明日の株式相場に向けて=中期大化け株発掘の視点
週明け30日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比50円高の2万7433円と小幅続伸。きょうは強弱観が対立するなか方向感がつかめず、狭いレンジながらも日経平均はプラス圏とマイナス圏を右往左往するような千鳥足の値動きを強いられた。
2023年が明けてから1カ月が経過したが、振り返れば弱気筋に与するような外部環境にありながら、思った以上に強気優勢に傾いた地合いだったといえる。もっとも、日経平均が強さを浮き彫りとしたのは今月後半からである。16日時点では2万5000円台にあったが、翌17日から快進撃が始まった。この快進撃は売り方にとっては、「またしても」という踏み上げ相場の色が濃いものとなった。背景にあるのは米インフレに対する警戒感の後退でFRBの利上げ打ち止め観測が浮上したことと、中国ゼロコロナ政策の劇的解除に伴う経済再開期待が一気に強まったことが挙げられる。
2月1日に発表されるFOMCでは0.25%の政策金利引き上げが既定路線となっているが、マーケットが注目しているのはそこではなく、いつのタイミングで利上げが打ち止めとなるかである。その判断材料となるのは、会合後のパウエルFRB議長の記者会見である。おそらく、マーケットの楽観ムードに釘を刺すタカ派的なコメントが予想されるが、それでも相場の波乱を予想する向きは意外と少ない。市場では「マーケットの85%強が3月も利上げがあるとみている一方、残りの15%程度、つまり6人に1人くらいは2月で利上げ打ち止めという見方を示している。だが、この15%を裏切る展開となっても嵐はおきそうにない」(中堅証券ストラテジスト)とする。
しかし、もし次の5月の会合まで利上げが続くとすると、それはマーケットにとっては暴風雨となりうる。ネット証券アナリストによると「最新データで5月の利上げを見込んでいるのは57%程度、見込んでいないは35%程度とかなり接近している」とする。仮に3月FOMCでも打ち止め感が出ないというのであれば、年前半はほぼ利上げ継続ということで、1月の強調相場は勇み足で前に出過ぎた可能性が否定できなくなる。また、このFOMC通過後にはGAFAMの決算(アップル<AAPL>、アルファベット<GOOGL>、アマゾン<AMZN>)が控えており、これも上下どちらかにボラティリティを高める要因となりうる。いずれにしても今週は静かなままでは終わりそうにない。
そうしたなか、東京市場ではプライム市場の騰落レシオ(25日移動平均)がきょうの取引終了時点で129%まで上昇、過熱ゾーン入りが明確となってきた。企業の決算発表は明暗まちまちで、株価への影響はあくまで個別の領域で収まっているが油断はならない。“節分天井”というシナリオも念頭に置きながら、慎重に歩を進めていきたい場面だ。
決算発表絡みで個別株のボラティリティが高まるのは必至ながら、上か下か、こればかりはフタを開けて見ないと分からない。仮に読み筋通り好決算を発表したとしても、コンセンサスを下回った内容であったりすると容赦なく売りの洗礼を浴びせられるようなケースがあり、投資家として決算プレーに傾注するのはあまりお勧めできない。それより期待値の高い投資手法としては、例えば決算発表を既に通過しているもの(3月期決算以外の銘柄も含む)を改めて洗い直す。好決算企業で仕込み好機の銘柄は意外に多い。セラク<6199>、トレジャー・ファクトリー<3093>、信越ポリマー<7970>などはその候補だ。このほか、時価総額が比較的小さく、ビジネスモデルに輝きを持つ銘柄は中期で株価の居どころを大きく変える可能性がある。好業績銘柄の中でそうした輝きを持つ銘柄としては恵和<4251>、アイ・ピー・エス<4390>、メディカル・データ・ビジョン<3902>、デジタルハーツホールディングス<3676>、ビリングシステム<3623>などが挙げられる。
あすのスケジュールでは、22年12月の失業率、12月の有効求人倍率、12月の鉱工業生産指数、12月の商業動態統計、12月の自動車輸出、12月の建機出荷、12月の住宅着工統計、1月の消費動向調査など。海外では12月の中国工業企業利益、1月の中国製造業・非製造業PMI、12月の豪小売売上高、10~12月期仏GDP、10~12月期のユーロ圏GDP(いずれも速報値)、1月の独失業率、1月の独CPI、10~12月期米雇用コスト指数、11月の米S&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数、1月の米シカゴ購買部協会景気指数、1月の米消費者信頼感指数など。(銀)
