エスプール Research Memo(1):障がい者雇用支援サービスに続く収益柱として広域行政BPOサービスが成長
■要約
エスプール<2471>は、障がい者雇用支援サービス、ロジスティクスアウトソーシングサービス等を中心としたビジネスソリューション事業と、コールセンター向け派遣を中心とした人材ソリューション事業を展開している。障がい者雇用支援サービスでは、企業に対して貸し農園設備の販売及び運営管理と障がい者の就労支援サービスを提供しており、2010年に事業を開始して以降、首都圏及び愛知県、大阪府で37農園を開設し、2022年11月末時点で3千名を超える障がい者雇用を創出している。
1. 2022年11月期の業績概要
2022年11月期の連結業績は売上高で前期比7.2%増の26,650百万円、営業利益で同15.9%増の3,091百万円と過去最高を連続更新した。コールセンター業務の落ち込み等により人材ソリューション事業が減収減益となったが、障がい者雇用支援サービスを中心としたビジネスソリューション事業の拡大によりカバーした。障がい者雇用支援サービスは、旺盛な需要を背景に前期比20%を超える増収増益となったほか、新規事業となる広域行政BPOサービスや環境経営支援サービスも期初計画を大きく上回る成長を見せ、利益増に貢献した。これら3事業で売上高は2,423百万円の増収、営業利益は917百万円の増益要因となっている。
2. 2023年11月期業績見通し
2023年11月期の売上高は前期比6.1%増の28,288百万円、営業利益は同17.1%増の3,620百万円と増収増益が続く見通し。上期は人材ソリューション事業の減収や広域行政BPOサービスの新拠点開設費用増加により減収減益となるが、下期は2ケタ増収増益に転じる見込みとなっている。特に広域行政BPOサービスについては地方の中小自治体からの需要が旺盛で、拠点数が前期末の11拠点から24~26拠点に拡大し(上期で10拠点開設確定済み)、売上高は前期比108.9%増の1,900百万円と急成長を見込んでいる。なお、障がい者雇用支援サービスについて、2023年1月9日付で一部のメディアで否定的な報道がなされたが、同社は法令に遵守した適切な運用を行っており問題はないとの認識である。また、障がい者雇用率については現行の2.3%から2024年4月に2.5%、2026年7月に2.7%と段階的に引き上げることが新たに決まり、対象企業の範囲も拡大することとなった。このため、今後も同社サービスは順調に拡大していくものと予想される。
3. 中期経営計画の進捗状況
2021年11月期からスタートした5ヶ年の中期経営計画では、重点戦略として「既存事業の深掘りによるオーガニック成長の継続」「新規事業の育成」「ESGを軸とした経営基盤の強化」に取り組み、2025年11月期の業績目標として売上高410億円、営業利益50億円を掲げた。2年目を終えたところで各事業の計画見直しを実施しており、人材ソリューション事業について目標を引き下げた一方で、障がい者雇用支援サービス及び新規事業(広域行政BPOサービス、環境経営支援サービス)の見通しを引き上げた。この結果、売上高については364億円と従来目標を下回るが、営業利益については50億円と従来目標を維持した。ただ、投資費用及び予備費用を従来の1.9億円から5.3億円に増額しているため、利益ベースでの目標達成の蓋然性は高まったと見ることもできる。特に広域行政BPOサービスは50拠点まで広げ、売上高で50億円、営業利益で17.5億円と前期実績(売上高9億円、営業利益3億円)から急成長する見通しとなっている。環境経営支援サービスも、気候変動分野だけでなく水セキュリティや生物多様性などコンサルティング領域を広げることで旺盛な需要を取り込む計画となっており、障がい者雇用支援サービスも含めて、これら3事業が業績をけん引することになりそうだ。
■Key Points
・2022年11月期の営業利益はビジネスソリューション事業の好調により連続2ケタ増益
・2023年11月期も障がい者雇用支援サービスと新規事業がけん引し、増収増益が続く見通し
・新規事業の急成長に伴い2025年11月期の営業利益50億円達成の蓋然性が高まる
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
《YI》
提供:フィスコ