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人流回復の追い風強力、「航空機関連株」が株高へテイクオフ <株探トップ特集>


―航空機大手に豊富な受注残、部品関連企業の商機拡大へ―

 日本政府観光局(JNTO)は15日、2023年1月の訪日外国人客数(推計)が149万7300人になったと発表した。新型コロナウイルス感染症が流行する前の19年同月比では44.3%減となっているが、前月からは12万7300人増えている。例年1月は欧米市場を中心に閑散期にあたるが、旧正月などの影響で東アジア(韓国、中国、台湾、香港)からの訪日外客数は100万人を超え、米国などからの訪日外客数も順調に回復している。航空便においては増便・復便の傾向がみられ、需要が鮮明になりつつあることから航空機関連銘柄を改めて見直してみたい。

●航空機需要が急回復

 新型コロナの感染拡大により航空業界は大きな打撃を受けたが、各国で水際対策が緩和されるにつれて航空需要が回復してきている。国際航空運送協会(IATA)が6日発表した22年の世界の航空輸送量は、19年比で68.5%まで回復し、前年比では64.4%増加。ウィリー・ウォルシュ事務総長は「中国の経済再開により回復の勢いは23年も続くことが予想される」としている。

 航空機の受注も復活しており、米航空機大手のボーイング<BA>は、22年の民間航空機部門の受注数が前年比約60%増の774機だったことを明らかにしている。これは新規受注からキャンセルを差し引いた機数で、納入数は同約40%増の480機。昨年末時点の受注残は4578機になっているという。また、欧州航空機大手のエアバスの22年の受注数は1078機で、前年よりも300機程度増えた。納入数は661機(前年は611機)で、受注残は7239機となっている。

 こうした動きは航空機部品を手掛ける国内企業に好影響を与えそうで、関連銘柄に目を配っておきたい。

●航空業界支える企業群

 大阪チタニウムテクノロジーズ <5726> [東証P]は高品質金属チタンの大手で、航空機エンジン向けのプレミアムグレードと称される重要部品用高品質チタンを提供できる技術を持つ。足もとでは航空機用途向けが主体である輸出スポンジチタンの売り上げが伸びており、7日には23年3月期通期の単独営業損益予想を従来の30億円の黒字から35億円の黒字(前期は19億1400万円の赤字)に上方修正した。

 ナブテスコ <6268> [東証P]は産業ロボット用精密減速機や自動ドアなどを手掛けているほか、航空機メーカーに機体コントロールの中核となる操縦系統システムや各種装備品を提供している。10日発表の23年12月期通期の連結営業利益予想は前期比44.8%増の262億円。精密減速機や舶用機器の好調な需要が予想されるほか、自動ドア事業では大型商業ビル向けの需要拡大、航空機器では民間・防衛向けともに本格的な需要回復を見込んでいるという。

 ジャムコ <7408> [東証P]は航空機用内装品の大手で、ギャレー(厨房設備)やラバトリー(化粧室)に強み。足もとでは運航機数の増加に伴ってエアライン向けスペアパーツ販売が伸長しているほか、航空機整備なども堅調。ビジネスクラス・シート「Venture」の出荷が開始されたことなども寄与し、9日発表の23年3月期第3四半期累計(22年4-12月)の連結営業損益は15億7700万円の黒字(前年同期は15億2000万円の赤字)で着地した。なお、通期の営業損益見通しは従来通り27億8000万円の黒字(前期は31億7400万円の赤字)で据え置いている。

 エージーピー <9377> [東証S]は航空機向け電力供給や空港施設保守などを手掛けている。国内線を中心に運航便数が大幅に回復してきたことで電力供給機会が増えていることに加え、特殊機械設備(旅客手荷物搬送設備や旅客搭乗橋設備)の稼働再開などによる保守業務の需要も高まっており、1月27日には23年3月期通期の連結営業利益予想を従来の2億4800万円から4億1000万円(前期比3.4倍)に引き上げた。

 このほかでは、航空機の内装向け湿式ポリウレタンレザーを手掛けるウルトラファブリックス・ホールディングス <4235> [東証S]、航空機用アルミ部材加工機を扱うキクカワエンタープライズ <6346> [東証S]、プロペラ・脚・熱交換器を中心に航空機用機器を設計・製造する住友精密工業 <6355> [東証S]、カスケードをはじめ各種航空機部品を製造する日機装 <6376> [東証P]、部品の放電加工や表面処理などを中心とした受託加工及び航空機用エンジン部品製造の一貫工程を担っている放電精密加工研究所 <6469> [東証S]、ジェットエンジンに使用されるメカニカルシールを生産するイーグル工業 <6486> [東証P]、航空機用電源システムメーカーのシンフォニア テクノロジー <6507> [東証P]、翼の構造部材などを供給する新明和工業 <7224> [東証P]などが関連銘柄として挙げられる。

●SAF関連にも注目

 これ以外では、脱炭素社会の実現に向けて新たな航空燃料として注目されている持続可能な航空燃料「SAF(Sustainable Aviation Fuel)」の関連銘柄もマークしておきたい。国土交通省では30年までに国内エアラインにおけるSAFの使用割合を燃料全体の10%まで高める目標を掲げている。

 直近では、日本製紙 <3863> [東証P]と住友商事 <8053> [東証P]、Green Earth Institute <9212> [東証G]が、木質バイオマスを原料とする国内初のセルロース系バイオエタノールの商用生産及びバイオケミカル製品への展開に向けた共同検討を開始することで合意した。バイオエタノールは再生可能エネルギーやSAFのようなバイオ燃料の原料、環境負荷の低い化学品原料として注目されており、3社は27年度の製造開始を視野に入れ検討するという。

 また、J-オイルミルズ <2613> [東証P]と出光興産 <5019> [東証P]は、バイオ原料確保によるSAF製造・プラスチックリサイクル・バイオ化学品活用などのバイオマス事業の構築に関する検討に共同で取り組むことで合意。伊藤忠商事 <8001> [東証P]と米レイヴェン(ワイオミング州)は、日本航空 <9201> [東証P]とANAホールディングス <9202> [東証P]傘下の全日本空輸にSAFを供給することで覚書を締結している。

 昨年11月に廃食用油を原料とした国産SAFの大規模生産を目指す新会社「SAFFAIRE SKY ENERGY(サファイア・スカイ・エナジー)」を設立した日揮ホールディングス <1963> [東証P]、国産SAF「サステオ」を展開するユーグレナ <2931> [東証P]、SAFの原料となる微細藻類を安定的に大量培養できる技術の開発に取り組んでいるJパワー <9513> [東証P]などのビジネス機会拡大も期待される。

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