貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
日経平均株価の構成銘柄。同指数に連動するETFなどファンドの売買から影響を受ける側面がある
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6981 村田製作所

東証P
2,563.5円
前日比
+1.5
+0.06%
PTS
2,597円
19:41 11/25
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
20.3 1.87 2.11 19.86
時価総額 51,029億円
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大揺れ欧州市場! クレディ・スイス買収の「異常事態」深層と対処法 <株探トップ特集>


―UBSによる救済も銀行株に売り、投資家の「安全志向」は一段と強まる―

 経営不振が続くスイスのクレディ・スイス・グループ<CS>を同国の金融機関最大手であるUBS<UBS>が買収することで合意した。交渉開始が報じられてから短期間で合意に至った欧州金融大手の買収劇は異例ずくめと言える。しかし、金融システム不安が終息に向かうにはなお時間が必要との見方が市場では優勢で、リスク回避ムードも収まってはいない。

●東証業種別「銀行株」は朝高後下げ転換

 20日の日経平均株価は小幅安で始まった後、一時プラスに浮上する場面があったが、ほどなく下げに転じた。終値は388円安。フシ目の2万7000円を下回ったほか、東証の33業種別指数全てが下落する展開だった。このうち業種別指数の「銀行業」は朝方に前週末比で1%を超す上昇となったが、買いは続かず軟化し、終値での下落率は2%に迫った。

 UBSがクレディ・スイスを30億スイスフランで買収するとこの日の取引開始前に伝わった。前週末のクレディ・スイスの時価総額の半値以下の水準という。

 スイス当局は、クレディ・スイスの破綻という最悪の事態を回避した。アジア市場の取引開始前までの発表にこぎつけたことで、金融市場の混乱を未然に防ごうとする狙いがあったとみられている。

 それでも市場の動揺は収まらない。東京市場での銀行株の荒い動きは、金融システムに対する投資家の不安の根深さを物語っているとも言えるだろう。「世界の金融当局は迅速に危機対応策を講じている。かつての金融危機と比べ、セーフティーネットも充実してはいるが、金融システムの不安定化につながる新たな材料が出るのではないかと、投資家が身構えている側面は大きい」(国内証券ストラテジスト)との声がある。

●劣後債が株式に「劣後」する異常事態も

 世界の金融システムの安定に欠かせない「G-SIBs(グローバルなシステム上重要な銀行)」のクレディ・スイスが救済に迫られたこと自体、異常事態といえる。更に、今回多くの投資家を驚かせたのが、クレディ・スイスの資本増強に向けた措置として、同社発行の劣後債の一つである「AT1債」が無価値となったことだ。

 一般に、企業が破綻した際、社債保有者は清算のプロセスで、資産売却などによる弁済を受けることが期待できるのだが、AT1債は銀行の財務が悪化した際に、損失を投資家に背負わせる仕組みがある。AT1債の保有者と対照的に、クレディ・スイスの株主は、この先はUBSの株主となる。保有株式の価値そのものが消えてなくなるわけではない。劣後債が株式に「劣後」する現実を受け入れられない投資家もいるようだ。

 AT1債をはじめとする劣後債は、通常の社債と比べ相対的に利回りが高いのが特徴だ。低金利環境下において日本の金融機関も、運用収益の獲得のためにポートフォリオの一部に組み入れていた経緯がある。クレディ・スイスのAT1債の無価値化を受け、劣後債を含む社債市場全体に及ぼす悪影響への懸念が広がりつつある。投資家の疑心暗鬼は、金融市場の一段の不安定化につながりかねない。

●相対的に底堅い食品・精密機器セクター

 米シリコンバレーバンク(SVB)の突然の経営破綻が伝わったのは米国時間の3月10日のことだ。改めて、日本時間の同日終値から、足もとまでの業種別の騰落率をみると、底堅く推移するセクターとして食料品と精密機器がある。

 食料品がディフェンシブセクターであるのは異論がないだろう。山崎製パン <2212> [東証P]やヤクルト本社 <2267> [東証P]、カルビー <2229> [東証P]は、株価指数の感応度がマイナスで、相場の下落時に耐性力の強い低ベータ銘柄群の一角でもある。

 精密機器に関しては、米国でのテクノロジー株の相対的な底堅さがパフォーマンスに影響を与えているようだ。安全資産と位置付けられる国債への資金流入により、内外金利に低下(債券価格は上昇)圧力が高まるなか、PBR(株価純資産倍率)が相対的に高いテクノロジー株に対しては、売り持ち高を解消する目的の買いが入りやすい。

 このほか、村田製作所 <6981> [東証P]やSMC <6273> [東証P]、HOYA <7741> [東証P]といった、ブルーチップ銘柄には下値の堅さが散見される。総じて、投資家の「安全志向」を色濃く反映していると考えられる。

●FOMC後に市場の動揺収まるか

 目下の注目点は今週21~22日に行われるFOMCだ。一連の金融システム不安を受けて、FRBによる利上げ長期化の懸念は和らいでいる。市場では現時点ではFRBが0.25%の利上げに踏み切るとの予想が多い。こうしたなか、利上げ停止を望む声も強まっているようだ。今回のFOMCでの決定を受けて海外市場がどう反応するかは、現時点では読みにくい部分がある。

 半面、今回の危機対応でFRBのバランスシートが拡大に向かい始めたのも事実である。直近でも、新型コロナウイルス感染拡大を受けた危機対応でFRBのバランスシートが拡大し、世界の株式市場を強力にサポートしたことは記憶に新しい。「FOMCの通過後に市場のセンチメントが改善に向かえば、株式市場も戻りを試す展開が想定される」(前述のストラテジスト)との見方もある。

 パウエル議長は市場の動揺を鎮静化できるか――。不安心理が解消に向かった場合は、NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信 <1570> [東証E]などの順張り型ETFや、高ベータ株が選好される可能性もあるだろう。ベータ値の高い銘柄としては、pluszero <5132> [東証G]やエッジテクノロジー <4268> [東証G]、ソシオネクスト <6526> [東証P]などがマークされそうだ。


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