出所:MINKABU PRESS
最終更新日:2023年01月30日 18時23分
2023年が明けてから1カ月が経過したが、振り返れば弱気筋に与するような外部環境にありながら、思った以上に強気優勢に傾いた地合いだったといえる。もっとも、日経平均が強さを浮き彫りとしたのは今月後半からである。16日時点では2万5000円台にあったが、翌17日から快進撃が始まった。この快進撃は売り方にとっては、「またしても」という踏み上げ相場の色が濃いものとなった。背景にあるのは米インフレに対する警戒感の後退でFRBの利上げ打ち止め観測が浮上したことと、中国ゼロコロナ政策の劇的解除に伴う経済再開期待が一気に強まったことが挙げられる。
2月1日に発表されるFOMCでは0.25%の政策金利引き上げが既定路線となっているが、マーケットが注目しているのはそこではなく、いつのタイミングで利上げが打ち止めとなるかである。その判断材料となるのは、会合後のパウエルFRB議長の記者会見である。おそらく、マーケットの楽観ムードに釘を刺すタカ派的なコメントが予想されるが、それでも相場の波乱を予想する向きは意外と少ない。市場では「マーケットの85%強が3月も利上げがあるとみている一方、残りの15%程度、つまり6人に1人くらいは2月で利上げ打ち止めという見方を示している。だが、この15%を裏切る展開となっても嵐はおきそうにない」(中堅証券ストラテジスト)とする。
しかし、もし次の5月の会合まで利上げが続くとすると、それはマーケットにとっては暴風雨となりうる。ネット証券アナリストによると「最新データで5月の利上げを見込んでいるのは57%程度、見込んでいないは35%程度とかなり接近している」とする。仮に3月FOMCでも打ち止め感が出ないというのであれば、年前半はほぼ利上げ継続ということで、1月の強調相場は勇み足で前に出過ぎた可能性が否定できなくなる。また、このFOMC通過後にはGAFAMの決算(アップル<AAPL>、アルファベット<GOOGL>、アマゾン<AMZN>)が控えており、これも上下どちらかにボラティリティを高める要因となりうる。いずれにしても今週は静かなままでは終わりそうにない。
そうしたなか、東京市場ではプライム市場の騰落レシオ(25日移動平均)がきょうの取引終了時点で129%まで上昇、過熱ゾーン入りが明確となってきた。企業の決算発表は明暗まちまちで、株価への影響はあくまで個別の領域で収まっているが油断はならない。“節分天井”というシナリオも念頭に置きながら、慎重に歩を進めていきたい場面だ。
決算発表絡みで個別株のボラティリティが高まるのは必至ながら、上か下か、こればかりはフタを開けて見ないと分からない。仮に読み筋通り好決算を発表したとしても、コンセンサスを下回った内容であったりすると容赦なく売りの洗礼を浴びせられるようなケースがあり、投資家として決算プレーに傾注するのはあまりお勧めできない。それより期待値の高い投資手法としては、例えば決算発表を既に通過しているもの(3月期決算以外の銘柄も含む)を改めて洗い直す。好決算企業で仕込み好機の銘柄は意外に多い。セラク<6199>、トレジャー・ファクトリー<3093>、信越ポリマー<7970>などはその候補だ。このほか、時価総額が比較的小さく、ビジネスモデルに輝きを持つ銘柄は中期で株価の居どころを大きく変える可能性がある。好業績銘柄の中でそうした輝きを持つ銘柄としては恵和<4251>、アイ・ピー・エス<4390>、メディカル・データ・ビジョン<3902>、デジタルハーツホールディングス<3676>、ビリングシステム<3623>などが挙げられる。
あすのスケジュールでは、22年12月の失業率、12月の有効求人倍率、12月の鉱工業生産指数、12月の商業動態統計、12月の自動車輸出、12月の建機出荷、12月の住宅着工統計、1月の消費動向調査など。海外では12月の中国工業企業利益、1月の中国製造業・非製造業PMI、12月の豪小売売上高、10~12月期仏GDP、10~12月期のユーロ圏GDP(いずれも速報値)、1月の独失業率、1月の独CPI、10~12月期米雇用コスト指数、11月の米S&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数、1月の米シカゴ購買部協会景気指数、1月の米消費者信頼感指数など。(銀)
出所:MINKABU PRESS
最終更新日:2023年01月30日 18時23分