貸借
証券取引所が指定する制度信用銘柄のうち、買建(信用買い)と売建(信用売り)の両方ができる銘柄
日経平均株価の構成銘柄。同指数に連動するETFなどファンドの売買から影響を受ける側面がある
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3099 三越伊勢丹

東証P
2,151.5円
前日比
-40.0
-1.83%
PTS
2,168円
23:57 11/22
業績
単位
100株
PER PBR 利回り 信用倍率
13.7 1.32 2.23 20.12
時価総額 8,398億円
比較される銘柄
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H2Oリテイ

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インバウンド視野に攻勢、業績回復「百貨店」株に逆襲高期待膨らむ <株探トップ特集>


―月次の売上高が拡大基調、コロナ禍からの復活で国内顧客向け販売も伸長―

  インバウンド需要を視野に百貨店株への上昇期待が膨らんでいる。政府は新型コロナウイルスの感染症法上の分類について季節性インフルエンザと同じ「5類」に引き下げる時期を検討しており、社会活動に関わるさまざまな制限措置の更なる緩和につながりそうだ。人流が回復し対面による買い物需要が一段と盛り上がる可能性があり、三越伊勢丹ホールディングス <3099> [東証P]などの関連株は有力セクターとして見直し買いが進んでいる。

●新型コロナ「5類」に今春引き下げ、平時移行が加速へ

 新型コロナの感染拡大を防止する規制が段階的に緩和され、3年ぶりに行動制限のない年末年始だったこともあり、人流が回復し小売業は活気を取り戻し始めている。岸田文雄首相は20日、新型コロナについて今春にインフルエンザと同等の「5類とする方向」を示しており、実際に引き下げられれば「平時」へと大きく舵を切るかたちとなる。また、昨年10月には水際対策の緩和を行い、入国者数の上限撤廃や海外からの個人旅行の解禁に踏み出した。中国からの入国に規制は残されたが、足もとで海外観光客が日本に戻り始めるなか、今後インバウンド需要がどこまで回復するかが関心を集めている。

●百貨店売り上げではインバウンド関連も大幅増

 こうしたなか、足もとの百貨店各社の売り上げは順調に回復している。日本百貨店協会によると、全国71社185店の昨年12月売上高は前年同月比4.0%増、入店客数は同1.1%増とともに10ヵ月連続でプラスとなった。ラグジュアリーブランドや宝飾品など高額商品が引き続き好調で、気温の低下により重衣料や防寒商材も伸長した。また、インバウンド売り上げが同5.8倍と前月の同5.0倍から増収率が更に上昇した。2022年の年間売上高は前年比13.1%増の4兆9812億円と2年連続で伸長し、19年と比べ11.1%減とコロナ前の約9割まで戻している。

 大手百貨店の広報担当者は「高額商品が売れている。減速の気配はいまのところない」という。コロナ禍で外出自粛を強いられてきた消費者だが、その状況が長期化したことでネットショッピングにも飽き、富裕層を中心に「リベンジ消費」が発生している構図だ。「平時」が戻れば、厚い中間層の消費が本格的に回復しインバウンド需要も加わることで百貨店業界を取り巻く環境は様変わりする可能性が高まる。

●筋肉質経営でJフロントは業績急回復

 百貨店業界はデフレ時代を反映し売上高や店舗数の減少傾向が続いたが、2010年代半ばから急拡大したインバウンド需要が強力な追い風となり、業績を回復させた経緯がある。しかし、コロナ禍で頼みのインバウンド需要が消失し、業績が低迷した百貨店各社は、懸命に販売方法の模索や不採算店舗の整理など経営体質の強化に取り組んできた。市場が縮小している婦人服売り場を専門店へ貸し出すことで安定した収入源を確保したり、展示機能に特化し在庫を持たない「売らない売り場」を増やしネットで買ってもらったりするなどのビジネスモデルで「筋肉質」な経営体制に転換している百貨店も少なくない。

 J.フロント リテイリング <3086> [東証P]は昨年9月、23年2月期の連結営業利益予想について、210億円から235億円(前期比2.5倍)へ上方修正した。同社では24年2月期の同利益を403億円と20年2月期と同水準までに回復させ、今後グループが保有する不動産価値の最大化や、リアル×デジタルの戦略を更に進め31年2月期には800億円を目指す計画だ。

●業績を2度上方修正した三越伊勢丹、高島屋

 業績変化の大きい三越伊勢丹や高島屋 <8233> [東証P]の動きにも注目したい。両社はともに業界の老舗で都内の一等地に店を構えるが、立地の良さと知名度の高さからインバウンド需要の恩恵を享受してきた。記録的な為替相場の円安も追い風となり、昨年12月にはコロナ禍前を上回る免税売上高を稼ぐ店舗も出てきた。これまで実施してきたコスト構造改革の寄与もあり、両社とも今期は2度にわたり業績を上方修正しており、コロナ禍前の利益水準となるようだ。株価指標面では高島屋のPBR0.6倍台は割安感が強く、上値余地が大きい。

●出遅れの松屋など再評価余地も

 一方、松屋 <8237> [東証P]はコロナ禍からの業績回復が遅れ、昨年の株価の反応も同業他社に比べて小さかった。同社では23年2月期の営業損益見通しは5000万円の黒字(前期は22億8000万円の赤字)とコロナ禍前19年2月期の18億4200万円の黒字への回復は、まだわずかだ。しかし今月13日に発表した昨年12月度の売上報告で、銀座本店の売上高は前年同月比29.9%増と大幅な増収となった。台湾や韓国などインバウンド需要の回復による寄与が大きかったことで、「今後の業績回復へメドがついた」との見方から株価も堅調に推移している。また、同社は16年ぶりとなる社長の交代を発表。トップの若返りを図ることで企業価値を高める変革のきっかけとなるかどうかも注目ポイントだ。

 また、関西を地盤とする百貨店エイチ・ツー・オー リテイリング <8242> [東証P]や、近鉄百貨店 <8244> [東証S]では業績の最悪期を脱しつつある。H2Oリテイが今月16日に発表した12月度営業概況で、阪神阪急全店売上高は前年同月比10.2%増となった。10月の同20.1%増、11月の同11.1%増に続き2ケタ増となっている。このほかでは、百貨店に加えて私鉄やホテルなど多角化経営をしている東急 <9005> [東証P]、京浜急行電鉄 <9006> [東証P]、小田急電鉄 <9007> [東証P]、京成電鉄 <9009> [東証P]などにも注目しておきたい。

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