFTを活用する計画を立てている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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提供:フィスコ