株価指数先物 【週間展望】 ―日米金利差縮小への思惑からリバランスの動きが強まりやすい
「日米金利差縮小への思惑からリバランスの動きが強まりやすい」
今週の日経225先物は、米国の重要経済指標のほか、国内では日銀の金融政策決定会合を控えるなか、米長期金利や為替動向の影響を受けやすいだろう。
13日の米国市場では主要な株価指数が上昇し、相対的に出遅れていたナスダックは6営業日続伸し約1カ月ぶりの水準を回復した。朝方は主要銀行が経済の先行きに対して慎重な見方を示し、景気悪化が警戒されて売りが先行した。一方で、米連邦準備理事会(FRB)が金融政策を決定する上で注視している1月のミシガン大学消費者態度指数(速報値)で、1年先のインフレ期待は4%と前月の4.4%から低下し、2021年4月以来の低水準だった。前日には12月の米消費者物価指数(CPI)がインフレ鈍化を示していたこともあり、期待インフレ率の低下によって、金利先高観がさらに後退する格好となり、FRBが利上げペースを緩めるとの見方から売り一巡後は買い直された。
これにより1ドル=127円台と昨年5月以来の円高に振れるなか、シカゴ日経平均先物は日中大阪比290円安の2万5790円と大幅に下落した。テクニカル面ではボリンジャーバンドの-1σをキープできなかったことで、4日につけた2万5570円のほか、-2σが位置する2万5090円辺りが意識されてくる可能性が出てきた。
今週は米国で18日に12月の卸売物価指数(PPI)および12月の小売売上高の発表が予定されている。変動の激しい食品やエネルギーを除いたコアPPIは前年比で5.4%増と、9カ月連続で伸びが鈍化すると予想されている。CPIに続いてPPIでもインフレ鈍化が示されるようだと、米長期金利の低下につながり、円相場は円高に振れやすいだろう。また、物価高と金利上昇によって家計は圧迫されており、小売売上高は前月比マイナスとなる可能性が高い。そのため、FRBによる利上げ減速の思惑が一段と強まり、米国では利上げ長期化懸念を受けた売りは後退するとみられる。
国内では17-18日に開催される日銀の金融政策決定会合に関心が集まる。日銀が金融政策決定会合で大規模な金融緩和策に伴う副作用を点検すると報じられるなか、追加の政策修正が警戒されている。先週は先月に続いてさらに日銀が金融政策を修正するのではないかとの見方を背景に、長期金利(10年国債金利)が日銀の引き上げた0.5%の上限を上回り、一時0.545%とおよそ7年7カ月ぶりの水準に上昇した。昨年12月会合での金融緩和策の修正は、実質的な利上げと受け止められて市場の混乱につながっただけに、日銀が追加的な金融緩和策の修正に動く可能性は低いとみられる。
とはいえ、日米金利差縮小への思惑からリバランスの動きは強まりやすく、積極的にポジションを取りに行く動きは限られるだろう。そのため、ヘッジを考慮したNTショートによるスプレッド狙いのトレードに振れやすい面はありそうだ。先週末のNT倍率は先物中心限月で一時13.69倍まで低下し、4日の安値13.72倍を下回った。いったんはボトム形成からの巻き戻しが意識されるものの、為替睨みのなかでは相対的にTOPIX優位の展開が想定される。
なお、VIX指数は18.35に低下し、リスク選好に向かわせやすい面はある。ナスダックがリバウンド基調を強めてきたこともあり、足もとで反発を強めてきた東京エレクトロン <8035> [東証P]など、指数インパクトの大きい値がさハイテク株の動向が日経平均型の下支えとして意識されてくる可能性がある。また、先週末に大きく売られたファーストリテイリング <9983> [東証P]は52週移動平均線水準まで下落したことにより、いったんはリバウンドに向かうことも期待されてこよう。ハイテク株やファーストリテイリングに底堅さが見られるようだと、NTショートの巻き戻しに加えて、日経225先物へのショートカバーが意識されてくるだろう。目先的にオプション権利行使価格の2万5500円~2万6000円のレンジを想定しておきたい。
1月第1週(1月4日- 6日)の投資部門別売買動向によると、海外投資家は現物と先物の合算では4週連続で売り越し、売り越し額は5668億円(12月4週は2658億円の売り越し)だった。なお、現物は640億円の売り越し(同1782億円の買い越し)と2週ぶりの売り越しであり、先物は5028億円の売り越し(同4440億円の売り越し)と4週連続で売り越している。個人は現物と先物の合算で1796億円の買い越しで、2週ぶりの買い越し。信託銀行は現物と先物の合算で88億円の買い越しとなり、3週連続の買い越しだった。
