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4060 rakumo

東証G
929円
前日比
-36
-3.73%
PTS
-円
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
22.2 3.52 0.65 120
時価総額 53.7億円
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rakumo Research Memo(3):主力のSaaSサービスでは「rakumo」シリーズを展開


■事業概要

1. 事業概要
rakumo<4060>はITビジネスソリューション事業の単一セグメントで構成されるが、提供サービスをSaaSサービス、ソリューションサービス、ITオフショア開発サービスの3つに区分している。2022年12月期のサービス別売上構成比は、SaaSサービスが87.6%、ソリューションサービスが4.4%、ITオフショア開発サービスが7.9%であった。

主力のSaaSサービスは、サブスクリプション型ビジネスモデルで継続性と成長率が高い。「rakumo」の開発・販売サービスのほか、他社ライセンスの代理店販売を展開している(詳細は後述)。ソリューションサービスは、同社及び他社SaaSサービスの導入支援(前システムからの移行作業や導入時の初期設定作業、操作説明等)、他社ハードウェアの販売等を行っている。ITオフショア開発サービスは、連結子会社のRAKUMO COMPANY LIMITED(ベトナム)を拠点として、クライアント企業からの「ラボ型」システム開発受託を行っている。クライアントごとに特定のエンジニアを確保し、専属チームとして一定期間継続的に開発業務を行うもので、チームメンバーが固定されていることから企業独自の開発要件やノウハウが蓄積できる。同事業は中長期契約となる場合が多いことから、主力のSaaSサービス同様に、クライアントの業務に組み込まれることにより安定的な収益を生み出せる構造となっている。

2. 「rakumo」の概要
「rakumo」は世界的なクラウドプレイヤーであるGoogle及びSalesforceとパートナーシップ体制を構築しており、両社のクラウド上で「Google Workspace版rakumo」「Salesforce版rakumo」を提供している。クライアントはベンチャー企業から大企業まで業種、規模を問わず、利用社数は2,334社(2022年12月末時点)となっている。

「Google Workspace版rakumo」はGoogleが提供するグループウェア「Google Workspace(旧 G Suite)」と連携し、機能拡張したアドオンツールとして提供している。Google Workspaceが一般ユーザー向けに提供開始したこともあり、「rakumo」は企業がGoogle Workspaceを利用する際に不足する機能の補完や、より使いやすい画面の設計、より便利に利用できる機能を有している。具体的には、共有スケジューラー「rakumoカレンダー」、共有アドレス帳「rakumoコンタクト」、電子稟議システム「rakumoワークフロー」、電子掲示板「rakumoボード」、経費精算システム「rakumoケイヒ」、勤怠管理システム「rakumoキンタイ」の6つのサービスに分類される。一方、「Salesforce版rakumo」は共有カレンダー「rakumoソーシャルスケジューラー」及びカレンダー同期サービス「rakumo Sync」を提供している。

「rakumo」の価格はプロダクトごとに細分化されており、「rakumoカレンダー」は100円(1ID、月額税抜き価格。以下同様)、「rakumoコンタクト」は50円、「rakumoワークフロー」は300円、「rakumoボード」は150円、「rakumoケイヒ」は300円、「rakumoキンタイ」は300円となっている。また、複数のプロダクトをまとめて購入するパッケージプロダクトも取り揃えており、「rakumoカレンダー」「rakumoコンタクト」「rakumoワークフロー」「rakumoボード」の4つの機能が利用できる「rakumo Basicパック」は390円と、単品購入合計の600円から割引価格となる。このほか、全機能が利用できる「rakumo Suite」パック(780円)もある。昨今、SaaSサービスを手掛ける企業も値上げを実施することが増えているが、同社は「中小企業にも高品質なITサービスを届けたい」という方針に基づき、現時点では値上げを実施していないが、値上げ余地はあるものと考える。

3. 「rakumo」の特長
同社はGoogle及びSalesforceと強固なパートナーシップを有しており、これが「rakumo」事業の大きな土台部分となっている。良好な関係を築くと同時に、彼らの仕様に合わせた製品開発やメンテナンスが重要となるが、同社のサービスラインナップはカバー範囲やクライアント数(利用社数)が一定規模に達しており、これが参入障壁となることで先行者利益を享受している。同社が提供するGoogle向けSaaSサービスは、Google Workspace上で提供される業務支援ツールだが、カレンダーや経費精算などプロダクトのカバー範囲も広く、多種多様なクライアントのニーズに対応できる。また、製品間のシステム連携により重複入力や重複対応がなくなり、効率性の向上や作業ミスの低減を実現している。

4. 「rakumo」のビジネスモデル
「rakumo」の収益構造は、サービス料金をクライアントの使用期間及びユーザー数に応じて定期定額契約(サブスクリプション)として課金することで、継続的な収益(リカーリングリベニュー)を得る。売り切り型ではなく、継続的なサービス提供が前提である。継続的な収益が積み上がっていくストック型ビジネスとして安定性がありながら、新規契約数の増加に伴う高い成長も目指すことができるビジネスモデルである。年間契約や複数月契約が主体であり、契約金額を一括前払いで回収しているため、キャッシュ・フロー上の安定性が高いことも特長である。

また、販売代理店(販売パートナー)との連携を密にし、効果的なマーケティング施策によるクライアントからのネット経由のアプローチ(インバウンド)を主体とした直接販売チャネルによって、効率的な販売促進の仕組みを構築している。なお、販売パートナーへの卸値が同社の売上高計上額となるため、販売パートナーへのマージンが営業費用として計上されず、SaaSサービスの追加売上高の多くがそのまま粗利として計上される。

SaaS企業は事業の特性上、バランスシート上の資産をあまり必要としないため、総資産に対する手元流動性比率が高くなる傾向がある。ただし、M&Aを積極的に行いながら業容拡大を進めているSaaS企業は、のれんの比重が高くなることがある。サブスクリプション型で月額料金にてサービスを提供している場合、契約期間にわたって毎月一定額を売上計上するが、売上計上より前に回収することで多額の前受金が計上される場合もある。また、SaaS企業の多くはソフトウェア開発に多額の投資を行っているが、バランスシート上はソフトウェアを資産計上していないか、資産していても少額であることが多い。これは、(1) 開発の成果としてプロダクトが完成してもしばらくの期間は損失計上が続くことが多く、資産性の説明が難しい、(2) SaaS企業の価値評価においては目先の会計上の利益よりも売上成長率やキャッシュ・フローが重視されることが多いため、ソフトウェアを資産計上する意義が小さい、などが背景となっている。

これらの観点から同社の2022年12月期の財務状況を見ると、(1) 総資産1,776百万円に対する現金及び預金の構成比は80.8%(1,435百万円)、(2) gamba買収後の総資産に対するのれんの構成比は4.8%(84百万円)に留まる、(3) 無形固定資産のうちソフトウェアは52百万円、ソフトウェア仮勘定は13百万円と少額に留まる、(4) 負債のうち短期有利子負債は40百万円、長期有利子負債は10百万円と財務レバレッジが低い、(5) 前受金に当たる契約負債(433百万円)は負債の最大勘定科目となっている、(6) 自己資本比率は64.9%と高い、などの特長があるが、大半は一般的なSaaS企業と共通しており違和感はない。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 永岡宏樹)

《SI》

 提供:フィスコ

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