経済スケジュールでは16日に12月国内企業物価指数、米国市場はキング牧師記念日で休場、17日に中国12月小売売上高、中国12月鉱工業生産、中国10-12月期国内総生産(GDP)、米国1月ニューヨーク連銀製造業景気指数、18日に日銀金融政策決定会合(2日目)、日銀展望レポート、11月機械受注、米国12月小売売上高、米国12月卸売物価指数、米国12月鉱工業生産、米国地区連銀経済報告(ベージュブック)、19日に12月貿易統計、米国12月住宅着工件数、米国1月フィラデルフィア連銀製造業景気指数、20日に12月全国消費者物価指数、米国12月中古住宅販売件数などが予定されている。
――プレイバック・マーケット――
●SQ値
02月限 日経225 27835.60 TOPIX 1965.67
03月限 日経225 25457.94 TOPIX 1808.03
04月限 日経225 27122.37 TOPIX 1904.02
05月限 日経225 25951.24 TOPIX 1838.12
06月限 日経225 28122.81 TOPIX 1955.38
07月限 日経225 26659.58 TOPIX 1890.16
08月限 日経225 28525.62 TOPIX 1963.05
09月限 日経225 28253.40 TOPIX 1957.76
10月限 日経225 26666.31 TOPIX 1885.58
11月限 日経225 28225.86 TOPIX 1978.52
12月限 日経225 27576.37 TOPIX 1945.27
01月限 日経225 26325.21 TOPIX 1900.71
◆日経225先物(日足)
始値 高値 安値 清算値 前日比
23/03 01月13日 26360 26360 25980 26080 -290
23/03 01月12日 26350 26520 26340 26370 -40
23/03 01月11日 26130 26450 26070 26410 +250
23/03 01月10日 25900 26290 25880 26160 +230
◇TOPIX先物(日足)
始値 高値 安値 清算値 前日比
23/03 01月13日 1906.0 1913.5 1885.0 1901.5 -4.0
23/03 01月12日 1896.0 1909.0 1894.5 1905.5 +6.5
23/03 01月11日 1877.5 1900.5 1874.0 1899.0 +19.5
23/03 01月10日 1870.0 1893.0 1869.5 1879.5 +7.5
●シカゴ日経平均 円建て
清算値 前日比
01月13日(3月限) 25790 -290
01月12日(3月限) 26195 -175
01月11日(3月限) 26525 +115
01月10日(3月限) 26255 +95
01月09日(3月限) 26195 +265
※前日比は大阪取引所終値比
□裁定取引に係る現物ポジション裁定残(金額)
売り 前週末比 買い 前週末比
01月06日 5561億円 +572億円 3504億円 -406億円
12月30日 4989億円 +391億円 3911億円 +177億円
12月23日 4597億円 +1347億円 3733億円 -1017億円
12月16日 3250億円 -72億円 4750億円 -344億円
12月09日 3322億円 +1529億円 5095億円 -324億円
12月02日 1793億円 -99億円 5420億円 -321億円
□裁定取引に係る現物ポジション(株数)
売り 前日比 買い 前日比
01月11日 2億2604万株 +759万株 1億2641万株 -116万株
01月10日 2億1844万株 +510万株 1億2757万株 +176万株
01月06日 2億1333万株 -126万株 1億2580万株 -308万株
01月05日 2億1459万株 +1734万株 1億2889万株 -422万株
01月04日 1億9725万株 +911万株 1億3311万株 -675万株
12月30日 1億8813万株 +1225万株 1億3986万株 -458万株
12月29日 1億7588万株 +451万株 1億4444万株 +3万株
12月28日 1億7136万株 +607万株 1億4441万株 +1146万株
12月27日 1億6529万株 +28万株 1億3295万株 +238万株
12月26日 1億6501万株 -166万株 1億3056万株 +241万株
■日本銀行による指数連動型上場投資信託(ETF)買い入れ推移(通常ETF分)
【2022年】
1月14日 701億円
1月25日 701億円
2月14日 701億円
3月07日 701億円
4月07日 701億円
5月19日 701億円
6月13日 701億円
6月17日 701億円
12月2日 701億円
株探ニュース